帯 喜 多(おびきた)

 近鉄八尾駅を南に仏壇店の多い表町筋を西へ。もと大和川の本流で大阪の真ん中に通う剣先船の船着場のあった長瀬川を渡る。大きな石の道標を左に見て、真っすぐ歩き、府道大阪八尾線を渡ると、そこは久宝寺寺内町の入り口。お逮夜市の出た道を顕証寺へ向かって二百メートルほど行けば、上水道のはしり寺井戸がある。その手前が帯喜太。

 久宝寺一の四、菊田さんの店である。創業以来百二十年。先祖は呉服商だったが、寺井戸の豊富な水を使って葉子造りを始めたのが喜太郎さんの時。帯屋の喜太郎というところから、〃帯喜太〃と、いつか呼ばれるようになった。

 以来「あん巻き」、「ういろう」が専門。客足に合わせてその都度造り、店頭で一時問以上葉子を寝かせないという。帯喜太の魅力はなんといっても手造りの魅力である。〃手造り〃〃客足に合わせて〃こういったこまやかな心づかいが、帯喜太を百年以上も支えてきたヒケツのようだ。

 むかし久宝寺御坊の「お逮夜」みやげは、河内木綿と帯喜太あん巻き……といわれたそうだ。御坊前で江戸中期から始まったといわれるお逮夜市が、大型店の進出や交通事情で東へ移り、八尾御坊の市といっしょになったいま、盛んだったお逮夜市をしのぷものは帯喜多の「あん巻き」と「ういろう」だけになってしまった。