2006年6月23日(金) 利尻山 (1721m) 天気:雨後曇り
ウニ漁の漁師さんが獲ったばかりのムラサキウニを食べさせてくれた。海水の塩味がきいている。ムラサキウニはやや白っぽくバフンは黄色い。日ごとに獲るのを変えているそうだ。ムラサキウニを加工した漁師さんの手は本当に紫色になっていた。バフンはそうはならないらしい。海岸は昆布を干すために玉石で綺麗に整地してある。今は昆布の時期ではないが、天気が悪いときは干せないので漁には出ないそうだ。生活が自然と一体になっている。
フェリーの出発の10時まで時間があるため、朝食後ペシ岬や海岸を散歩する。カモメが漁師の捨てたウニの殻から残った身を食べていた。
翌朝も3時過ぎに目が覚めてしまった。宿の窓からは曇っているが海面が日の出で明るくなった。日の出は東京より1時間位早いのか。朝早くからウニ漁で宿の近くからもたくさんの船が出ていた。漁は資源保護のため朝5時半から7時までの限られている。
2日目の夕食は初日とは少しメニューが変わりナマコ、イカ飯、ホタテ、味噌なべやウニ丼が出た。
礼文島を望む。利尻と違いこの島はなだらか。
利尻富士にはエゾカンゾウが良く似合う。
宿に戻ってからマルゼンのリーダに時間の使いかたを相談すると空港近くの夕日ヶ丘展望台まで送ってくれる。エゾカンゾウが一杯咲いている展望台で、礼文島をはじめ登った利尻富士の稜線がほぼ頂上近くまで見えた。利尻富士の稜線は厳しく空に伸び、つい半日前にその頂上に立っていたとは大したものだと思う。
13:20 登山口に到着する。写真撮影が長かったため下りも登りと同じくらいの4時間かかった。公衆電話でマルゼンさんに電話して迎えを依頼する。温泉まで送って貰い、汗を流し畳の和室でビールを飲みながらサッカーの日本−ブラジル戦の録画を見る。ちょうど登っていた時間帯に試合がありラジオや登山者間の情報交換で頂上で日本が負けたことを知った。奇跡は起きない。山中で出会った新潟からきたおばさん2人と温泉でまた会った。雨のため途中で登山をあきらめポン山、姫沼、サイクリングロードを歩いて温泉まで延々8時間も歩いたそうだ。良く喋り元気である。この人達には礼文岳でも会った。
やっとポン山や海が雲間に見え出した。
キバナノコマノツメ。
ミヤマハタザオ。小さな花でマクロで撮影。
六合あたりで降りてきた尾根を見上げる。
エゾノハクサンイチゲとイワベンケイ。
ミヤマオグルマ。
頂上で空が少し青くなったが視界は無し。ローソク岩も見えない。昼食を食べて視界の回復を少し待ったが、変化がなく寒いので9:15下山する。下りは時間がたっぷりあるので九合から八号の御花畑で雨の雫のついた高山植物の写真撮影をたっぷり楽しむ。初めて見る花が多く、また名前も北海道独自の物がある。
8:45登山口から4時間半で頂上に到着。98山目。祠があり漁船のスクリューがたくさん奉られていた。頂上の看板がこの写真では写っているが後で無くなったようだ。
オオバナノエンレイソウ。木陰に咲いていて花弁が雨で透き通っている珍しい花。
八合目あたりで雨は止む。登山道脇に雪渓が残っていた。八合目の先に非難小屋があるが泊ったご夫婦の話ではとても寝られるものでは無いとのこと。
背負子投げの難所と呼ばれる急斜面。地盤がもろく、雨と登山者により3m以上もえぐられている。何時までも保存するためにストックを禁止するとか木道を敷くとか必要では無いだろうか。
4:15身支度を整えて登山口を出発。
10分程、舗装道を歩くと名水百選に選ばれている甘露泉がある。ここで水筒の水を入れ替える。名前の通り水はなめらかで甘い。
甘露泉からは登山道となる。雨がパラパラと降っており私はウインドブレーカと傘、谷口さんは上下カッパの完全武装で登る。五合目あたりで尾根に出るが見晴らしは無く、ただ黙々と登る。ダケカンバの登山道は快適であるがハイ松に変わると道幅は狭くなり歩きにくい。
千歳から利尻への飛行機はDHC8−300型。56人乗りのプロペラ機であり機体にスズランの花が描いてありかわいい。離島に行く期待が高まる。利尻空港の視界が悪いため丘珠空港(オカダマ)に引き返す場合があるとの条件付きででの出発となった。また出発も30分遅れた。丘珠に戻ってしまうと利尻に着くのは翌日になるのでひやひやしたが無事着陸できた。利尻空港は雨である。民宿マルゼンの女性スタッフが迎えに来てくれていた。スタッフによると6月は天気の悪い日が多く飛行機が着陸できず引き返す事がたまにあるそうだ。
利尻山の全景は利尻にいた2日間では望めなかったが礼文からははっきりと見えた。詳細は礼文岳のページを参照。フェリーのマストと利尻富士。カモメが何時までも付いて来て餌をおねだりしていた。
百名山も残り3山(利尻、聖、光)となった。離島の利尻山を最後にしようかと考えていたが6月末が花の良い時期で、南アルプスは7月末にならないと小屋が開かないこともあり、今回6月に利尻山と礼文岳に登ることにした。完登することも大事だが山を楽しむことはもっと大事にしたい。おかげで利尻島の高山植物や離島の鄙びた雰囲気を楽しめた。
6月22日(木)
羽田空港9:00---新千歳空港10:35/13:15---利尻着14:15---お宿マルゼン15:00---ペシ岬、温泉湯元
ミヤマアズマギク。
空港から鴛泊の民宿までは車で5分ほでである。夕食まで時間があるためペシ岬の丘に登る。黄色いエゾカンゾウが丘の斜面一杯に咲いていて、港の漁船やフェリーが見下ろせた。ペシ岬を西側から見た人の頭部のように見える岩にはたくさんのカモメが巣を作っている。利尻富士温泉が近くにあり、そこで小雨の中、1時間程ゆっくりと露天風呂につかる。サウナもあり設備は良いが背中に彫り物をした若い人が多いのがどうも気になる。東京では考えられないことだ。
夕食はフェリーターミナルにあるマルゼン食堂で食べる。ウニを始めタコを冷凍スライスしてシャブシャブで食べるタコシャブやウニの潮汁、刺身、ザンキ等大満足。民宿マルゼンは岩崎元朗さんのアドバイスで登山者向けに始めたとのこと。料理もさることながら送迎等細かなお世話をしてくれありがたい。翌日の天気は早朝3時頃が雨で後、曇りの予報である。日程に余裕の無い我々は登るしかないので早々に寝ることにした。
6月23日(金)
宿4:00---利尻北麓野営場4:10/4:15---甘露泉4:30---5合目5:30---7合目6:15---8合目7:20---9合目8:00---利尻山8:45/9:15---9合目10:12---6合目12:00---利尻北麓野営場13:20---利尻富士温泉湯元---夕日丘を散策
朝は3時頃から明るくなったが天気予報通り雨で部屋の窓からは日の出も見えない。4時に宿の前に出て朝食&昼食の弁当を受け取り、下山後温泉に送ってくれるので着替えを預ける。当日民宿からは13人が2台のワゴン車に分れて出発した。宿から10分程で3合目登山口に到着する。登山口には綺麗なトイレがある。
エゾカンゾウ。