diary
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9月15日 (火)  何かと用事が重なった一日

なんだか久しぶりにやたらと用事が詰まった一日であった。

午前、品川駅のスターバックスで、温泉の打合せ。
新宿に移動し、今年度の設計事務所の業務報告書を提出。
工学院の図書館で資料を探し、3冊本を借りる。
午後は、3コマ工学院の都市デザインの授業。
夕方田町にて、ある研究会に参加。都市計画家高山英華について濃密なレクチャーを受ける。
夜、白金にてforo08のコミッティー・ミーティング、2月の展覧会の企画について。

今週は、今日が山だったので、無事全て終わりほっとする。

(イマム)


9月14日 (月)  アニリール・セルカンさん

午前、八束はじめさんとモスクワワークショップの打合せ。

午後、あるプロジェクトの打合せで、アニリール・セルカンさんと久しぶりに会う。毎年エレベーターコンテストでご一緒するが、この秋は2つのプロジェクトでということに。このところ、自伝的な新書を出されたり、朝日新聞で大きく紹介されたりと、忙しさが増しているご様子。

僕が彼について知っていること。いつも、一日がかりのコンペ審査でも、お昼のお弁当を食べない。食べるとその後頭の回転が鈍るからという理由を聞き、さすがオリンピックコーチ&宇宙飛行士、自己管理がすごい、と感心していたが、今日は打合せでコーラを飲んでいた。煙草もよく吸うようだ。やはり不思議な人だ。

セルカンさんのブログ http://blog.anilir.net/

(イマム)


9月12日 (土)  坂倉展@汐留

汐留の坂倉展へ。実はお盆休み中に一度足を運んだのだが、その時はあいにく休館であった。

充実した内容で、思っていたよりも長く滞在。龍村邸などの構成には目を見張るものがあった。切妻の瓦葺の大屋根の下に、水平連続窓が開けられている。正方形のプランの中心には中庭があり、玄関から入ると、明るい空間に導かれる。これらの坂倉さんの構成力は見事だ。(と感じ入っていたら、カタログに田路さんが「構成の精神」という文章を寄稿しており、大いに納得。)

また、坂倉さんの和風へのスタンスも興味深く、モダニズムの抽象的な空間だけではなく、和風にも手を染めていたことが今回の展覧会で確認できたが、その評価に関しては僕は現時点では保留。たとえば、同じく滝村邸の応接室と茶室の写真がカタログに掲載されており、この写真だけを見るとあるデザインがされているようには見えるが、実際には南向きに大きく開口が開かれ、またその反対側も中庭に向かって開放されているようなので、この茶室が本当に茶室として使用できるものなのか、どうなのか。(などと考えていたら、カタログに藤森照信さんが坂倉と木造モダニズムに関する文章を書いていた。)

(イマム)


9月11日 (金)  アイ・ウェイウェイ展再訪

森美術館のアイ・ウェイウェイ展を再訪する。前回は純粋に楽しみに出かけたのだが、今回はレヴューの依頼を受けて。目的が異なるとおのずとこちらの見方も変わってくる。前回は会場設営を担当された前田さんに案内していただいたが、今回は広報の担当の方に説明をしていただいた。説明もまた、担当の立場が異なると違う話がうかがえて、興味深かった。

アイ・ウェイウェイ展レヴュー http://artscape.jp/focus/1209161_1635.html

(イマム)


9月8日 (火)  神保町 / 近況

工学院大学の後期の授業の初日。例年担当している都市デザインの授業の対象エリアは、今年は神保町・猿楽町。原宿のキャットストリート、代官山、北高井戸と続いて、今年は神保町。これまでの中では最も馴染みのある街だが、学生たちがこの街をどのようにとらえ、どのような提案をしてくれるかが楽しみだ。僕にとってはすっかり慣れ親しんで街だが、新鮮な切り口を期待している。

学生たちは課題説明の後、その街に出かけることが通例となっているので、南洋堂に前もって連絡をし、屋上のルーフラウンジを開放していただいた。ちょうど南洋堂では、一階のフロントガラスのドローイングシリーズに、中山英之さんの新作がお目見えしている。

僕も授業の後、お礼も兼ねて南洋堂を訪ねたが、早速見学に来ている学生たちもいて、その場でルーフラウンジについて簡単に解説。神保町に来たからには、ついでに本にも親しむきっかけとなってくれると嬉しいのだが。

本日の朝日新聞の夕刊にちょうど新しい古本屋の動きについての記事があった。その中でここ10年で都内の古本屋の数は8%くらい減っているが、神保町のでは逆に2割くらい増えているとあった。確かに、新しい面白そうな古本屋もそこここに現れていて、歴史に加えてそのような新しい動きもあることから、このエリアは面白いと思って課題の対象としたのである。

参考までに、僕が知っている範囲での、神保町で建築古書を扱っている主なお店。

明倫館書店:地下に洋書も含めて多数あり。店の脇の路上に雑誌などが格安で並べられているので、お買い得をそこで探す。(http://www.meirinkanshoten.com/
村山書店:建築書の手付かずの新刊が発売して割とすぐに出回るので重宝する。(http://murayama.jimbou.net/catalog/index.php
源喜堂書店:美術書専門店だが、建築書も多し。(http://www.genkido.jp/

あまり最近はわざわざ探しまわるということをしていないので、上記以外にも建築図書が見つかる古書店は何件かあると思う。(念のため、サイトのアドレスを書いておいたが、明倫館、村山はサイトにはほとんど情報ありません。)

(イマム)


8月27日~28日、建築学会東北大会へ。いろいろな建築関係者と交流。
29日〜31日、実施コンペの作業のため、研究室にて作業。

9月3日〜5日、椙山女学園大学村上研究室、大同大学山田研究室、国士舘大学南研究室による、3大学合同ゼミ合宿。浜名湖湖畔の宿泊施設にて、いろいろ活動。建築系ラジオの収録も。

5日〜6日、竣工した住宅の内覧会。五十嵐太郎さん、丸山洋志さん、国広ジョージさん、今村創平さん、山本想太郎さん、米田明さん、その他多くの皆さんが来て下さった。米田さんが、相変わらず、きわめて鋭い感想を述べてくださって、感心。
米田さんいわく、「この住宅の空間は、ひとことで言えば、旅に出る感じ」「線と面の、抽象性の微妙なバランス」「屋根が、降りて来る。着地する」「浮いている」「親切設計」「空間の破れ」「中に入って、外に出て、また中に入っていくような、反転していくイメージ」「キューブの切り取り」「グルグルと上昇する、駆け上って行く気配」「周辺の、屋根の連なりの地形と、それから微妙に切り離された、フロアと天井」「山小屋、屋根裏、山の連なりのさなかに建つ、高みにしつらえられた場所のような居場所」。
さすがに、米田さんは、建築の核心を分かっていて、脱帽。
出来上がったばかりの住宅の、夕焼けのテラスで、赤くそまり始めた空を仰ぎながら、聴く、建築をめぐる、米田さんの感想は、きわめてぜいたくで、貴重な、経験。

(みなみ)



9月7日 (月)  スチュアートさんに会う

朝、現場にて配筋検査。

昼、ロンドンから来日中のスチュアート・ムンロさんと表参道のジャイロで待ち合わせをし、同所にてランチ。最近表参道で人に会う場合、ジャイロを指定することが続いた。あまり評価していない建物ではあるが、皆知っているから説明しなくてよいし、天気を気にせずに建物の中で待ち合わせができ、早めに着いた場合にはMOMAショップで時間をつぶすのもいい。

スチュアートさんとは初対面で、シージェイ・リムさんからの紹介。彼は、シージェイ同様、今ロンドン大学のバートレット校で教えており、マスターコースを担当している。考えてみれば、昨年、バートレットの学長イアン・ボーデンさんと坂牛さんと一緒にランチをしたのも同じレストランだった。

外国から来た人に対するこのところの毎度の質問。そちらの経済状態はどう?少し前では、ロンドンから来た人はすごくひどいと口々に言っていたものだが、スチュアートさんは、落ち着いているとのこと。日本でも、不景気や政権交代があっても特に騒がしい動きがないのと同じなのだろう。

(イマム)


9月4日 (金)  建築と日常

先日長島明夫さんが、『建築と日常』という冊子を発行した。個人誌という耳に馴染みのない形だという。

よくやりましたね、という感想を持つ人が多いと思う。建築の文章を読む場も書く場も減る中で、文章を発表したい、思い通りに編集をしたいと感じている人の数は少なくない。今であれば、ネットでいくらでも書けるではないかという意見もあるが、踏み込んだ議論はしないが、ネットと印刷はやはり別物で、本を読んだほうがよく考えられるという人は、私以外にもいるだろう。本で考える習慣がしみついていることもあるだろうが、それ以外にも理由はありそうだ。

文芸においても同人誌は減る一方と聞くし、建築でもエディフィカーレを最後に、メジャーな同人誌はないだろう。藤村君のラウンドアバウト・ジャーナルは見逃せない活動であるが、彼ら自身がフリーペーパーというメディアにこだわっているから、同人誌の系譜に含めない方が、藤村君も喜ぶことと思う。ただし、『建築と日常』は、同人誌ではなく、あくまでも個人誌。

『建築と日常』というタイトルはいくぶん文学的で、どういうことかとまずはいぶかり、またしてもパーソナルな身の回りのことや趣味の話ならば付き合えないなと思ったが、中身を見るとそうではなくほっとする。今回は、香山壽夫さんと坂本一成さんへのロングインタビューを掲載しており、新しい試みならば華々しい人を(お二人には失礼ながら)もしくは旬の人を(またしても失礼ながら)と思うものだが、このお二人の話をまずは載せたいというところが、長島さんの意志表明であり、また〈日常〉という言葉も、軽率なトレンド好みの対極として使われていることが分かる。

本日は、この『建築と日常』の出版記念パーティーが、南洋堂にて行われた。発起人は田路貴浩さん。香山、坂本おふた方も参加され、お祝いの言葉を述べられた。ついでながら、香山さん、坂本さんにも、はじめて南洋堂ルーフラウンジを見ていただき(好評であったと思う)、また今日来られていた長谷川豪さん、中山英之さんも同じく見ていただいた。

長島さんの『建築と日常』が今後も続くように、陰ながら応援したい。

『建築と日常』のサイトは、http://kentikutonitijou.web.fc2.com

購入は、今のところ南洋堂(http://www.nanyodo.co.jp/)の店頭およびwebで可能で、今後は取り扱い書店が増えていくようです。

(イマム)

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9月3日 (木)  国家の変革に際して

今週はじめに政権交代がおこったが、日々は大きく変わるところもない。これから少しずつ変化の影響が出るのであろうが、少なくとも今のところ大きな断絶なりうねりというような兆しは見えない。

戦後長らく続いた体制が変わったことは画期的なことであろうが、大きな変化というトピックに日本国民は慣れてしまっているし、飽きているようにも思える。バブル崩壊があり、昨年は100年に一度の金融危機と言われた。いくつかの痛みはあったものの、暴動や革命といったことが起きることもなく、今に至っている。タイなどを見ていても、ちょっとしたきっかけで大きな騒乱がたびたび起きているし、先進国にあってもパリでの暴動などが記憶に新しい。

今回の変化は歴史的なものなのだろうが、この機に何かを仕掛けようという動きは建築業界だけではなく、他の分野でも起きていないようだ。これから始まるのだろうか。こまごまとした混乱が起きることは確実だから、静かに推移を見守り冷静に対応しようという成熟した大人の対応ということか、それとも覇気がなく身の回りのことにしか関心がない、老衰のあるいは幼稚な態度なのだろうか。

今月下旬にモスクワに行くが、17年ぶりである。前回出かけた1992年は、ソビエト連邦崩壊の翌年であったため、街中でも大学の中でも変化の様子がありありとうかがわれた。モスクワ建築大学では、使われていない教会の廃墟をどのように使ったらいいのか提案しなさいという課題を出したが、学生が戸惑い気味に、それは建築家の仕事ではないのではないか、プログラムを考えるのは中央であって、われわれの建築家はそれにかたちを与えるのが役割だと反論したのが、とても印象的だった。

その前の年はプラハに行ったが、こちらも1989年の共産主義体制崩壊のすぐ後で、滞在中にちょうどその2周年を祝うパレードが行われていた。プラハもモスクワも、AAスクールでの師、ラウールに連れられて行ったのだが、彼はそそうした社会が大きくシフトしている状況に強く関心を持っていた。(彼の師であるリベスキンドが、ベルリンのジューイッシュ・ミュージアムを手掛けていた影響もあるかもしれない。)新しい政府は、まだ若く、民間から立ち上がったというカジュアルさもあったので、われわれは政府官邸の中で、建設大臣に今後の住宅政策について話をうかがうなどといった機会に恵まれた。横をジーンズ姿の人が通り過ぎ、おそらく今の僕と同じくらいの年齢だったように思うが、彼が副大統領だよと教えられた。政府官邸といっても、どこかの大学のような感じで、新し国を作ろうという活気にあふれていた。(この政府官邸は、旧プラハ城で、プレチュニックによる改装が秀逸で、滞在中にプレチュニックをまとめてみたが、仕事が彼のベストではないかという印象を持った。)

その時にプラハでは、ジョン・ヘイダックの展覧会も開かれていた。いくつかの会場に分かれ、ヘイダックの大量のドローイングが展示され、彼のデザインしたオブジェが、原寸大(?)で作られていた。エレネ・ビネによる、ヘイダックの写真展も開催されていた。(エレネはラウールの奥さんで、当時は、ヘイダック、リべスキンド、ラウールの写真を撮るのを主にしていた。)おそらく、ヘイダックの一番大きな展覧会であったのではないか。カフカの街で、ヘイダックの世界に浸かるというのは、とても贅沢な気がしたものだ。国が大混乱している中でも、ヘイダックのような作家の展覧会を行えるというのは、どう考えたらいいのだろうか。おそらく東京では無理であろうし、また今のプラハでも無理かもしれない。

(イマム)


9月2日 (水)  千葉学さんの受賞を祝う会

夕方、六本木の国際文化会館にて千葉学さんの建築学会作品賞の受賞を祝う会に出席。千葉さんは、〈日本盲導犬総合センター〉でこの賞を受賞された。残念ながら、竣工見学会の案内を頂いたものの遠方で失礼したために、まだ実物は拝見していない。千葉さんの集合住宅はいくつか訪れたことがあるが、そうした都市の建物とは異なり、のびやかな建物との印象を誌面からは受けている。

建築学会作品賞は毎年3人(組)程度が選ばれるのだが、このところはこうした祝う会に毎年1つお誘いいただいている。昨年は同会館にて手塚夫妻、一昨年は東京都庁の展望スペースにて古谷さんであった。

全般的にシンプルな会で、派手な仕掛けなどもなく、千葉さんのお人柄なのだろう。槇さん、香山さんからスピーチが始り、まるで東大の講義のようだとの声も。一番会場が沸いたのは、千葉さんスピーチの以下のようなくだり。

「盲導犬センターの方は、よく犬を褒めます。犬にとって仕事をすることは大変なことなので、教えたことをきちんとしたら褒めるのです。ですから、センターの方々はとても褒め上手です。僕たちも打合せで案を持ってくたびに、とても褒めてくださるので、いつも以上に張り切って働いてしまいました。」

千葉学さん、おめでとうございました。

(イマム)


9月1日 (火)  ある国について調べる

ある国についてネット調べることがある。例えば最近ではロシアとエジプト。情報を集める場合、近頃はどうしているか。(ロシアは今月下旬に10日ほど出かける。エジプトも誘われたのだが、ロシアと日程が近すぎるし、急には無理。)

まずは、ウィキペディアを見る。旅行であれば、ウィキトラベルも有効。ともにもちろん英語のほうが情報量が多いので、必要に応じて、日本語版と英語版を切り替える。

次に見るのは外務省のサイト。各国の基本データが載っているし、旅行の際は渡航危険地域かどうかの確認もできる。ジェトロのサイトものぞく。貿易に特化したサイトだが、貿易は政治動向や経済動向に左右されるので、各地の最近の動向が記されている。

先週読んだ高城剛著『サバイバル時代の旅行術』で知ったのだが、CIAのサイトが、各国の情報が詳しくまた新鮮なのだそうだ。確かに、最高峰の情報組織だけのことはある。データのランキングなども載っていて面白い。

ウィキペディア http://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page

ウィキトラベル http://wikitravel.org/en/Main_Page
(日本語ページは、左のin other language のメインページを選ぶ)

外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/
(各国・地域情勢を見る)

ジェトロ(日本貿易振興機構) http://www.jetro.go.jp/indexj.html

CIA (アメリカ中央情報局)https://www.cia.gov/
(右手にある world facebookをクリック)

ついでながら、最近定着している洋書を読むときの僕のスタイル。インターネット・エクスプローラーの一つのタブをアルクのサイト、もう一つのタブをウィキペディア(英語版)にし、読みながら切り替えている。紙の辞書愛好家だが、読みながらアルクの英和にボックスに入力すれば、あら便利。辞書を引くよりもずっと早いと最近はもっぱらアルクに頼るようになった。用例も多くて、意味を取りにくい単語など、用例を眺めていると相応しい訳が思いついたりする。ウィキペディアは、人物名などを入力して検索。人物名は、知らない名前だと建築家なのか、科学者なのか、政治家なのか、それすらもわからなくて、こうした検索で概略を知るだけでも、文脈が理解しやすい。また検索結果の長短で、その人物が重要かどうかもニュアンスがわかる。

アルク http://www.alc.co.jp/index.html

本日は、なんだかお役立ち情報のようになったが、他の人もどのようにネットを有効活用しているかは、興味のあるところ。書いておいてなんだが、僕のものも我流であって、もっと素晴らしいサイトなり使い方があるのだろう。ただ、ほとんど全員が、自分のやり方で活用するというのが、こうしたテクノロジーの処し方であって、何がベストかなんて入れ込むのは時間の無駄であるし、野暮なことなのだと思う。

(イマム)


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