第31話 パラレル編・企業戦士物語G

(by さこさん)

 ついにやったぞVレンジャー。全戦全勝。完膚なきまでに宿敵・近藤商事を打ちのめし見事台湾行きをゲット! 明日の日本を背負って立つのは君たちだ。さあ、行けVレンジャー、輝く未来に向かってGoするのだ!
 これは営利追求に命をかけた、企業戦士の物語、とは程遠くなってしまった代物である…。

 おもいっきり商事。
 『プロジェクトV』ルーム。
 はしゃいでいるVレンジャーたち。

三 宅「今度こそ、今度こそ台湾行けるんだね」
岡 田「本場のオーギョーチィーが食えるんや」
森 田「何だその仰々しいって食い物は?」
岡 田「愛玉(オーギョーチィー)や。台湾の名物デザートやで」
井ノ原「おまえ、ほんと食い物の事に関してだけは詳しいな」
あ い「課長は何か希望はないんですか?」
大袈裟「いや、私は美味しいラーメンさえあればそれで幸せ」

 とそこへ、血相を変えた秘書の麻里奈が飛び込んでくる。

麻里奈「ちょっとみんな、まったりしてる場合じゃないわよ! 早くテレビつけて!!」

 側にいた大袈裟がテレビのスイッチを入れる。

レポーター「…と言うわけで、今朝、喜多川コンツェルンの台湾進出が正式に発表され、そのパートナーとなる企業が発表されたわけなんですが、その発表の仕方がさすが喜多川コンツェルンと言うか、場所は何と琵琶湖。そしてパートナーに選ばれた『A・RA・SHIコーポレーション』のメンバーはクルーザーで登場すると言う、これまでにない斬新な方法で発表されたのでした。それでは栄えあるパートナーに選ばれたARSコーポレーションのみなさんに一言伺ってみたいと思います。どうですかみなさん、今のお気持ちは?」
相 葉「僕たちも昨夜いきなり電話がかかってきて知ったもんで、びっくりしてます」
桜 井「なんか、夢の様です。候補には老舗のおもいっきり商事さんや、近藤商事さん、近畿物産さんなどのお名前があがっていましたから、まさか新参者の僕たちが選ばれるとは思ってもみませんでした」
松 本「他社にはない若さを武器に頑張って行きたいと思います」
二 宮「僕たちの後にはジュニア・アソシエーツ社さんもいますし、油断出来ないですからね。頑張ります」
大 野「一日20000歩目指して頑張ります」
レポーター「なんだか良く分からないコメントもありましたが、とにかくみなさん突然の事にビックリされているのと同時に、はやり喜びは隠せないようすです。琵琶湖から東海森がお伝えいたしました」

 唖然とした表情のVレンジャーたち。 
 いち早く我に返った森田が叫ぶ。

森 田「一体どう言うことだよ!」
大袈裟「いや、私にも何が何だか、さっぱり…」

 とその時、FAXが鳴る。

 ピロロロロ〜、ジー、ガッシャン。(S.E)

麻里奈「大袈裟課長宛に、喜多川会長からですわ!」
一 同「なんだって!?」
大袈裟「えっと、『今回の件はベリーソーリーね。でもやっぱり今後の事を考えると若い企業の方がいいかと思ってね。その代わりと言っちゃなんだけど、ユーたち、展示即売会やりなさい。会場はもう押さえてあるから。費用の件は、ドント・ウォーリー。ミーからのせめてものお詫びの印と言うことでプレゼントさせてもらいます』…」
井ノ原「はぁ〜? 展示即売会?」
三 宅「で、会場って言うのはどこなんですか?」
大袈裟「え〜っと、なになに『場所は今度埼玉に新しくオープンするアリーナです。ユーたちが柿落としね』だそうだ」
森 田「おっ、俺の地元じゃん」
あ い「で、いつなんですか?」
大袈裟「9月の10日となってる」
岡 田「夏休みの間ならまだしも、そんな中途半端な時期でお客さん集まるんか?」
み の「集まる様に努力するんだよ」
一 同「みの社長!」

 両手一杯に健康食品を抱えたみの社長が部屋に入ってくる。

み の「今回の件は私も寝耳に水の青天の霹靂。だが、だからと言ってここで歩みを止めてしまっては何の解決にもならない。せっかくのチャンスだ、是非成功させようじゃないか、9月の即売会。だが、さっき岡田くんが言ってたように、時期が時期だ。よほどの宣伝をしないとお客様を集めるのは難しい。そこでだ、森田君」
森 田「はい」
み の「三宅くん」
三 宅「はい」
み の「岡田くん」
岡 田「はい」
み の「君たち三人には先発隊として、7、8月に各地で行なわれる展示会、物産展に行ってもらってこの9月の即売会の宣伝をしてきてもらいたい。いいね、9月の成功は君たちの営業活動にかかってくる。責任重大だよ」
三 人「はい!」
み の「あっ、そうそう。これ、即売会で着て」

 みの、背中に大きく『おもいっきり商事』と縫い取りされた赤、青、黄色の法被をそれぞれ森田、三宅、岡田の三人に手渡す。

三 人「!(絶句)」
み の「そして、大袈裟課長」
大袈裟「はい」
み の「井ノ原君」
井ノ原「はい」
み の「君たちには後方部隊として、9月の展示会の企画・構成を考えてもらいたい」
二 人「はい!」
み の「それからね、今後の我が社のグローバルな展開を考えて、ここは一つ、語学に堪能な人材を投与しようと思ってね、助っ人を呼んだから」
一 同「助っ人?」
み の「どうぞ、入って。坂本くん」

 例によって、ホストと見紛うばかりに派手なスーツに身を固めた坂本が入ってくる。

坂 本「よっ! 暫くの間、宜しく頼むぜ」
大袈裟「坂本さんに来て頂ければ心強い限りです」
坂 本「まっ、自慢じゃないけど、アメリカのコリンズ・エンタープライズの社長とは“フィル”“マーサ”な間柄の俺だからね。任せとけよ」
井ノ原「な〜んか信用できないんだよなぁ。あんた、何か下心があんじゃないの?」
坂 本「嫌なら別にいいんだぜ。お前のプアーでチープな英語力でどこまで出来るかやってみるんだな」
み の「とにかく、昨日迄の事は一旦水に流して、みんなで力を合わせて頑張っていこうじゃないか。いいね、みんな」
一 同「はい!」

 こうして、喜多川コンツェルンのパートナーの座をかけた、おもいっきり商事と近藤商事との、終わってみれば一体何だったんだ? な戦いは幕を閉じた。だがこれで全てが終わったわけではない。明日にはまた、本来の作者が考え出す新たな戦いが君たちを待っている!
 行け、みなみ! 早く次の話を考えるのだ。
 働け、hongming! 新しい武器をみんなが待っている! そしてよく頑張った、さこ!  これからは底抜けにお気楽な読者に徹するのだ!!

TO BE CONTINUED!


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