diary
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11月25日 (日)  漂うモダニズム

今週、ブリティッシュ・コロンビ大学の学生たちと、槇文彦さんを訪問する。貴重な機会を無駄にしないために、学生たちの代わりに予習をしている(彼らはデザイン・スタジオのファイナル・レヴューへの追い込みで忙しいので)。槇さんは、今年の『新建築』の9月号に「漂うモダニズム」という長文の充実した内容の論考を寄せており、これがもっとも最近に槇さんが書かれたまとまった文章ということで、今読んでいる。実は、槇さんは今年の9月の建築学科の大会にており、同じ「漂うモダニズム」というタイトルでの基調講演をされ、それがとても良かったとの評判をいく人の方から聞いているからでもある。
さて、名古屋での「漂うモダニズム」を聴かれ、また『新建築の』同タイトルの論考を読まれた方はいるでしょうか。これらの内容は、ほとんど同じなのでしょうか。それとも、「漂うモダニズム」というネーミングを気に入られ、違う内容に同じタイトルをつけているのでしょうか。私の想像では、講演の内容を『新建築』にて原稿として発表したのではと思っているのですが。
もちろん、学生たちにとって槇さんはリヴィング・レジェンドなので、半世紀前の話なども伺う予定です。『群造形』のテキストは、槇さんにお会いできることがわかる前から、必読のものとして配っています。

(イマム)


11月23日 (金)  movie of New Babylon by Constant

コンスタントによる〈ニュー・バビロン〉のムービー。これまで〈ニュー・バビロンの模型写真はよく見ていたが、このように映像になっていると、構成などがすごくよくわかる。コンスタント自身も登場していて、見ていて少々興奮。コンスタントは、模型やドローイングでは〈ニュー・バビロン〉で意図していた、フレキシブルでレシポンシブルな空間を表現できないとして、後期は絵画による表現へと向かうが、この映像はこれまで目にしていた模型写真に比べれば格段にダイナミックなものだ。
http://www.youtube.com/watch?v=qJsD6RvuPfI

(イマム)


11月16日 (金)  会田誠展@森美術館

森美術館で開催中の会田誠展のオープニング・レセプションに行った。たいした賑わいであったが、不思議なことにほとんど誰も知り合いに出会わなかった。後からフェイスブックで何人かが出かけたと書いていたので、すれ違いだったのだろう。丁寧に作品を見ていた磯崎新さんをお見かけした。

いくつかの作品は見事であったが、基本的には僕の興味は引かない展覧会だった。以前10年ほど前になるだろうか、人の紹介で、会田誠さんがアトリエを改造したいから建築家を探しているということで同席させていただいたことがあるが、お会いしてすぐにお互い「違う人種だな」という感じになってほとんど会話もなかった。

http://www.mori.art.museum/contents/aidamakoto_main/index.html

(イマム)


11月5日 (月)  スペインの建築:危機の3局面

a+u の最新号は、ポスト・クライシスの建築という特集を組んでいるが、巻頭のルイス・フェルナンデス・ガリアーノの論考「スペインの建築:危機の3局面」が、読ませる内容。僕の知り合いは、イギリスやオランダに多く、ここ数年は彼らに会うたび、かの地の建築事情の悪さを聞き続けているが、スペインの状況はそれとは比較にならないほど悲惨なようだ。年間の住宅着工戸数は80万戸から8万戸に落ち込み(!)、住宅バブルがはじけて100万戸あまりの空き家が残された。2011年には、マドリードとバルセロナにある設計事務所の半数が廃業した(!!)。などなどかなり衝撃的。スペインの若者は国外にみな出ているようなので、それもあってヨーロッパではどこでも人あまりの状態でしょう。海外の設計事務所で働いてみたいとの相談を時々受けますが、こここしばらくヨーロッパの事務所でというのは、よほどの幸運がないと無理の様子。
エル・クロッキーの最新号のRCRの特集などを見ると、彼らは斬新な建物を次々とスペインで実現していて、このところのスペインの建築は充実しているなあと思っていた矢先なのですが、それも公共コンペが整備されたここ10年の成果の最後の状況のようです。
他の建築雑誌の同じく今月号では、GA JAPAN のスタジオ・トークで、磯崎新さんが相変わらず荒唐無稽であり痛快。

(イマム)

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11月3日 (土)  モスクワの都市史

原稿を書かねばと思いながらも、関連して調べているうちに、次々といろいろ本を取り出し、しかしそうしていろいろつまみ食いする読書の何と楽しいことか。思わず原稿とは関係ない部分を読み出し、時間が減ることに焦りつつも、寄り道が連鎖していく。
1920年代のソ連の都市計画について書いているのに、モスクワの都市の歴史の図集に見入っている今。モスクワ建築大学のマリノフ先生にいただいた豪華な本だが、キリル文字の本文は読めないため、ただ図版を眺めている。しかもこの本はどうも19世紀中ごろまでのことを扱っているようなので、ますます原稿とは関係ない。

(イマム)


11月1日 (木)  レビウス・ウッズ逝く

本日、レビウス・ウッズが亡くなったそうです。享年72歳。ご冥福をお祈りいたします。結局ウッズは、きちんと日本に紹介されないままであった、と言えそうです。このさまざまな危機とリスクに満ちた時代に、レビウス・ウッズの思考に再度光を当てたいものです。

以下、アーキデイリィのウッズ氏の死亡記事です。

http://www.archdaily.com/288469/lebbeus-woods-experimental-architect-dies/

(イマム)