テレビ局のスタジオ。前にカミセンの三人、後ろにトニセン。カミセンの両側に福澤朗(日本TVアナウンサー)と研ナオコ。
福澤「さあ、始まりました、『ぶいろく党伝』スペシャル!」
研「(V6を見回して)あれっ、TOKIOが六人になってる」
福澤「鉄腕DASHじゃないって。今日は、劇場公開が迫った『ぶいろく党伝』のスペシャル番組をお送りします。ゲストはもちろん、V6の皆さんです」
V6、こちらに向かって手を振る。
福澤「ではさっそく、映画の見所をたっぷり紹介しちゃいましょう!」
(映像)
「ぶいろく党伝」という題字。
江戸の初めの宿場町。薄汚い人々でごった返す狭い往来。その中を歩く森田。
研「時代劇なんだ」
福澤「アイドルの主演第一作が時代劇っていうのも珍しいですよね」
研「普通、アイドル映画っていったら学園ものとか……(と言いながら坂本の顔を見て)……無理か」
坂本、ずっこけてみせる。
福澤「どういうストーリーなの」
井ノ原「ちょっと『七人の侍』みたいなところがありますね」
研「村を守るの」
井ノ原「そうなんですよ、この六人で」
(映像)
女郎屋の二階。手摺りにもたれ往来を見おろしている、襦袢姿の井ノ原。顎から下にべったりと白粉を塗った安女郎が、後ろから彼にしなだれかかる。
研「お、すごい格好」
井ノ原「俺、ずっとこの格好なんですよ」
福澤「なんか、雰囲気でてるねえ」
井ノ原「でも襦袢の着流しだと寒いんですよ」
長野「上半身しか映らない時は下に股引はいてましたよ。ラクダの股引」
井ノ原「リハーサルの時一回ズボンはいてただけだよ」
坂本「井ノ原は普段からラクダの股引はいてますからね」
井ノ原「はいてねえって!」
(映像)
汚い飯屋。やくざ者がつんのめり、坂本の卓にぶつかってしまう。卓が倒れ、並んでいた徳利が音を立てて割れる。全員が見守る中、坂本がゆらりと立ち上がる。
「黙ってりゃいい気になりやがって。……この酒をどうしてくれるんだよ」
坂本、自分の足許に倒れているやくざ者の首根っこをつかむと、そいつの顎をはり倒す。
福澤「坂本君は浪人なの?」
坂本「浪人です」
研「けっこう似合ってるじゃない」
坂本「自分でもこの格好、気に入ってるんですよ」
福澤「ちょんまげ姿が似合うねえ」
研「(坂本の頭を見ながら)あんた、その頭よりちょんまげの方がずっといいよ」
苦笑する坂本。ほかのメンバーは手をたたいて大笑い。
福澤「次は、岡田君と坂本君のからみですね」
研「からみ?」
(映像)
棒きれを構えて坂本にかかっていく岡田。坂本に叩きのめされる。
福澤「これはどういうシーンなの」
岡田「(少し間があって)なんか俺だけ剣がつかえないんで、特訓してもろてるんです」
福澤「坂本君が先生なんだ」
坂本のアップ。坂本、カメラに向かって偉そうにうなづく。
岡田「先生ちゅうか……。演技なんやからほんまにあてんでもええのに、バシバシやられました」
坂本「つい、芝居に熱が入っちゃって。ま、愛の鞭ってやつですよ」
岡田「そんな愛情いらんわ」
(映像)
村の地形を克明に紙に書き留める長野。剛は感心して眺めている。
「驚きました。俺はただ、来る敵と斬り合うことしか考えていなかったのに……」
長野は図面を見ながら笑う。
「拙者の性分だろう。なにもせずにただ敵が来るのを待つということが出来ないのだ」
福澤「長野君、かっこいいねえ」
長野「僕だけインテリなんですよ。本人に合わせて役が作ってあって」
ほかのメンバー、顔の前で手を振って否定する。
研「剛君もかっこいい侍じゃない」
森田「そうですね。けっこう育ちのいい侍で。本人に合わせてあります」
三宅「嘘つくなー!」
研「そういえば、三宅君だけまだ映ってないけど」
福澤「では、三宅君の役どころを紹介しましょう」
(映像)
道ばたにすわっている犬。
研「この犬の中に入ってるの?」
三宅「違いますよ!」
(映像)犬の隣に半ば死んだようにうずくまっている三宅。
(映像) シーン変わって、あばら屋の中。ほかの5人は板の間で膳に向かっているが、三宅は土間にいて、犬の隣で椀をすすっている。
研「なにこれ、一番汚いじゃない」
三宅「そうなんですよ。ほんと汚くて」
森田「これも本人に合わせて……」
三宅「違うー!」
福澤「聞いたところによると、口をきけない役なんだって」
三宅「そうなんです。一人だけ何も言わないんですよ」
研「じゃあ、セリフ覚えなくていいんだ」
井ノ原「一人だけ楽してましたね」
三宅「楽じゃないよー」
福澤「セリフがないとなると、表情とかそういうところで気持ちを表すわけ?」
三宅「それが、監督さんに、表情も変えないで、いつも無表情でいろって言われちゃって、セリフもないし無表情だし、かえって大変でした」
福澤「若いし、動きが少ない方がつらいかもね。歌ってる時も踊らない方がつらかったりして」
三宅「そういうことはありますね」
研「(トニセンを見て)そっちの人たちもそう?」
坂本「そうですね」
井ノ原「夜もヒッパレにトニセンの三人だけで出さして頂いた時、振り付けがなかったんでかえって歌いにくかったですね」
長野、うなづく。
研「そういうもんなんだ。私なんか、踊りながら歌えって言われたら困るけどね」
福澤「それはまあ、人それぞれ年齢的なものもありますからね」
ずっこける研。
福澤「次はいよいよクライマックスです!」
(映像)
野盗の集団と六人との戦闘シーン。
野盗が斬りかかってくるのを、岡田が必死の形相でかわす。
福澤「真に迫ってるね」
(映像)
30人ほどの野盗の集団が迫ってくる。
研「こっちは6人しかいないんだよね」
長野「敵がけっこういるんですけど、それを僕の頭脳で」
坂本「俺の腕だって」
井ノ原「野盗の人って、役者さんもいるんですけど、ロケしたところの近くの大学の剣道部と居合道部の人も入ってるんですよ」
福澤「なるほど、剣がつかえるからね」
坂本「なんか、面接して怖い顔の人だけ選んだっていう話で」
研「本人は顔がいいから選ばれたと思ってたりして」
福澤「今の話聞いたらショックだろうね。その人たちってやっぱり刀を扱うのはうまかった?」
井ノ原「うまいですね。迫力あるし」
岡田「プロの人は切るふりしてくれるんやけど、剣道の人たちはほんまに当てるんですよ」
福澤「癖がついてるんだね。それでさっき岡田君必死になってかわしてたんだ」
研「刀って、偽物でも光ってると怖いよね」
6人うなづく。
福澤「この映画に出演しているのは、もちろんこの6人だけではありません」
研「ほかに誰が出てるの?」
福澤「ここで、ほかの出演者のみなさんをちょっとだけ紹介しましょう」
(映像)
井ノ原が歩き始めたとき、河原にがなり声が響く。
「野郎!! こんなところにいやがりましたぜ、兄貴!」
土手の上には、五六人の手下ども、そして岡田をにらみつける安岡力也。
せんだ光雄が地に伏して頭を下げる。その後ろに小橋健賢児
「おねげえしやす!! その腕で、わっしらの村を守っておくんなせえ!!」
6人を前にして話をする村の庄屋(岸辺一徳)
研「男ばっかりじゃない」
福澤「もちろん女性も出ていますよ」
(映像)
森田、小川の水を手ですくって飲み、次に顔を水につける。それを見て笑う二人の村娘(遠藤久美子、松本恵)。
研「おっ、ロマンスなんかあったりして」
森田「(笑い)」
岡田「そんなロマンスってほどのもんでもないですよ」
研「上の3人にはそういうのないの?」
坂本「僕もかわいい女の子とのからみを監督さんに頼んだんですけど……」
長野「そのへんも本人に合わせてあって」
坂本、小さくずっこける。
研「最後、6人はどうなるの」
坂本「それは見てのお楽しみです」
研「おもしろそうじゃん。娘連れて見に行くから、招待券ちょうだい」
三宅「前売り券買ってくださいよー!」
福澤「というわけで、お送りしました『ぶいろく党伝』スペシャル。映画はいよいよ今度の土曜日から公開です。一人でも多くの方に見ていただきたいですね。それでは、さようならー」
福澤と研とV6、「見てねー」「面白いよー」などといいながらこちらに向かって手を振る。
というわけで、いよいよ2月21日の土曜日から、「うそっこドラマでV6!」で『ぶいろく党伝』連載開始です!