diary
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5月20日 (木)  菊竹先生訪問

菊竹清訓先生の事務所にて、打合せ。このところ、ほぼ月一回のペースで菊竹先生と同席する機会がある。こうしたメディアであれば、その状況を伝えれば面白いであろうし、後日記録としても貴重になるかもしれないが、進行中の件についてはすぐに書くというわけにいかないことがもどかしい(毎度録音はされています)。こうした日記では、日々の出来事のうち面白いところを選んで書いていると思われがちだが、実際には一番面白いことはオープンにできないことが多い(一番問題なことも書けないが)。なので、どうしても読書日記とか差しさわりのない話題となるわけです。

しかし、菊竹先生はリヴィング・レジェンドであって(今年82歳)であって、今菊竹先生がどうされているか興味を持たれる方も多いことと思う。打合せ内容とは関係ないことを書いておきます。

菊竹先生の事務所は、あのスカイハウスの斜め前に建つ自社ビルで、現在はその最上階に先生のお住まいもある。建物へのアプローチになる前庭には、エキスポ・タワーのパネルやジョイント、菊竹家本家の鬼瓦などが野ざらしで置かれている。

1階が打合せスペースなのだが、その部屋には、スカイハウスや都城会館、海上都市、東光園などの模型10数点と、写真パネルや本棚がその部屋を取り囲んでおり、奥に大きな打合せテーブル(本日の出席者10名がちょうど座れる位の大きさ)があり、そのテーブルには少し目の粗いコバルトブルー色の布が掛けられている。

出席者が全員揃うと、スタッフの方が菊竹先生を呼びに行かれる。しばらくして登場する先生は、毎度笑みを絶やさずに、そしてきちっとネクタイを締められている。最近の菊竹先生のお顔を見たい方もいるかと思い、画像を探してみました。すでに3年前のものですが。このように毎度ネクタイをされていて、一度だけネクタイをされていない時があり、その時は「本日はこのようなラフな格好でたいへん失礼ですが」と言われ、こちらが恐縮した。もちろん僕は一度もネクタイをしてお会いしたことなどないので。

(ついでに、こんな写真もありました(右)。同じ3年前の写真ですが、奥に見えるのがスカイハウス、先生を挟んで左が僕、右が南後さんです。)

本日の菊竹先生は、グレーのジャケットにグレーのストライプのシャツとシルバーのネクタイでした。

(イマム)

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5月19日 (水)  伊東豊雄さん講演会締め切りました

6/12、国士舘大学での伊東豊雄さん講演会は、申し込み多数により定員に達したため、受付を終了させていただきました。
想像以上の反響で、528名の定員が、あっという間に満席となりました。
お申し込みいただいたみなさん、どうもありがとうございました。

(みなみ)


5月18日 (火)  高橋堅さんブログ

建築家の高橋堅さんより、私の著書についてブログに書いていただいたとのご連絡を受け、氏のブログを拝見しました。独特のレイアウトのオシャレなHPでした。(http://kenkenken.jp/)。著書に対するご感想を頂いているのも有難かったのですが、他にも綺麗な写真と骨太の文章が並んでいて、かなり楽しめるHPです。高橋さん、有難うございました。今後もときどきブログを拝見したいと思います。
(山本)


5月15日 (土)  ウィーンよりメタボリを求めて

3月にバンクーバーに行った際に、旧知のキュレーターの方より、「面白いアーティストが近々東京に行くので、少し相手をしてくれないか。都市をテーマにしていて、シチュアショニストやルフェーブルを扱っている。メタボリズムにも興味があるみたい。」という話を聞いていて、その件の人物からメールがあり、彼らの滞在している青山で会うことに。

会ってみると、「メタボリにも興味がある」というレベルではなく、かなり本格的にメタボリズムについてリサーチしており、今回も、菊竹さんのパサディナ・ハイツ、大高さんの広島の高層アパート、黒川さんの中銀タワー、丹下さんの山梨文化会館などをすでに訪問しており、そこで撮影した写真などをもとにミクスト・メディアの作品を作るのだそうだ。共通の関心事が多く、話しははずむ。彼らはルフェーブルに関する本も出している。

彼らとは、ウィーンとヴァンクーバーをベースにしているサビーナ・ビッター、ヘルムート・ヴェーバー、ジェフ・ダークソンの3人で、ビッターさんとヴェーバーさんの共作は、東京ワンダー・サイト渋谷にて今月29日からはじまる現代オーストリア作家のグループ展でも紹介されます。

サイコアナリシス:現代オーストリアの眼差し
http://www.tokyo-ws.org/archive/2010/05/post-116.shtml

彼らのサイト
SABINE BITTER HELMUT WEBER http://www.lot.at/

(イマム)

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5月14日 (金)  南研ツイッター開設

国士舘大学理工学部 建築学系 南研究室のツイッターを開設。下記。

http://twitter.com/minamilab

(みなみ)


5月13日 (木)  ジョージさんと銀座を歩く

バンクーバーから来日中の、ブリティッシュ・コロンビア大学建築学部長のジョージさんと、銀座で会う。この機会に、ここしばらく銀座に出来て未見の建物を一緒に見てまわりつつ、秋からの授業の打合せなど。

まずは、乾久美子さんの田崎真珠銀座店(写真左)の前で待ち合わせ。銀座にあること、真珠を商う店であること、そうした期待にきちんと応えていることが偉いし、今日的に洗練されそれでいてユーモアもある。

続いて、ポーラ銀座ビル(写真中)へ。ファサードのメカニズムが面白そうだが、残念ながら夜来た方がその面白さがよくわかるのであろう。ギャラリーのちょっとした展示でも、カンデンスキーなどの秀作が出るあたり、ポーラのコレクションはすごい。

驚きは、中央通りに面した6丁目にあるアバクロンビー&フィッチ。あれ、こんなところにミースの建物があったかしら、といった写真右のような外観ですが、中に入ってみることをお勧めします。中に入り、エレベーターでそのまま最上階に上がり、後は延々と螺旋階段をおりましょう。ジョージさんが偶然見つけ、誘われるまで、このような場所があることを知らなかった。もちろん、僕の属すカルチャーと全く別物なので、知るすべもないのですが。これが原宿にでもあればまだそれなりに了解もしますが、銀座中央通りとは。

資生堂ギャラリーでは、例年恒例の椿会展。伊庭靖子さんという方、今まで知らなかったのですが、いいドロイ―ングです。

エルメスのギャラリーでは、細川元首相の茶器と油絵の展覧会。しかし、このようなものを出品したら嗤われますよと、助言してくれる人がまわりに一人もいないのだろうか。

うおがし銘茶の3階にて、銀座のビルに囲まれる空を見上げながら抹茶をいただき、文字通りお口直しをして、解散。

田崎真珠 http://www.tasaki.co.jp/
ポーラ銀座 http://www.pola.co.jp/ginza/
アバクロンビー&フィッチ http://jp.abercrombie.com/
資生堂ギャラリー http://www.shiseido.co.jp/gallery/
うおがし銘茶 銀座 http://www.uogashi-meicha.co.jp/shop_01.html

(イマム)

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5月12日 (水)  上海万博

上海万博に行くものがどうか、行くかもしれないと思っていた人の多くは開幕後の様子を見て態度を決めるつもりだっただろうが、すでに早くも結論が出た感がある。行くほどのことはない。

本日の工学院の授業でご一緒している、計画環境建築の澤崎さんは、中国の民間企業の連合館を手掛けられ(延べ床面積数千uで、設計から竣工まで半年だかだったそうだ)、先日開会式にも行かれたとのことで、いろいろ話をうかがう。

昨晩もトキオロジーの集まりの際に、上海万博大阪館のプロデューサーを務めた橋爪紳也さんに、多くの画像とともに話をうかがった。興味深いのは、この上海万博は、テーマが better city better life とされているように、万博で初めて都市がテーマだとはっきりうたわれていることだ。もちろん、ここしばらくの万博は、ハノーバーからはじまり、愛知の記憶にもあるように、環境が重要なテーマであり続けており、それは今後ソウルその他での万博でも受け継がれる、もちろん上海でも環境は重要視されているが、そうしたわれわれを取り囲む環境のひとつである「都市」を前面に押し出しているということは画期的と言える。

とはいうものの、各国の展示等がこのテーマに応えているかというと実際にはそうではないところが肩透かしである。日本館においてはメインの出し物がトキのお話しだというし(書かないでおこうとも思っていたが、日本館はコンテンツもさることながら、建物のカッコ悪さはどうしたものだろうか。あれが母国のものだという恥ずかしさも、上海万博に行きたくない感を拡大している)。

会場計画にしても、当局は自慢しているようだが、出展種別にグルーピングして、ゾーンを分けての配置は、平凡であるし機械的。都市をテーマにしているのだから、会場計画にもひと工夫ほしいところで、愛知万博では自然環境保護の議論がさんざんあり、よってそうした配慮をした計画がなされていたが、工業用地跡地の今回の計画では、単なるクリアランス+明確な新都市という、中国全土で起きている悪い例をそのまま反復しているような様子もまた釈然としないものがある。

コンテンツに期待できないとなると、後の興味は単純にパヴィリオンのデザイン。この領域では圧倒的にヨーロッパ勢が頑張っていて、イギリス館はぜひ実物を見てみたいし、ミラーレス事務所のてがけたスペイン館も大胆、またオランダ館のかわいさも魅力的だ。

(イマム)


5月11日 (火)  new urbanism in USA

夜、六本木ヒルズの森記念財団にて、トキオロジーの集まり。本日は、半年ほどイエール大学に留学していた中島直人さんによる報告「アーバニズムをめぐって」。

トキオロジー:http://www.mori-m-foundation.or.jp/seminar/index.shtml#tokiology

この集まりの参加者のほとんどは、都市の研究者なので、僕はその中では一番の専門外者。よって、他のメンバーの報告を聞くのは、この分野における最近の研究の関心がどこにあるのかを知るというありがたい機会であり、それが中島さんのようにトップクラスの研究者の臨場感のある報告というわけだから、そうした回はとりわけ贅沢である。

中島さんの報告は、ニュー・アーバニズムのアメリカにおける展開を、滞在していたニュー・ヘブンなどの事例などから解説するというもの。このアーバニズムという語を冠した書籍は、2000年以降大量に出版されているようで、あるブームのような状態となっており、その中でアーバニズムを巡る議論にも様々なカテゴリーというものが、今は存在する。今アメリカで多く試みられているのは、reclaiming urbanism とも呼びうるもので、これはかつて再開発したエリアの再度の再開発、それも以前計画されていたような状態に戻すことが主眼なのである。

例えば、典型的なのは都市中心部のおける高速道路の撤去であり、ニュー・ヘヴンでもその計画が進められているし、また最近では、話題になり観光客が殺到しているニュー・ヨークの高架鉄道の跡地を公園化した「ハイライン」のプロジェクトがある。日本でも日本橋の高速道路鉄橋が一時期話題になり、またソウルでも実際にそのよい事例があるわけだが、アメリカではそうした事例が多数の都市に認められるようだ。

ニュー・アーバニズムの運動は、行きすぎた車社会への揺り戻しである。では、実際に建築学科の学生などはどうみているかというと、ニュー・アーバニズムのいくぶん予定調和的な側面は、創造的でないとあまり受けが良くないようだ。

一方で、こうした都市再生の試みは、ヨーロッパのシティ・プライドのようなムーブメントと繋がるかと聞くと、アメリカの場合、旧市街を白人社会が作り、それが今ではどの都市でも多人種が混合しているために、単純に自分たちの街を共通の価値観で愛しましょうというのは、無理なようだ。それぞれの国なり都市の事情というものがあり、都市のあり方とはそうした社会的背景と深い結びつきがある。

そういえば、本日財団の人に人に聞いてはじめて知ったのだが、3月のサスキア・サッセンさんを囲んでのワークショップの概要が、財団のHPにアップされている。興味ある方はどうぞ。画像が粗いですが、僕はサッセンさんの右隣に座っています。

http://www.mori-m-foundation.or.jp/seminar/strategy/201003/index.shtml

(イマム)


5月9日 (日)  コンフォルト6月号

最近発売となりましたコンフォルトの最新号にいくつか文章を寄稿しています。細かい解説以外に、まとまった長さのものだけで8本。しかも、2つの異なる特集に、別の編集者からの依頼があってという、珍しいケースです。

そもそもは、1月にイギリスに行く機会があったので、トウ・シマザキ・アーキテクチュアの建物を見せてもらうことになり、ならば折角のこの機会に文章をということになった次第。トウ・シマザキ・アーキテクチュアについて、先日東京で行われた彼らの建築ワークショップについて、また見学した3つの建物それぞれについて。建物を見学する機会はよくありますが、それらについて書くとなるとまた見方が変わってきて面白いです。

次に、「いまこそ木」という本特集の中で、構造家とのコラボレーションによる三つの住宅について書いています。こちらは、ちょうど木造で幼稚園の実施設計をしているところでもあったので、横山太郎さん、大野博史さん、佐藤淳さんに、それぞれ直接木構造について話をうかがえたのがよかった。

原稿の依頼があると、時間が取られることを気にしつつ、建築家本人の解説付きで見学をしたり、構造家に普段は聞きにくい微妙な話も聞けるという、いわゆる役得があり、つい引き受けてしまいます。実際、それぞれ、雑誌の取材とは関係ない内容まで、いろいろ聞くわけです。

また、人によっては、なぜ人の作品に関する文章を書くのかと思うのでしょうが、実は、人の作品などについて書くのは結構楽しいし、勉強になるものです。

(イマム)

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5月8日 (土)  corridor その後

2月に竣工した大井町の集合住宅corridorを久しぶり訪ねる。ようやく9部屋中6部屋の入居者が決まり、しかもその過半が新婚もしくは若いカップルらしい。なんだか〈らぶらぶ〉の集合住宅になっているようだ。われわれのデザインがそうした層のフィーリングに合ったというのであれば、嬉しいことだが。ようやく長い冬も終え、植栽も伸びはじめている。夏になって緑のスクリーンとなった様を早く観たいものだ。

見学された何人かの方が日記等で感想を書いてくださいました。すでに数か月前のものですが、感謝もこめてご紹介。それぞれの方の独自の視点が興味深いです。

淵上正幸の日々建築漬け(3月8日)
http://synectics.exblog.jp/

『建築と日常』編集者日記(長島明夫、2月20日)http://d.hatena.ne.jp/richeamateur/

Taku Sakaushi: Diary(坂牛卓、2月24日)http://www.ofda.jp/sakaushi/diary/index.html

(イマム)

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