障害者の活動の場(2の1)*パソコンで広がる*洋式?手すりある?トイレのお知らせも |
北海道新聞1997年1月30日朝刊 |
*世間話や施設情報仲間同士で気軽に手足など不自由な障害者がパソコンを活用し、活動の場を大きく広げている。網走や札幌では障害者自らパソコン通信のホストを開設し、仲間からも好評。またパソコンを使って絵画を制作する人や、データ入力などに利用する小規模作業所もあり、障害者が経済的に自立する手段の一つとしても注目され始めた。道社会福祉協議会では「障害者の社会参加を促すための重要な手助けになっている」とパソコンの利用が増えることを期待している。 |
■通信で交流 パソコン通信は、電話回線とパソコン、通信ソフトなどがあれば利用できる。同通信の主催者(ホスト)に申し込んで会員になる必要がある。神経性難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の網走市呼人三三九、吉田雅志さん(32)は昨年十二月九日の「障害者の日」に障害者のためのパソコン通信ネットワーク「フルバック」を開設。車いす生活を送る吉田さんは、ALS北海道支部を結成するため「気兼ねなく語り合える場をつくろう」と、札幌のパソコン通信「わがままネット」 会員の支援を受けて、開設にこぎつけた。 会費は無料で、現在、札幌や網走管内の保健婦、道職員ら二十四人が登録している。一カ月間の利用は約二百十件と順調だ。会員同士は食事や出かけた先など日記風のやりとりで気ままな交信を楽しんでいる。吉田さんは「将来は福祉情報のページも作り、役立つ情報を提供したい」と会員拡大に張り切っている。連絡は(電)0152・48・2946へ。
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「フルバック」を支援した「わがままネット」は一九九三年に、筋ジストロフィーで
手足に障害のある川島守さん(38)=札幌市南区=が自宅に開設した。車いす生活の川島さんが「仲間同士で手軽に対話をしたい」と非公開で設定できるパソコン通信のホストになった。 現在、札幌市内を中心に男女百人が会員登録し、うち四十人が障害者。会費は無料。二十四時間いつでも同ネットに通信することができ、会員同士でメッセージをやり取りしている。これまで約三万件の利用があった。 同ネットには車いすで行ける札幌市内のホテルや公園、デパート、公共施設、飲食店情報のほか、トイレは洋式か手すりがついているかなど細かく盛り込んでいる。障害者の小規模作業所などの情報もある。これは川島さんがボランティアの協力で街へ出かけ、足で稼いだ情報を入力した。 |
同ネットではパソコン通信体験セットの無料貸し出しも行っている。対象は原則として、札幌市内の障害者とその家族。期間は一カ月間で、会員がボランティアで指導する。 川島さんは同ネットへの参加のほか、使用していないパソコン本体と通信ソフトなどの寄贈を市民に呼び掛けている。問い合わせは川島さん(電)。 |