第34話 苦戦

(by hongming)

ナレーション「イエローはどこかへ行ってしまい、ブルーは敵を蹴散らした。しかし、ヒガシ・サンの部下である嵐との戦いは、重要な局面を迎えようとしていた。Vレンジャーと地球に最大の危機が迫る。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 宇宙船の中。
ヒガシ「第四問。また歴史から。七九四年といえば何の年?」
森田「さっきより昔じゃねえかよ」
三宅「(小声で)ほら、ナクヨうぐいす……」
森田「ナクヨうぐいす……ホーホケキョ!」
「ブッブーッ」
桜井「平安京遷都」
「ピンポーン」
森田「こんなの無理だよ」
ヒガシ「では、漢字の読みにしよう。第五問。次のうち、正しい方を選び、その読みを書いてくれ」
 壁に二つのパネルが現れる。一つは「絶対絶命」、もう一つには「絶体絶命」と書かれている。マジックもある。
井ノ原「これは難しいな」
 森田はしばし考えるが、「絶対絶命」の方へ歩み寄る。
三宅「(小声で)ああーっ」
 森田は、マジックに手を伸ばすが、
「変だ。俺がこっちだと思う、ってことは、きっと違うんだ」
と、言って「絶体絶命」のパネルの方へ行く。
 三宅はほっとして安堵の息を吐くが、それはすぐに溜め息に変わる。
 森田は自信たっぷりに、「絶体絶命」のとなりに「ぜってえぜつめい」と書いている。
「ブッブーッ」
森田「何でだよ。どこが違うんだよ」
 桜井は笑いながらマジックをとり、「ぜったいぜつめい」と書く。
「ピンポーン」
ヒガシ「こちらの勝ちだな」
森田「なんだよ、こんな勝負。納得できねえよ」
坂本「もともと無理な勝負だったんだ」
 そこに、ウサギが逃げ込んでくる。そのあとを江頭が追ってくる。
 ウサギは嵐のメンバーの所へいくと、相葉に戻って倒れる。江頭も岡田に戻り、床に座り込む。
岡田「はあ、はあ。これは命がけの勝負や」
井ノ原「ずっと走ってたのか」
岡田「あいつ、けっこうすばしこくて……」
坂本「これは引き分けか」
大袈裟「向こうは残り二人で、こっちは三人残ってる。どうするんだろう」
ヒガシ「よし、残りは二対三でやろう。もう一度仮面武闘会だ。ただ、そっちは数が多いんだから、さっきの女の子はやめてくれよ」
坂本「いいでしょう」
 二宮と松本が前へ出て、仮面をかぶる。
 愕然とする坂本、大袈裟、井ノ原。
岡田「一人は見たことある人や」
三宅「もう一人はだれだろう」
森田「俺、どっかで会ったようなきがするな」
 若い女に変身した二宮と松本の後ろ姿。
井ノ原「エミリ……」
坂本「紗弥加……」
大袈裟「紗弥加ちゃん……」
 変身した姿は、中山エミリと山口紗弥加。
ヒガシ「どうだ、この二人と戦うことができるかね」
紗弥加「お兄ちゃん、長野さん、もうやめて」
エミリ「また会えたのね」
 黙っている坂本、大袈裟、井ノ原。
三宅「ひどいよ、こんなの」

 おもいっきり御殿。
 夜更け過ぎになっている。
 堂本光一と堂本剛が、伝説の姫発発見器を調べている。
堂本光一「やっぱ変や」
 通りかかった使用人に発見器を向けてみると、「ピンポーン」と音がする。
 顔を見合わせる堂本光一と堂本剛。

 宇宙船。向き合って立つ、坂本、大袈裟、井ノ原と、紗弥加、エミリ。
 井ノ原は首を振る。
井ノ原「お前はエミリじゃない」
エミリ「どうして。私よ。また会えたのよ」
井ノ原「違う。俺のエミリはここにいる」
 井ノ原は携帯電話を取り出す。その裏には、エミリと井ノ原が並んで映っているプリクラ・シールが貼ってある。
エミリ「ほら、私でしょ」
井ノ原「違う。お前は偽物だ。それ以上エミリのかっこうでいるなら、俺はお前を斬る」
 井ノ原は、電話をしまうと、サムライ・ソードを取り出し、ゆっくりふりかぶる。
坂本「ブラック。その横にいる女も一緒に斬ってくれ」
 頷く大袈裟。
 井ノ原は一歩前へ出る。
 一歩下がる紗弥加とエミリ。
紗弥加「お兄ちゃん、長野さん。この人止めて!」
エミリ「やめて、わたしよ!」
 井ノ原は無言で歩み寄る。サムライ・ソードを振り下ろそうとした時、
ヒガシ「わかった。こちらの負けだ。済まなかったな、不愉快な思いをさせて」
 二宮と松本は仮面を取り、元に戻る。
 嵐がわきへどくと、壁が左右に開き、広い部屋が見える。奥の高くなっているところには、ヒガシが座っているのが見える。
 坂本、大袈裟、Vレンジャーは無言でそちらへ歩いていく。

 おもいっきり御殿。
 堂本光一と堂本剛が、そばにいる人に、手当たり次第に伝説の姫発見器を向けてみる。誰に向けても「ピンポーン」と鳴る。
 堂本剛は、蓋を開けてみて、
「ここがショートしとる。なおさなあかん」

 宇宙船。
 平然と座っているヒガシ。
 その前に並んで立つ坂本、大袈裟、Vレンジャー。いずれも緊張した面もち。

 おもいっきり御殿。
 応接間でテレビのニュースを見ているみのさんとあい。
 画面は、夕日を浴びて空へ昇っていく宇宙戦艦みのさんを映し出している。
 満足そうなみのさん。あくびをしているあい。
 入ってきた堂本光一が伝説の姫発見器をあいにむけるが、ウンともスンともいわない。
堂本剛「貸してみい」
 堂本剛が手にとってあいにむけるが、やはり音はしない。
堂本光一「なんや、誤作動かいな」
あい「どうしたの」
堂本剛「いやあ、自分、伝説の姫やあらへんかった」
堂本光一「ほな、俺ら帰るわ」
 二人は白馬型宇宙船に乗り込み、あっさり消える。
 わけが分からない、という表情のみのさんとあい。

 宇宙船の中。
 ヒガシがゆっくりと立ち上がる。
 思わず一歩下がる坂本たち。
ヒガシ「よくここまで来たね。覚悟はできているんだろうな」
 さらに一歩下がる坂本たち。
坂本「あ、あの……」
ヒガシ「何で勝負しようか。華麗なステップか、軽やかなターンか」
 ヒガシは一歩前に出る。嵐がその後ろに並ぶ。
大袈裟「そんな、ヒガシ・サンと勝負なんて……」
ヒガシ「真剣勝負だよ。わかってるね」
井ノ原「すみません、これ、俺らが主役なんで……」
 ヒガシの表情が険しくなったとき、とつぜん、女性の声が響く。
「おいたはだめよ」
 驚いてキョロキョロするヒガシ。
「最近ちょろちょろしてると思ったら、こんなところにいたのね」
 ヒガシも嵐も顔色が変わる。
岡田「なんやねん、この声。どっから聞こえとるんや」
「もう、帰っておいでなさい」
ヒガシ「はい、モリさん」
森田「モリさん?」
ヒガシ「モリさんは、宇宙の絶対者だ。私もモリさんに逆らうことはできない」
三宅「絶対者?」
ヒガシ「そうだ。とにかく私はモリさんのところへいく。お前たちは帰れ」
岡田「帰れって、地球侵略はどうなんねん」
ヒガシ「地球? そんなものはどうでもいい。モリさんが機嫌を損ねたら大変なことになる」
 あわてふためいているヒガシと嵐。
大野「帰還用意」
 嵐は操縦席の方へ走っていく。
 わけがわからないVレンジャー。
ヒガシ「もうお前たちの相手をしているヒマはない。帰れ」
坂本「はあ……。では、帰ります」
 六人は来た方向へ歩き出す。

 おもいっきり御殿の門。
 門灯がついてはいるが、暗い。
 電信柱の陰で、門を見張っている女性記者のシルエット。
「ぜったい特ダネをつかんでやるわ」

 宇宙船。
 宇宙戦艦みのさんにのりこんだ坂本たち。
 ヒガシの声が聞こえる。
「いいか、切り離すぞ」
坂本「はい」
 ガクンと揺れて、宇宙戦艦みのさんは、宇宙船から強く突き放される。
三宅「これで帰れるんだね」
森田「口ほどにもねえやつらだ」
 坂本の顔色が変わる。
坂本「おい……」
大袈裟「どうしたの、坂本くん」
坂本「さっき壊れて操縦できないままだった」
岡田「そんな。どうなるんや」
 宇宙船はどんどん遠ざかっていく。

ナレーション「何がなんだかわからないうちに、宇宙の絶対者モリさんの登場によって、地球の危機は救われたが、Vレンジャーには新たな危機が迫る。はたして六人の運命は。
何とかしろ、Vレンジャー。いつもどうにかなってきた戦士たち」

TO BE CONTINUED!


VレンジャーR・トップへ

メインのぺージへ