標高750m〜850mぐらいの田園地帯(里山)での四季を通した野鳥の観察。
環境は、点在する民家と果樹園地帯だが、山に近い畑は原野の状態になっている。東は大菩薩山系、西は甲府盆地を望んでいる。
春に見られる野鳥
【ウグイス、メジロ、ホオジロ、燕、セキレイ、ガビチョーなど】
この時期は、冬鳥が北に向かい、低地から徐々に移動してくる(漂鳥)たちと南の国から渡ってくる野鳥たちである。
ウグイスは誰もが知っている代表的な春の野鳥で、春先はさえずりが下手で、上手にさえずるのは4月下旬頃になる。
林に隣接する草藪や、ススキが生い茂る原野を好み、5月に入ると四方八方から聞こえてくるが、姿は見ずらい。
メジロも珍しい野鳥ではないが、目の周りが白く、黄緑いろで大きさは小さくかわいらしい。
果物や花の蜜を好み、冬でも街の公園や住宅の庭でも見られるが、春のこの時期は雑木林などでさえずっている。
ホウジロは冬でも見られる留鳥で春の早い時期からさえずりが聞ける。畑地帯の草原や草藪を好み、ちょっとした枝先でさえずっているので目立つ。
大きさはスズメぐらいで、雄の頬が白く、名前の由来になっている。地方名で「セット」と呼ばれている。
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燕は南の国から海を渡ってくる最も早い野鳥で、3月下旬には見られる。
最近は燕の巣をカラスが狙い、最大の天敵にカラスを揚げても大げさではなさそうである。
セキレイは田んぼを耕していると近くまで寄ってきて餌の虫をあさっている。
また、住宅地の水路沿いの石積みのすき間に巣をつくり、いつも尾を上下させ周囲を警戒している。
ガビチョウは、ペットとして輸入された小鳥で、スズメより一回り大きく、低木の藪を生息域とし、ウグイスと同じなので、繁殖力の高いことからうぐいすへの影響が危惧される。
この鳥は、私の記憶では、1990年代の初め頃から現れ、今ではかなり多くの数が確認できる。
さえずりは大きく色々なバリエーションを持っているので面白い。
ガビチョウのさえずり
夏に見られる野鳥
【カッコー、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチ、オオルリ、コマドリ、アカハラ、ヨタカなど】
この、カッコー、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチは自分では巣を作らず、他人の巣に卵を産む託卵組でオナガやウグイスの巣に卵を産み、ヒナになるのが早く他の卵を巣から落とし、自分だけ育ててもらうちゃっかり者である。
ホトトギス以外の3種の名前の由来は、泣き声からきているが、ツツドリは手のひらで筒の小口をたたいたときの音に泣き声が似ていることからつけられたといわれている。
カッコーとジューイチは泣き声が名前そのものである。カッコーについては、街の交差点で1年中聞くことができる。
オオルリは、標高1000メートルぐらいから1500メートルの渓流沿いの樹林を好み、5月上旬は山に向かう途中で、里山や、農村地帯のチョットした木の先端で囀っている姿が見られる。大きさはスズメぐらいで頭が青く、腹は白で背中から尾にかけ瑠理色で奇麗である
夏に代表される野鳥はほとんどが南の国から海を渡りやってくる、特にコマドリは最近減少していると聞くが、登山などで山に行くと標高1500メートルぐらいの渓流沿いの熊笹のある自然林を好み、倒れた木の陰や、木の根元にこけで巣を作り、雄の囀りが馬のいななきに似ていることから名前が付けられたと言われる。
姿は、スズメぐらいで、オオルリが足が短いのに比べ、足が長く熊笹の中での生活環境に適している。雄は喉が光沢のあるオレンジでおなかは白っぽく頭から尾にかけて赤褐色で奇麗である。
アカハラはツグミ科の小鳥で、スズメより一回り大きく、水田が隣接する山林で「キョロンキョロンとないている姿を見かける。
ここで暑い夏に少し涼しい野鳥の話をします。
昼でも薄暗いような森で、霧が覆う朝や夜に、物寂しげに聞こえてくるのが「ヌエ」と呼ばれる鳥です。
「ヌエの泣く夜は不吉なことが起きる」とある小説の一節がありましたが、その正体は「トラツグミ」という鳩より少し小さな野鳥です
しかし、一人で山の中でこの鳥の声を聞くと、背中がゾクゾクしてきます。
夜に活動する野鳥に、「ヨタカ」がいます。この鳥はやはり鳩より少し小さく、飛びながら泣いていますが、暗がりでそばを飛び去ってもほとんど羽音が聞こえてきません。この鳥も知らないと少し気味が悪いです。
6月〜7月にかけて、夜になると家の近くまで泣きながら近づいてくることがよくあります。
巣は開けた山の斜面で地面に作り、2個の卵を温めているのを見たことが有りますが、その姿は地面の色彩に溶け込んでいて気がつかないほどでした。
秋に見られる野鳥
【ヤマガラ、エナガ、コガラ、ヒガラ、カワラヒワなど】
秋は、子育ても終わり南に渡る時期を待つ若鳥や親鳥がいるが、ほとんどが囀らず姿は見えないので、留鳥と言われる野鳥を挙げてみた。ヤマガラなど、ガラ類と呼ばれる小鳥は赤松が混ざる落葉樹林を好み、秋には数種の鳥が群れをつくり樹林を泣き交わしながら移動するので見つけやすい。
ヤマガラはスズメより小さく、黒い頭にイナズマのような線の薄茶色の模様が走り、背中から翼、尾にかけて灰黒色で、わき腹が茶褐色で虫や、木の実などを好んで食べる。
足でヒマワリなどの種子を抑え、中の実だけを食べる姿には、あいきょうがある。
エナガは名前のように、尾が長く、大きさはメジロぐらいでとても小さな野鳥で、雑木林をジュルジュルと泣き交わしながら群れで移動する姿が見られる。
コガラは、比較的標高の高い山を好むが、ヤマガラやシジューカラと群れでいるのを見かけるときがある。
ヒガラはガラ類では一番小さく、他の鳥と群れにはなるが、あまり移動距離は長くはないようである。
カワラヒワは(地方名をアワズ)と呼び、秋にはヒマワリの実やソバの実などを群れで食べている姿が見られる。
生息域は広く、町の公園や山村の田園地帯に多く、比較的人里に多く見られる。昔は、田んぼの苗代の籾を食べるいたずら者であった。
カトリ化(カナリア)の仲間で春に、公園の木や電線に止まり「リリリリビーーー」とさえずっているのをよく聞くことがある。
冬に見られる野鳥
【つぐみ、ジョウビタキ、ウソ、ベニマシコ、深山ホオジロなど】
姿を見るのならこの時期は、木の葉が落ち見やすい。しかしさえずりはなく声で種類を区別するのは難しいが、地泣きを憶えると比較的楽に判断がつく
つぐみ、ジョービタキ、ベニマシコは北のシベリアなどから渡ってくるといわれ、つぐみ、ジョービタキは家の庭や畑などでよく見られる。
ベニマシコについては里山に隣接する草原や草やぶにいて、草の種子などを食べている姿が見られる。
ウソ、深山ホウジロは標高1500m以上の山で春から秋を過ごし、冬には標高の低い林や草原で過ごす。
ウソは数匹の群れで口笛のような泣き方で泣き交わしながら木の種子や草の種子を食べている。比較的木の高い枝に止まるので良く目立つ。
ウソが春先に桜や梅の莟が膨らみ始めた花芽を食べてしまうことも有るが、最近は数が減少しているようである。
この「ウソ」と言う名前は、口笛のような泣き声から古い口笛の呼び方「オゾ」からきたともいわれている。