第20話 「またまた最終回」

(by hongming)

ナレーション「鉄板DISHが海の家経営に回されることになり、敵がいなくなったVレンジャー。しかし、宇宙からの訪問者、謎の白馬コンビ。Vレンジャーに休息の時はない。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 坂本の秘密工場だった所。鉄板DISHとVレンジャーが荷物を運び出している。坂本と大袈裟も手伝っている。
 あいはバンダナで鼻と口を覆い、はたきをかけている。もうもうとほこりが舞い上がり、嫌な顔をする。
坂本「なつかしいなあ」
ジョー「いろんなことがあったなあ」
三宅「あんまりいい思い出ないけどね」
井ノ原「白雪姫とか……」
森田「思い出すなよ! そんなこと」

 宇宙。銀色の宇宙船が音もなく画面を横切る。
 巨大ディプレイの地球を見ている人物の後ろ姿。
 カメラが移動し、その人物の横顔が映る(東山紀之)

 鉄板DISHの引っ越し。
 機械だけが残され、生活に必要なものはなくなった地下工場。
 感慨深げに工場を見回す坂本。
坂本「俺の作ったものは残しておくのか」
ジョー「海の家に持っていくわけにはいかんやろ」
 興味深そうに機械を見て回っている大袈裟。
大袈裟「あれ、これは瞬間移動装置だよね」
タイチ「ああ。改造したんだ。もっと強力にした。でも、もう必要なくなった」
岡田「そらそうやな。戦わないんなら、使い道ないもんな」
あい「便利なのにね」
大袈裟「でも、使いすぎると大変なことになる。使わない方がいい」
三宅「エネルギーもたくさん使いそうだしね。資源は大切にしなくちゃ」

 離れたところで森田とトモヤが話をしている。
森田「そういえば、馬に乗ったやつどうした」
トモヤ「馬? なんだそれ。そんなの知らないよ」
森田「あれっ、そっちの仲間だって言ってたはずだけど……」

 みのさんのおもいっきり御殿。
 ガウン姿のみのさんが受話器を手にしている。
みの「え? 休戦? 休戦も何も、あたしは戦争なんかしたくないんだから。そりゃあ、宣伝はできなくなるけど。そうねえ、解散っていうのはちょっと。リストラもやりすぎると会社の評判にもかかわるしねえ。でも、敵がいなけりゃ存在意義はないわけだし」
 受話器を置くみのさん。
「近藤商事は何考えているんだ」

 Vレンジャー本部。
 大袈裟、坂本、Vレンジャーが帰ってくる。
坂本「味方にはできなかったけど、もう、あいつらと戦うこともないんだな」
三宅「世の中、平和になったんだね」
あい「わたしたちのおかげよね」
大袈裟「みんな、よくやってくれた」
森田「けっこう面白かったな」
井ノ原「でもさあ(と、坂本と大袈裟を見る)」
坂本「何だ」
井ノ原「敵がいなくなったっていうことは、Vレンジャーもいなくてもいいってことだよね」
坂本「まあな」
大袈裟「と、いうことは……」
井ノ原「俺たちはアルバイトみたいなもんだったからよかったんだけど」
大袈裟「僕は失業……」
井ノ原「そういうことになるよね」
坂本「それは困る。この不景気じゃ、簡単に仕事なんか見つからねえ」
大袈裟「こんなことなら、おもいっきり商事の正社員にしてもらってればよかった……」
 そこに電話が鳴る。
大袈裟「はい、あ、みのさんですか。こんにちは。え? 話? はい、すぐうかがいます。え? ええっ! Vレンジャーの今後について? 分かりました、すぐうかがいます。坂本くんも一緒に行きます」
 顔を見合わせる一同。
森田「じゃ、俺帰るから」
岡田「俺も。面白かったで」
あい「あたしも。デビューのきっかけにできるかも」
三宅「楽しい思い出ができました。ありがとう」
 四人がぞろぞろと出ていくが、井ノ原は残っている。
大袈裟「君はどうするんだ」
井ノ原「俺……」
坂本「俺たちと一緒にここに残るのか」
井ノ原「ちょっと持ち合わせがなくて。帰りの電車賃がないんだ。貸してくれねえかな」
 顔を見合わせる大袈裟と坂本。


 宇宙船。
 ディスプレイに映る地球を見ているヒガシ。
「何としてもこの星を手に入れよう」

 おもいっきり御殿の無意味に広い応接間。
みの「いやあ、鉄板DISHのスポンサーっていう方から連絡があってね。向こうはもうやめる、っていうんだ」
大袈裟「そうらしいですね」
みの「知ってたの」
坂本「さっき、連中の口から聞きました」
みの「それなら話は早い。で、Vレンジャーのことなんだけどね。言いにくいけど……」
大袈裟「もう必要ない、ということですか」
みの「ぶっちゃけた話、そういうことなのよ」
坂本「そうですか……」
 暗くなり、俯く二人。
みの「でもね、たださようならっていうんじゃ、あたしの評判にも関わるし、あーたたちはうちの社員になってもらおうかと思ってるんだけど」
 とたんに顔を上げる坂本と大袈裟。
二人「ありがとうございます!」
みの「じゃ、Vレンジャーはもういいかしら」
大袈裟「いいもなにも」
坂本「あんなの最初っからいらなかったくらいなんですから」
みの「じゃあ、これで決まりだね。乾杯しよう」
 みのさんが合図すると、使用人がシャンパンとグラスを載せたワゴンを押してくる。
 シャンパンが注がれ、三人は笑顔で手に取る。
 使用人は出ていき、三人は乾杯。

ナレーション「こうしてVレンジャーは解散し、大袈裟と坂本の就職も決まった。なんだか釈然としないが、謎を残したままVレンジャーRもまた最終回を迎えることになった。ありがとう! さようなら!」

みなみ「ちょとお」
hongming「な、なにか……」
みなみ「何で自分はそうやっていいかげんなことばっかりするのよ!」
hongming「自分って……。みなみさん自分でいいかげんだと思ってるの?」
みなみ「あたしじゃなくて自分のことよ」
hongming「あ、そうか、その自分って、私のことね」
みなみ「ええかげんなことばっかさらすと、しゃーかれんどー、終いにゃー」
hongming「ひっ……」
みなみ「分かってるわね。ちゃんと続けなさいよ」
hongming「は、はい……」

ナレーション「とうわけで、まだまだお笑い事、じゃなくて、終わらないことになったVレンジャーR。これはhongmingが、命を削って提供している物語である」

 おもいっきり御殿の応接間。乾杯のグラスを口に運ぼうとしている三人。
「ちょっと待った!」
 応接間に声が響き、突然白馬が現れる。
 みのさん、坂本、大袈裟はビックリしてグラスを取り落とす。
みの「な、なんなの、これ。なんで馬が」
「Vレンジャーがなくなったら困るんや」
坂本「馬がしゃべってる……」
「ちょっと話をきいてや」
大袈裟「ははあ、夢落ちだね。目が覚めたら夢だったっていうんだろう」
「夢やない」
 馬の首がはずれ、中から堂本剛が顔を出す。背中のファスナーも開いて、堂本光一が出てくる。
みの「な、なに、あーたたち」
堂本剛「あーしんど」
堂本光一「よっこいしょ」
 二人は馬から出てくる。抜け殻になった馬はそのまま立っている。
坂本「何なんだよ、お前ら」
堂本剛「これはほんま肩凝るなあ」
堂本光一「こっちは腰にきそうや」
大袈裟「だから、お前ら誰なんだよ」
 二人は肩や腰をさすりながら、そばにあったソファーに腰を下ろす。
みの「あ、あーたたち、一体……」
堂本光一「俺ら、宇宙から来たんや」
坂本「う、宇宙?」

ナレーション「なんと、二人は宇宙からの訪問者だった。彼らのねらいは何か。そしてヒガシは何をするつもりなのか。風雲急を告げる新展開。行け、Vレンジャー。だてに待たせたわけじゃない戦士たち。このシリーズは、題して『天空死闘編』だ!」

TO BE CONTINUED!


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