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ユズおよびナンテンの自生地

柚子の花 本村の山林地帯はスギ・ヒノキの(檜・扁柏)造林地を除けばアラカシとシラカシを主体とする広葉樹林で、それらにまじって、いたる所にユズがあり、場所によっては、ユズも主要林木のひとつとなっています。
 殊に多いのは字遠谷金山と、字大浴とです。遠谷金山の自生地は曹洞宗福昌院の寺領で、20ないし30度の斜面のアラカシ林の間に、大小数10本のユズが混生し、大浴では、原生林中の絶壁上に群生し、果して何本あるかはわかりませんが、晩秋の候に果実が鮮黄色に熟してくると、満山に黄金を鏤めたかと、見紛うほど美しいものです。

柚子 もともとユズは楊子江上流の原産とされ、甘粛・雲南・西蔵などで採集されており、古くは柚といい、博物志(10巻・晋の張華が選述した)・紹興本草などにも記載されていますが、いつの間にか柚はサボン(ウテムラサキともいう)の名称とかわり、今では、浙江省ではユズを香橙とよんでいます。

わが国では延喜式(50巻・延長5年2月成る)や倭名抄(延長年間、源顕の著、和名類聚抄の略、20巻)・続日本記(六国史の1で40巻、文武天皇の元年から恒武天皇の延暦10年までの90年間の実録)・三代実録(六国史の1、源能有らが選述した清和・陽成・光孝三代の天安2年8月から仁和2年8月にいたる実録、50巻より成る)などには柚子として記述されているので、唐代あるいはそれ以前に渡来したものかと思われます。

両国本草(元文2年島田知庵編、長防長産物名寄)には古代中国と同じく柚もしており、1つにモチユとも云うと述べていますが、わが国にも原生地があり、そのうち本村のユズについては中井猛之進博士は「四囲の植生状態と、この地域の沿革から推論して、野生化でなくし原生である。」と言明しておられ、日野 巌博士も「ユズは鳥獣が食してこれを分布するわけではないし、また、ここのは人の移植したものでもないから、自生であることは明らかである。」と大鼓判を押されました。
南天 また本村は全村にわたり、天然林・人工林の別なく、下木の5ないし8割はナンテン(南天・南天竹・南天燭。方言まるてん)であり、初冬全山一斉に紅葉し、漿果が紅熟した状は、まさに状観と云えます。本村のような多産地は全国に例が少なく中井博士を「世界第一の多産地と」推賞させたことでもわかります。

 川上の字遠谷金山と、字大浴のナンテンは、ユズとともに昭和16年12月13日「川上のユズおよびナンテン自生地」として天然記念物に指定されました。
6円のナンテン切手が発行(S.37.2.20)されるとともに川上郵便局にはマニアの好む風景集切手があります。

■所在地 山口県萩市川上遠谷

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