CTでなにがわかるの

  誤解のないように最初にお話しておくことがあります。CT検査をすれば病気がわかる。MRI検査をすれば何でもわかる。それは大きな間違いです。検査にだけたよると誤診のもとになる場合が多いのです。病気を診断するには、何といっても、患者さんから病状について詳しくお聞きすること(問診)、それをもとに診察して病気がどんなものかを考えます。そして、考えられる病気の診断を確実にするために検査をするのです。問診や診察なくしては検査に意味はありません。このことをしっかりと頭に入れておいて下さい。
またCT検査はレントゲンを使う検査ですので、妊娠している人や妊娠の可能性のある人は行ってはならない検査であることも承知しておく必要があります。
さて、CT検査は頭から足の爪の先まで全身の病気の診断に使われています。また、内科、神経内科(脳神経内科)、眼科、耳鼻咽喉科、外科、整形外科、泌尿器科、婦人科など多数の診療科で用いられています。ここでは、代表的な病気のCT画像を紹介して、少しでもCT検査が有用な検査であることが解ってもらえれば良いと思っています。

陥没骨折
  
頭を輪切りにして上から見ているような図です。図の上が前です。黄色の矢印のところが骨折しているのがわかります。
          

アルツハイマー病
     
      初期          中期         後期

  アルツハイマー病のCT検査の図です。病気が進行するにつれ、脳が萎縮して黒い部分が多くなっていくのが解ります。

脳梗塞と脳出血
              
        脳硬塞              脳出血

   脳硬塞では矢印のように黒くみえます。脳出血では図のように白くみえます。

脳腫瘍
              
       図の白い影が脳腫瘍を示しています。

脳血管性痴呆
              
   痴呆を起こす点ではアルツハイマー病と同じですが、アルツハイマー病とは異なって、矢印のように黒い部分(脳硬塞)が脳のあちこちにみられ、脳全体も萎縮して黒い部分が多くなっています。

慢性硬膜下血腫
              
   頭を打ってその時は何でもなかったのに3ヶ月したころにどうも様子がおかしいので検査したところ、黒く見える部分に血腫があり、脳を右のほうに押しやっています。

 さて、今回は頭部のCT検査だけをお示ししましたが、CT検査は胸部や腹部そして筋肉や骨などももちろん検査ができます。診断に必要不可欠である病気が多くあります。