第23話 発進! 宇宙戦艦

(by hongming)

ナレーション「恐怖の腹筋帝王、ヒガシ・サンの侵略から地球を守るべく、Vレンジャーが立ち上がった。かつてない強敵に、坂本の顔のしわも増える。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 おもいっきり御殿。
 テレビを見ているみのさんたち。
 画面にはヒガシが映っている。
「私はヒガシ・サン。地球を征服するために来ました。征服といっても、乱暴なことをするわけではありません。ただ一緒に腹筋を楽しみたいだけです。さあ、皆さん、一緒に腹筋を楽しみましょう。ノルマは一日三千回です。ではまた」
 画面はまた、官房長官の記者会見に戻る。
あい「いいじゃない。あたしがんばって腹筋やる」
三宅「三千回はちょっと……」
みの「今の人、健康食品のことはどう思っているんだろう」
堂本光一「健康食品よりも腹筋や言うとりました」
みの「健康法は?」
堂本剛「腹筋以外の健康法は認めないちゅう話です」
みの「そ、そりゃあ困る。Vレンジャー、頼む、やっつけてくれ。あいつをやつけるんだ」
 Vレンジャーに緊張が走る。
 テレビの画面は再び変わり、スタジオのアナウンサーが原稿を読み始める。
「アメリカ国防省は、敵が一定の距離に近づいた場合、レーザー兵器によって迎撃が可能であると発表しました。回線がつながり次第、アメリカから中継でお送りいたします」
井ノ原「俺らが出る幕ないじゃん」
堂本光一「いや。ヒガシ・サンはすぐには地球には来ん。離れたところから、地球の消耗を待つつもりや」
堂本剛「地球には、宇宙まで行って戦える兵器はないやろ」
大袈裟「確かに。今まではなかった」
岡田「今までは、っちゅうと、今はあるんかいな」
坂本「ある。俺と大袈裟が作っているところだ」
井ノ原「へえ、宇宙船作ってるの?」
大袈裟「ただの宇宙船じゃない。宇宙戦艦だ」
岡田「かっこええやん」
森田「そうなると、俺たちの出番か」
三宅「宇宙まで行くの? 戦いに」
井ノ原「すごいことになってきたな」
あい「宇宙で戦うなんて、なんか、こわーい。あのヒガシっていう人、いけてるから、征服されちゃいましょうよ」
みの「それは困るよ。健康法はいくらあってもいいんだ。頼む、あーたたちが最後の砦だ」

 字幕。「一週間後」
 テレビのニュース。
「謎の宇宙船は、地球を回る軌道上にとどまったまま、攻撃してくる気配はありません。アメリカ国防省のレーザー兵器も、射程距離をはずれているため、効果を上げることはできずにおります。では、町の様子です」
 公園が映る。昼休みのサラリーマンが、芝生の上で腹筋に励んでいる。
アナウンサー「このように、征服された場合に備えて、腹筋の練習をする風景が町のあちこちで見られます」

 まだ営業を始めていない海の家。
マボ「ほら、リーダー、しっかり。まだ百回しかやってないよ」
ジョー「も、もう無理や……」
タツヤ「俺と一緒にがんばって、腹をへこまそう」
タイチ「練習すれば、できるようになるよ」
 みんな必死に腹筋をしている。
トモヤ「腹筋はいいんだけど、三千数えるのが難しいなあ」
 ジョーは息も絶え絶え。
ジョー「腹筋できるようになったら、ヒガシ・サン、お年玉くれるかな」

 宇宙船。
 ディスプレイに映る、腹筋に励む人間を見てほほえむヒガシ。

 宇宙に浮かぶ青い地球。
 そのかたわらに光る宇宙船。

 おもいっきり御殿。
 門の前には報道陣の車がひしめいている。

 応接間。
 みのさん、坂本、大袈裟、Vレンジャー、堂本光一、堂本剛がそろっている。
 坂本、大袈裟、井ノ原、森田、三宅、岡田は戦闘服だが、あいは普段着。
みの「じゃあ、頼んだよ、君たち」
坂本「はいっ。撃退してみせます」
大袈裟「無事に帰ってきた暁には……」
みの「わかってるよ。うちの正社員だ」
井ノ原「就職活動に利用するなよ」
岡田「でも……」
と、あいをみる。
三宅「あいちゃんなしで戦うっていうのは」
森田「不安だよな」
あい「あら、あたしがいないと淋しいの? なーんだ、ほんとはみんな、あたしのこと好きなんでしょ」
岡田「いや、そういうわけやのうて……」
井ノ原「純粋に、戦力として……」
堂本光一「あかん。姫を危険な目に遭わせるわけにはいかんのや」
堂本剛「姫に何かあったらどないすんねん」
井ノ原「俺たちは死んでもいいのかよ」
 大きく頷く堂本光一と堂本剛。
みの「さあ、みんな待ってるから。生中継だよ」
あい「みんながんばってねー」
 坂本、大袈裟、井ノ原、森田、三宅、岡田は緊張した面もちでVレンジャー本部へ向かう。

 おもいっきり御殿の門の前。
 日はだいぶ西に傾いている。
 マイクを手にしたレポーターが、門が開いたのを見て叫ぶ。
「あ、門が開きました。みのさんです、おもいっきり商事の社長、みのさんが現れました」
 カメラマンや記者が殺到する。
みの「やあ、みんさんご苦労さん。いよいよ、あたしが育てた戦隊が迎え撃つことになりました。もうすぐですよ。期待しててください」
記者「費用はみのさんが負担されたという話ですが」
みの「そうよ。あたしが地球のために私財をなげうったの」
記者「乗組員は全員若者だという話ですが」
みの「そ、若いよ。見た目があんまり若くないのもいるけど、年齢は若いから」
記者「やっぱり、宣伝をかねているんでしょうか」
みの「あーたね、失礼じゃないの。こっちは純粋に地球のためにやってるんだから」

 Vレンジャー本部。
 六人は、カロチン・ロボがおいてあった工場へ行く。
 巨大ロボットの足元が映る。
岡田「宇宙戦艦ちゅう話やったはずやのに」
坂本「しょうがないだろう、予算がないんだから」
三宅「それにしても、ほかのデザインないの」
大袈裟「こうしろって、指定されたんだよ」
井ノ原「これって、カロチン・ロボを改造しただけだよな」
森田「もっとかっこいいのに乗りてー!」
坂本「文句いうなよ」
大袈裟「みのさん、今度は国会議員になりたいそうだ」
 あまり気乗りしない様子で乗り込んでいく六人。

 応接間。
 テレビを見ている堂本光一、堂本剛、あい。
 おもいっきり御殿の門の前で、報道陣に取り囲まれているみのさんが映っている。
堂本光一「いよいよや」
堂本剛「行くんやな」
 あいは緊張した表情で画面を見ている。

 宇宙戦艦の操縦席。
 操縦席に坂本。その後ろに長野。右に井ノ原と岡田。左に森田と三宅。
森田「何で俺がセンターじゃないんだよ」
大袈裟「これは、坂本くんじゃないと操縦できないんだ」
岡田「たまにはセンターになりたいってことかいな」
大袈裟「いや、僕がそうしたんだ」
坂本「今回だけは俺にやらせろ。それに、座席は一人一人の体型に合わせて作ってあるから、今更変更はできない」
三宅「センターなんて誰でもいいじゃん」
井ノ原「早いとこ行こうぜ」
大袈裟「よし、行こう。坂本くん、頼む」
坂本「パスワードを言わなくちゃいけないんだよな。行くぞ! ラーメン大好きツルッ!」
 操縦席が振動し始める。
坂本「くそう。俺はこんなパスワードを知りたがっていたのか……」

 門の前。
レポーター「あっ、音がします。地面が揺れています。いよいよ、地球の運命を背負った若者たちが旅立つのです。あっ、先端が見えてきました」
 おもいっきり御殿の庭から、宇宙戦艦がせり出してくる。
 その先端は、みのさんの顔になっている。
 夕焼けをバックに、空気を震わせながら、宇宙戦艦はその姿を現していく。
 全身が映ると、スーツを着たみのさんの姿。しかも、「みのもんた」と書かれたタスキをかけている。
みの「どーよ、あのデザイン」
記者「……」
みの「乗組員は、宇宙戦艦みのさん、って呼んでくれてるのよ」
記者「……」

 海岸。
 海の家の屋根の上。鉄板DISHの五人が、夕日を反射させながら小さくなっていく宇宙戦艦みのさんに向かって手を振っている。
「がんばれよー」
「頼むぞー」
と、叫びながら。

ナレーション「さらば地球よ、旅立つ船は、宇宙戦艦みのさん。こうしていよいよ決戦の火蓋は切って落とされようとしていた。果たして六人はヒガシ・サンを撃退することができるのだろうか。ゆけ、Vレンジャー、盛り上げるだけ盛り上げておいて、次回からは番外編になってしまう戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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