|
田舎の公民館。ムシロを敷いただけの客席を埋める客。服装からすると1950年代。 |
笑顔をもたらす |
舞台の端に「軽業」という演目。 連続してバック転をしてみせる井ノ原、森田。 |
何でもありの |
「珍・金色夜叉」の演目。 貫一の長野とお宮の三宅(女形)。 長野「来年の今月今夜のこの月を、僕の涙で曇らせてみせるからね」 女の姿の三宅「あら、天気予報では来年の今日は晴れですって」 |
芸能一座 |
「漫才 ぶいろくトニセン・カミセン」の演目。 舞台中央の坂本と岡田。 岡田「はい、ぶいろくカミセンでーす」 坂本「坂本昌行でーす」 岡田「(坂本の胸をパシっと叩いて)本名言うてどうすんねん」 |
ぶいろく座 |
舞台の芝居の声だけが聞こえる。
映像は、公民館を埋める客。みな粗末なみなりで、鼻水を垂らした子供などもいる。 客はみな楽しんでいる様子で、時々大きな口を開けて笑っている。 |
貧しい時代を |
夕食の準備をしている三宅。おかずは漬け物とめざし三尾ずつ。
入ってきた岡田、 「おっ、今日はおかしら付きや!」 |
明るく生きて |
談笑しながら食事をしている六人。 がつがつ食べている岡田。前に座っていた坂本、そっと自分のめざしを一つ岡田の皿に載せてやる。三宅が気づくが黙っている。 全く気づかず食べる岡田。 |
旅から旅の |
トラックを運転している長野。隣に坂本。 残りの四人は、荷台に乗っている。四人、荷物をおさえながらふざけあっている。 |
小一座 |
舞台では岡田と坂本が漫才を演じている。それをくいいるように見ている中年女。 女「准一……」 |
捨て子だった座員に |
向き合って座っている坂本と女。わきに長野と井ノ原。 女「今は余裕のある暮らしをしております。まことに勝手ながら、引き取らせてはいただけないでしょうか」 憮然とした表情の坂本。女をにらむ井ノ原。 長野「子供を捨てるからにはよくよくのことがあったんだろうし……」 |
親が現れて |
複雑な表情で自分の荷物をまとめている岡田。 森田「(ことさら明るく)親が見つかってよかったな」 三宅は黙って見ている。 |
別れが来る |
がたぼこ道を走るトラック。黙って荷台に乗っている井ノ原、森田、三宅。 運転席の長野、坂本に話しかける。 「准一のやつ、どうしてるかな」 坂本「……」 |
ずっと一緒だったのに…… |
舞台。「珍説・宮本武蔵」の演目。 武蔵の長野が伊織の森田を従えて歩いていると、つうの三宅が走ってきて、 「武蔵様!」 長野と森田、立ち止まる。 |
三宅「ああ武蔵様、なぜあなたは武蔵様なの」 長野「つう殿、何か西洋の芝居とごっちゃにしておられぬか」 舞台の袖にいた坂本と井ノ原。客席が湧かないので不安そうな表情。 |
何があっても |
水たまりにはまりこんだトラック。運転席では長野が必死の形相でハンドルを握っている。 トラックを押している五人(岡田もいる) トラックが水たまりを抜けて走り出し、バンザイをする五人。トラックがどんどん走っていくので慌てて後を追いかける。 |
仲間がいれば大丈夫! |
ぶいろく座 |
|