第80回植村直己・帯広野外学校
伏美岳のてっぺんでキャンプ! 「自然探験学校2012」レポート  
     
★記念すべき80回目の野外学校は10月6日〜8日に、日高山脈の伏美岳に登って頂上でキャンプをしました。
 参加者は、サバイバルキャンプにも参加した男子3名。山は、秋晴れ・快晴の絶好のコンディション、満天の星空、十勝平野の夜景、朝日に映えた日高山脈の絶景を満喫して、無事に全日程を修了することができました。
参加メンバー/菅原崚佑(美幌町・中2)、伊藤萌林(帯広市・中1)、竹内皇喬・(芽室町小6)
スタッフ/矢満田啓明(アタック隊長)、佐藤俊明(同副隊長)。小貫耕喜(校長)、山本義明・佐々木誠一・北沢 実・梶美恵子(サポート隊) 
  
     
『登山は楽しい!〜3日間の記録と記憶』 アタック隊長 矢満田啓明
 
 もちろん、天気がよければの話。秋の登山は、夏より難しい。麓は暖かくても、山頂は氷点下にもなる冬である。歩けば汗をかく、体を冷せば体調を急激に崩すかもしれない。天候と危険度は、夏より増して比例する。今回、隊長として、安全確保にさらなる細心の注意を払うことを決意した。
 開催の前日、天気予報を踏まえ、スタッフで討議した結果、登山の日を当初の1日目から2日目に変更した。
 1日目。丸太切りや薪割りなど、登山と関係のない作業をした。参加した子供達から、丸太切り競争しようよ!と、要望があった。夏以降、体力作りし鍛えたこの肉体。しかし、勝ち負けより大切なことがある。明日の登山、隊長がバテてはならない。子供たちに、丁重にお断わりした。果たして伝わっただろうか。
 夜は皆でチャンチャン焼きといくら丼だ。明日の登山に備え、とにかくエネルギーを蓄えようと口に頬張った。隣のスタッフから、なんと勿体ない食べ方かとグチられもしたが、これも子供たちの安全確保のためと心で応えながらいくらを頬張った。食事の後には、登山に必要な持ち物の再確認や、荷造りの基本などを教える時間が、たっぷり確保できた。これは、今回の大きな成果であった。
 2日目。いよいよ登山。アタックメンバーは、スタッフ2名、子供たち3名の計5名からなる。隊列は、子供を挟んで先頭を私、最後尾を佐藤副隊長、である。なんと頼もしいこと!と、思ったのもつかの間。わずか1合目で、あろうことか佐藤副隊長が消化不良による体調不良に。ここで副隊長を欠くわけにいかない。まして、子供らは元気一杯だ。私は、下山の判断を5合目と決め、佐藤副隊長が欠落しないペース配分とこまめな休憩をとりながら、登り続けた。多すぎる休憩は、飽きるしバテやすい。たしか、4合目付近で休憩したときだった。なんとすぐ近くに、森の主とも言われるクマゲラが現れた。滅多にみられない貴重な鳥だ。姿を見たものが数名、しかし皆、その鳴き声を聞くことができた。心なしか、佐藤副隊長の顔色が、これを境に良くなった気がした。この後、我々は順調に進み続け、そして無事、全員登頂することができたのだった。山の神様、ありがとう…
 まだ、礼を言うのは早かった。登頂した我々の前に現れたのは、360度の大パノラマである。帯広の街、夏に登頂した十勝ポロシリ岳、そして背後に連なる日高山脈の悠々たる険しい山並み。すばらしい眺めである。そして夜、気づけば頭上には満天の星空が。いて座に狙われたサソリ座が、すごすごと西に沈んでいき、天の川を伝って目を上げていけば、夏の大三角と秋の四辺形が散りばめられた星々の中で一層輝いている。アンドロメダ大星雲にロマンを抱き。北の空には、大熊と小熊の親子がいつもにまして楽しそうに戯れている。目を下にやると、市街地を除けば真っ暗な闇が広がり、外灯や家屋の明かりが点々と輝いている。なんて素敵な光景なんだろう。地平線などもうここには無く、まるで自分の体と腰掛けている岩だけが、宇宙に浮いているかのような、不思議な感覚である。 しかし、寒い。20時、皆就寝した。
 翌朝、雲ひとつ無い快晴の東の空から、御来光が上り、皆でしばらく眺めた。とても寒いはずなのに、心地よい暖かさを感じた。
 山の神様、ありがとうございました。皆で、伏見岳の頂上に向かってお礼を言い、それから下山した。
 
 近年の登山ブームのなか、登山者数の増加とともに、ゴミや排泄物の放置、高山植物乱獲などの被害が増えている。今回の登山でも、子供たちにこのような話を、しっかり伝えた。そして皆、ゴミと排泄物は全てしっかり持ち帰ってきた。きっと、山の神様が、私たちにご褒美をくれたのだと、思えてやまない。
 

1日目の夕食

2日目朝食つくり

登山準備

登山前のカップ麺

登山開始!

行動食のあんパン

登山中!

頂上到着!

伏美岳の影

頂上のテント

日の出

絶景を見る

朝日の日高山脈

下山前

下山完了!


『参加メンバーの感想文』
 

「秋の探験学校」

菅原 崚佑 (美幌町 中2)

今回は二回目の野外学校でしたが、日にちが短くとても楽しかったです。

一日目は、開校式とマキ割りをしました。マキ割りは前回のようにはいかず、なかなか割れませんでした。

牧場にも行きましたが、望遠鏡のピントがすごく合っていませんでした。けれど牛は見れました。

二日目は、朝ごはんのオムレツがスクランブルエッグになったりと、面白いこともありましたが、やっぱり登山が一番面白かったです。夜景がとてもきれいで、でも、風や温度がとても冷たかったです。

三日目は、朝にしも柱があったり紅茶で舌をやけどするなど、いろいろなことがありましたが、朝の太陽がとてもきれいでした。

下山して、登山口で矢満田さんがビールを飲んでいたりと面白いことがありました。 


「幸運な山登り」

伊藤 萌林 (帯広市 中1)

 今回は初めて山で寝ました。夜は冬のように寒い風が吹き、朝はしも柱ができていました。いつもいる所とは季節が1個ずれていました。そんなきびしい中でも、うれしかったことが2つありました。

 1つめは山が晴れたことです。ぼくは山に登ると毎回ガスがかかって、景色が見えなくなります。けれど今回はちがいました。今回は、登った日も下った日も海成、とてもおどろきました。と、言うのも、前回・前々回のサバイバルキャンプをふくめた本格的に登った山は今まですべてガスがかかっていて、1つの景色も見たことがなかったのです。なので、今回は「山に登るとこんな景色なんだな」とわかりました。

 2つめはシマリスに会えたことです。頂上と、下山中の2回も会えました。ただでさえ会えないのに、2回も会えるなんて、とても幸運だと思いました。

 2つの幸運がついているこの「自然探験学校」に次も来ようと思います。

 

「植村直己 秋の自然探験学校」

竹内 皇喬 (芽室町 小6)

 十月六日、ぼくは植村直己・帯広野外学校の基地に来ました。最初に開校式がありました。みんな前回のサバイバルキャンプにいた人ばかりだったので、自己紹介はしなくても良いような気がしたけど、自己紹介をしました。次に持ち物の確認をしてから八千代牧場に昼ごはんを食べに行きました。

 帰ってきたらまき割りをしました。すごく太いのが割れた時は気持ち良かったです。まき割りが終わったら、カマドをつくり火をつけました。白かばの皮はすごくよく燃えて面白かったです。でもと中で雨がいっぱい降ってきました。だから夕食はタワーの下でやることになりました。夕飯は「鮭のチャンチャン焼き」と「イクラ丼」でした。すごくおいしかったです。

 十月七日。朝六時に起きて朝ごはんを食べてから伏美岳の登山口に向かいました。登山口でカップラーメンを食べて、写真をとってから山に登り始めました。最初はすぐ一合目につきました。でも一合目から七、八合目まではかなりきつい上りでした。頂上では写真をとって、すぐに夕飯の準備にとりかかりました。夕飯はすごくおいしかったです。

 一、二時間したら星を見ました。すっごくキレイだったです。三六〇度星が見わたせました。でも、寒かったから寝袋に入ったら、そのまま寝てしまいました。

 十月八日。朝起きたら朝日がすごくキレイでした。でも寒くて手がこおりそうでした。朝ごはんは、すごく寒かったけどおいしかったです。朝ごはんを食べ終わったら、テントを片づけて下山しました。帰りは滑って危なかったです。登山口についたら写真をとってジュースを飲んで基地に帰ってきました。