第32話 宇宙戦艦の武器

(by hongming)

ナレーション「ついにヒガシ・サンを迎え撃つべく、宇宙に飛び出したVレンジャー。刻一刻と決戦の時は迫る。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 おもいっきり御殿の応接間。
 空へ登っていく宇宙戦艦みのさんを、あいと堂本光一、堂本剛が見上げている。
あい「乗らなくてよかった……」
 堂本光一と堂本剛もあきれた表情。

 操縦席。
 どんどん地上から離れ、建物が小さくなっていく。
 六人は座席に押しつけられ、声も出ない。

 青い地球。
 宇宙戦艦みのさんが、飛び出してくる。

 宇宙船の中。
 ディスプレイを見ていた大野がヒガシに声をかける。
「地球からこちらに向かって何かきます」
ヒガシ「ほう、ミサイルか」
大野「もっと大きなものです。でこぼこしています」

 操縦席。
大袈裟「大気圏から出たぞ」
井ノ原「わぁお。宇宙だ宇宙だ」
森田「ウヒャヒャヒャ。ジェット・コースターより面白いじゃん」
三宅「地球ってきれいだね。大切にしようね」
岡田「ちょっと、坂本はん。目ぇ開けて操縦してぇな」
大袈裟「坂本くん、どうしたの」
坂本「お、俺は、高いところは苦手だったんだ」
井ノ原「ここまで来たら、高いも何もないだろう」
三宅「地球がきれいだよ」
 おそるおそる目を開ける坂本。地球を見おろして感動する。
坂本「きれいだ……」
大袈裟「坂本くんの席が一番よく見えるはずだ」
坂本「ああ。よく見える。地球ってこんなに美しい星だったんだ……」
 六人は、しばし地球を見つめる。
森田「あ、俺の席から見えなくなってきた」
坂本「俺はまだまだ見えるぜ」
三宅「いいなあ、センターは」
坂本「はっはっは。うらやましいだろ」
大袈裟「その代わり、一番攻撃を受けやすいから」
坂本「何っ?」
大袈裟「外からも見えるんだから、一番狙われやすい」
坂本「……森田、やっぱりセンターは……」
森田「後からは変えられないって自分で言ってたろ」
井ノ原「センターはあんただ。任せた」
 引きつる坂本。
 行く手には、ヒガシの乗っている宇宙船。

 おもいっきり御殿の庭。
 空を見上げるあい。堂本光一、堂本剛はその両側に控えている。
「みんな、大丈夫かしら」

 門の前。
 みのさんが得意になって取材に応じている。

 宇宙船の中。
 腹筋台で腹筋に励んでいるヒガシ。
 大野が報告に来る。
「正体が分かりました。戦闘用ロボットです。今、こちらのディスプレイに映します」
 壁一面を占めるディスプレイに、「みのもんだ」のタスキを掛けた宇宙戦艦みのさんの姿が映る。ヒガシは腹筋を続けながらそれを見る。
ヒガシ「なんだこれは。趣味が悪いな。地球人は乗っているのか」
大野「はい。生体反応を調べたところ、六人乗っています」
ヒガシ「君たちは五人だが、勝てるだろう。予定通り頼む」
大野「はいっ」
 出ていく大野。ヒガシは腹筋を続ける。

 宇宙戦艦みのさんの操縦席。
坂本「さあ、だいぶ近づいたぞ」
井ノ原「いよいよ攻撃するのか」
大袈裟「とにかく叩きのめそう」
 宇宙戦艦みのさんは、どんどん宇宙船に近づいていく。
三宅「ぶつかっちゃうよ」
岡田「体当たりかいな?」
坂本「体当たりなんかしねえ」
森田「なら、どうするだよ」
坂本「ぶん殴ってやる」
井ノ原「え?」
大袈裟「時間も予算も足りなかったから、特別な武器はないんだ」
森田「武器がないって……」
坂本「鍛え抜かれたこの体が武器ってことよ」
三宅「どこが宇宙戦艦なんだよ。ただのロボットじゃないか」
坂本「宇宙戦艦ということにしたのは、みそのさんの意向なんだ。いくぞ」
 宇宙戦艦みのさんは、宇宙船のすぐそばまで来ると、拳を振り上げる。

 宇宙船操縦席。
 拳を振り上げたみのさんをみて、嵐の五人が首を傾げている。

 拳を振り上げたみのさん、宇宙船めがけて思い切り殴りつける。宇宙船はすっとかわす。
坂本「くそっ」
 また殴ろうとするが、逃げられる。蹴ろうとしてまた逃げられる。
坂本「この野郎」
 みのさんは滅茶苦茶に手脚を振り回すが、全くダメージを与えることができない。
 操縦席の坂本は肩で息をしている。
井ノ原「何やってるんだ、俺に代われ。ラーメン大好きツルッ!」
 とたんにみのさんは空手の構え。

 宇宙船の中。腹筋を続けているヒガシ。ディプレイには、構えている宇宙戦艦みのさん。
ヒガシ「ほほう」

 みのさんはまず正拳で突くが、宇宙船はかわす。続いて前蹴り。これも横へかわしたが、井ノ原はその動きを読んでいて、宇宙船に手を掛け、えいっとばかりにその上に体を持っていき、馬乗りになる。
井ノ原「どうだ、マウント・ポジションだ」
岡田「おっ、なかなかやるやん」
井ノ原「へっへっへ。これでも食らえ」
 みのさんは宇宙船に腕を回し、しめあげる。

 宇宙船操縦席。
 嵐のメンバーが、ますますわけがわからない、という顔をしている。

井ノ原「チョーク・スリーパーだ」
大袈裟「あのさ……」
井ノ原「なんだよ」
大袈裟「宇宙船に首ってあるのか」
井ノ原「あっ、そうか。それなら」
 みのさんは、手を離すと、ひたすら宇宙船を殴りつける。
井ノ原「どうだ、この野郎。こうやって上から殴られたら、防御できないだろう」
三宅「宇宙なんだから、上も下もないと思うんだけど……」

 宇宙船の中。
 ヒガシは平気で腹筋を続けている。
 コツン、コツンという音が聞こえているが、全くダメージはない様子。

 みのさんは、おもいっきり宇宙船を殴りつけているが、突然、右の拳がとれてしまう。
井ノ原「ああっ」
大袈裟「しまった!」
坂本「敵の方が固いんだ」
三宅「そんな簡単なことなら、すぐ気付けよ」
森田「どうなるんだよ、俺たち」
 突然、みのさんが動かなくなる。
井ノ原「動かねえ。壊れちまった」
岡田「こんなとこで死ぬのはいややあ」
 宇宙船から、マジックハンドが何本も出てきて、みのさんの体を引き離し、操縦席の部分だけ船腹に収容する。宇宙船に頭が刺さっている格好。
三宅「つかまっちゃったよー」
坂本「こうなったら、殴り込みだ」
森田「そんな無茶な。ほかに攻撃方法はないのか」
大袈裟「ない」
井ノ原「なんでこんな不十分な装備で飛び出したんだよ」
大袈裟「(きっぱりと)僕と坂本くんの就職のためだ」
井・森・三・岡「……」
坂本「とにかく行くぞ」
 坂本はドアを開け、真っ先に飛び出す。大袈裟がそれに続き、残りのメンバーも渋々外に出る。

ナレーション「ついにに敵の宇宙船に乗り込んだVレンジャー。いよいよ敵との直接対決の時が迫る。行け、Vレンジャー。坂本と大袈裟の就職のために戦う戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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