diary
   多次元直列日記 2011. 7 メニューに戻る
7月9日 (土)  区立美術館

歩いて5分ほどのごく近所に、区立美術館がある。これほど近いのに、ここに越して2年以上たつがまだ入館したことがなかった(以前は、それこそオープニングの時などに来ている)。目黒区は、とりわけ財政が厳しいから、そのためであろう、図書館もしょぼいし、この美術館のも閉じている時が多く、また企画展も地味なものが多い。
今開催中の「ラファエル前派からウィリアム・モリスまで」は、さすがにイギリスつながりで行かないわけにもいかない。会期が来週末までということで、今日の午後急に思いついて出かける。

やはり想像通りのこじんまりとした規模で、当然テート・ブリテン所有といった大作はないが、それでもこのテーマに沿った作品がバランスよく並んでいる。モリス商会による4mほどのタペストリー〈東方三博士の礼拝〉は見ごたえがあった。ジョン・ラスキンの〈ルーアン大聖堂西玄関口〉は、ラスキンのドロイ―ングの技量を示していて、発見であった。モリスの有名な壁紙ためのデザイン画や、バーン=ジョーンズがデザインしたステンドグラスなど、職人的筆遣いがよくわかるのが、写真と違って実物を見る楽しみであるし、足を運ぶ甲斐があるというものだ。

 と言っても家から徒歩5分なのだが、往路浴びた今日の日差しは、この夏の厳しさを予感させる強さ。美術館横の屋外プールの脇を通り、その様子を横目で見たときに、強い日差しの中、プールで泳ぐ贅沢を思いだした。プールでは、ここ2年くらい泳いでいない。

(イマム)


7月6日 (水)  ネットワークの時代

終日外出してから戻り、メールチェックする。返事をすべきメールが多数あるといくぶんげんなりし(かつ、今からからしようと思っていた作業ができなくなりに多少焦り)、全くメールがないと、いくぶん寂しくもある。昨日は夕方戻ったら、それなりの数のメールが来ており、夕食後はその返事を書いているだけで、寝る時間となる。

ふと考えてみると、日々実に多くの国の人たちとメールをやり取りしている。ここ数日に限っても、イギリス(数件)、フランス、カナダ、オーストラリア(数件)、中国から、メールが届いている。マケドニア出身のデミアン君や、バートレットのスチュワートさんとは、来月会おうという約束をしているし、9月のモスクワ大学でのワークショップ関連のメールも最近は多い。アメリカの建築家が、日本でのプロジェクトのためのコラボレーターを探しているということで相応しい人を紹介したり、おお、たった今、知り合いの学生から、バートレットに受かったという嬉しい知らせが。

日本には仕事がないから、若い人は中国に行くべしといった論調があるが、かつて仕事がないので山奥のダム工事に行くと言った場合は10年間は世間と隔絶されるようなイメージがあり、アジアや中近東に行くというと何だか、今の生活を捨ててというニュアンスがあるけれども、これからは実はそうではなく、外国の(で)仕事をしていても、これまで通り各地の知り合いと連絡を保ちながらということになるのではないか。

(イマム)


7月3日 (日)  実践理性批判

 岩波文庫のカント著『実践理性批判』を買った。と言っても通読しようなどと思ったからではない。今手掛けている翻訳の中で、この本が引用されており、既訳があるものは、それに従うというルールにしているためである。

 ただし、その翻訳書の中の引用はたった3行。しかも、この本の中のどのあたりに書かれているというヒントもない。手掛けている翻訳の原書は英語で、それの自分なり試訳も作ったが、当然僕に訳と専門家の訳とでは全然違うから、比べて探すのに役に立つのかどうか。

 この『実践理性批判』も今まで読んだことがなく、また今さらトライしてもどれだけ時間がかかることか。つまり、本のどのあたりに、該当する3行があるのか勘が働かないし、目次を見てもそれらしいヒントがない。

 実際に見つけられるのか。1日がかりでも見つけられるかどうか。一冊の翻訳の中で、引用はそれこそ無数にあるから、特にこれはもっとも面倒なものの一つだけれども、そんな調子では、時間がかかってしょうがない。

 さて、結論から言うと、探し始めて15分ほどで無事該当箇所を発見。これは幸運と言うしかないだろう。

 ちなみにその文章というのは、

意志の自律は、一切の道徳的法則と、これらの法則に相応する義務との唯一の原理である。これに反して意志の一切の他律は、責務にいささかの根拠をも提供しないばかりではなく、むしろ責務の原理と意志の道徳性とに背くものである。

 手元に岩波文庫の『実践理性批判』をお持ちの方、お時間があれば、試しに探してみてください。

(イマム)


7月2日 (土)  未来エレベーターコンテスト2011

今年で5回目となる未来エレベーターコンテスト、応募が始まりました。今年のテーマは〈空港〉ですが、一度は取り上げたいとずっと思っていたテーマがようやく通りました。小さな国際都市ともいえる今日の空港に、相応しい未来の移動空間を提案してください。

http://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/newsnavi/volumes/contest/index.html

前回は、テーマが地域社会であり、『デフレの正体」でブレイクし現在超多忙の藻谷浩介さんがゲスト審査員でした。アイデアコンペの多くが、気のきいたテーマをなんとなく選んでいるように見える中で、このコンテストでは、毎年今考えるべき社会性のある話題を扱っています。

であるならば、今年は「災害」、「想定外」の状況下における移動装置をテーマとすべきと思われるでしょうが、もちろんその検討は行い、そうすべきとも考えましたが、コンテストというお祭り的な性格もある場で取り上げるのは、今の時点では控えるべきであろうと、今回は見送られました。

多くの学生さんの応募をお待ちしています。

(イマム)




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