『厳冬期最北端』

平成17年2月18〜19日


いよいよ決行の時が来た!
日の出と共に行動開始。気温は−20℃程だと思うが、やはりシールドがしばれる。
とは言え、開けながら走ると凍傷になるのでこびり付いた氷膜を擦りながら走る。
上士幌で給油を済ませ三国峠に向かう。途中、糠平のトイレで休憩して手袋を乾かし、
十勝三股のバス停でまた一服。三国峠もすこぶる快晴で山並みが美しい。

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峠を越えて、大雪湖の除雪ステーションでまた一服。もう一服だらけ。
中で休んでいると、内地からの観光ツアー客に熱烈な変人扱いを受ける。
撮影は勘弁してくれと言いたいが、きっと北海道のイメージアップにつながったに違いない。

観光バスの運ちゃんには親切にも宗谷へのルート情報を伝授していただいたが、
海岸沿いは地吹雪がひどいので内陸の国道40号線を上がった方がイイかもとの事。
何気ない人の親切が温かく身にしみる。
またトイレの温風で手袋や目出し帽を乾かして走り出すが、長いトンネルを走るたびに
「ここでエンジン死んだらイヤだなぁ〜」という旧車乗りにありがち?な想いが頭をよぎる。

愛別から岩尾内ダム〜下川町に抜ける道々は快適な圧雪のワインディングで交通量もかなり少なく
快適に抜けられた。 国道に出ると舗装は出ていて身体に緊張が無く寒さが身に凍みてくる。
廃線跡のバス停で一服しながら名寄を過ぎると雪がガンガン降り出してきて、かなり泣きが入る・・・
交通量の多いR40を避けて裏道に入り、智恵文の無人駅に避難するが、やがて小降りになりまた走り出す。

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腹が減ったので、美深の道の駅で揚げたてのコロッケを食べたのだが、衣がサクサクで実に美味い!
やがて雪も上がり日が差してきたのだが、日差しがこんなに神々しく感じられるとは・・・
まさに生きている実感というやつか・・・路上なのに;;;

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日もかなり傾いてきて、音威子府から天塩に向かうか浜頓別に向かうかしばし悩む・・・
宗谷岬までの道の駅の数の多さと、いざとなれば浜頓別YHに転がり込もうという魂胆でR275を北上。
この頃はもうかなり弱気になっていて、幕張る気力は失せていた。

中頓別に近いピンネシリの道の駅に着いた頃はもう薄暗くなっていた。
ここは敏音知岳の麓にあり山岳基地にもなっているみたいだ。
向かいには温泉もあり人気も少なくて寝るには実にいい環境。
とても気さくな管理人さんに了解を得て、敷地にテントを張らしてもらう事にした。
管理人さんの話によると、今朝は−30℃まで冷え込んだとの事。
「今晩も冷えるから何かあったら遠慮しないで管理人室においで〜」と親切にして頂いて感謝!
この時期にバイクでキャンプはかなり驚いていたが、ここまで来ると変態扱いも快感になってきた。

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テントを設営して早速温泉に浸かる。「あ〜極楽〜〜〜」まさに地獄から天国。
それにしても冷えきった身体に温泉はイイ! 嗚呼、お湯に感謝。
風呂上りにはラーメンライスにビールで贅の極みを尽くす。

天気予報では全道的に明日の晩から明後日にかけて大荒れの模様だが、
あまりにも幸せな気分に浸っていたため、深く考えずにテントに戻り、ストーブで靴を乾かしながら
ワンカップ焼酎を飲んでシュラフに包まった。

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だんだんと冷え込んできて夜中に寒さで目を覚ます。
2時間おきくらいに火を焚いて暖まり、少し眠ってはまた火を焚く繰り返しでまともに寝られず、
朝方食べようと思っていたソーセージは凍っていた。

日の出前にテントを撤収したのだが、恐ろしい程寒い!盆地の寒さを甘く見ていた・・・
祈るような気持ちでXLのキックを踏み下ろすと、5〜6回めでなんとかエンジンに火が入る。
それにしてもよくエンジンかかってくれた〜。

暖かいトイレで防寒対策を施す。ありったけのホッカイロを身体に貼り付け、ヘルメットの中も
限界まで肌の露出をなくし、ピンネシリ交流プラザを後にする。

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走り出していきなりシールドが見えなくなる。氷膜を擦りながら走るが、
少しでも開けると目と目の間の皮膚がシバレて感覚が無くなり、まばたきをしたとたんに上下のマツ毛が
ひっついて目が開かない!何度か路肩に止めて凍りついた目を剥がしてまた走り出すが、
擦るためにシールドを開けると涙が流れ、また目が凍りつく繰り返しになかなかスピードが上がらない。

浜頓別に出るまでの辛抱だと自分に言い聞かせながら我慢の走りをするが、下頓別の電光掲示板は
何と-27℃!恐らくピンネシリは-30℃はあっただろう。自分のバイク人生の中では最低記録更新走行だ。
大袈裟だが、「暖かい畳の上で死にたい!」と、冗談にも思ってしまった。
やはり寝るなら家がイイ。移動は車に限る!

浜に出るまで途中バス停に逃げ込むなどしながら、何とか浜頓別に抜けたのだが、浜でも気温は-16℃。
それでも暖かく感じるのだから慣れは恐ろしい。そして息を吹き返して軽快に宗谷岬を目指す!
風が出てきたが、遠く樺太が望める好天にアドレナリン値が上昇。
さまざまな想いが走馬灯のように駆け巡り、ここに自分の中での一つの区切りがついた。

浜頓別までは「もう二度とこんな辛いことしねぇ〜ぞ!」ってのが正直な感想・・・
でもそんな辛さも忘れてまたやりたくなる不思議・・・


9時半頃、岬に到達。


車で旅行中の「冬はバイクに乗らないよ〜」という人としばし話をするが、
この方にも変人扱いを受けてXLの写真を撮られ、イイ気分になれた。

午後からの悪天を考え、この時点でもう精神的にオロロン行きは断念。早く家に帰りたい!
最北端のGSで、お約束の貝殻のキーホルダーと最北端給油証明書を頂くが、今回は格別にうれしい。

帰りはオホーツク海側を南下。猿払で地吹雪が激しくなりスピードは出ないわ足元がすくわれるわで
かなり泣きが入る。大型に抜かれると視界0で平衡感覚が無くなり、それが2〜3台続けて来られると
後続車にやられるんじゃないかという緊張感からかなり気力が消耗する。
でもワゴンRのドライバーが寒い中窓を開けてハザード点けながら大きく手を振ってくれたときは
とても嬉しかった! それとも危ないからやめろと言う意味だったのか?・・・
これが地吹雪じゃなく、本物の吹雪だったらと思うとゾッとする!

そんな状況の中、なんとヘッドライトとテールが球切れ!予備で持っていた球も切れてしまい、
バッテリーを覗いて見ると、なんと液が凍りついていてしかもかなり減っている。
昨日はなんでもなかったのに、やはりピンネシリの寒さが効いたのか?

走行中にライトを点けた時に切れたようなので、残りの生きている近目を試しにオンにした状態で
エンジンをかけて吹かしてみるが、とりあえず切れないようなので、切れたテールの代わりに
ブレーキランプを点きっぱなし状態にして地吹雪の視認性を確保。これでまた切れたらもう絶望的。
今や6Vの球やバッテリーを在庫している店なんてそう無いだろう・・・

地吹雪がひどくなってきたのでオホーツク南下を断念。浜頓別から音威子府へ同じルートを戻る。
内陸の国道40号線を南下するが、ウインカーがぼんやりとしか点かない為、後続車に気を使い、
電装トラブルと今後の天候悪化でかなり気が滅入ってしまった。

バイク屋を探しながら舗装の出ている40号線を爆走したが見つからない。
比布町あたりまで来たときにはもう薄暗い。大荒れになる前にこりゃ帰るしかない!と思い立ち、
夜の三国越えを決行する。 層雲峡あたりから雪が降り始め、懐中電灯並みのヘッドライトは
実に心もとないが、降り始めの新雪なのでハンドルが取られる事も無く走りやすい。
しかし、大型に抜かれるとどこを走っているのか解らない状態。
しかしそんな状態も慣れてくると、見えなくても真っ直ぐ走れるものだ・・・
弱気になっておっかなびっくり走るとフラつくが、堂々と「さぁ殺せ!」と思えば車体は安定する。

開き直る事で悟りを開いたものの、幌加あたりからエンジンがグズリだしてきた。
騙し騙し走るが、士幌で死ぬ・・・深々と降りしきる暗闇の中、
キック連発も虚しく、ゴール目前でリタイヤ。

かみさんに迎えに来てもらい、軽トラで回収。荷台から降ろすとキック一発絶好調!


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今回の教訓。「まさにバイクは人の心を映す鏡だ・・・」


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