diary
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8月29日 (木)  自治体のエネルギー戦略

岩波新書の大野輝之著「自治体のエネルギー戦略」という本を読む。特に、序の気候変動対策への必要性と、1章のアメリカの事例とが面白かった。
 著者は、長年東京都の環境行政を牽引してきた方のようだが、この8月より孫正義さんが設立した自然エネルギー財団の事務局長に就任した模様。孫さんが、この方面の実力者を引き抜いたということだろうか。

(イマム)


8月18日 (日)  新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える

日本建築家協会の機関紙JIA MAGAZINEの最新号(8月号)に、槇文彦氏が「新国立競技場案を神宮外苑の歴史的文脈の中で考える」を寄稿されています。精読しました。

槇氏が、このコンペについてかなりお怒りであるという噂は漏れ聞いていました。本稿では、この件について、簡単な印象的コメントではなく、実に理路整然と詳しく自説を述べられています。この競技場問題について、また日本の建築・都市界の批判的風土について、深く考えさせられますし、都市景観についての説得力ある知見からも、学ぶところ多いです。

高齢の巨匠が、こうした文章を書かざるを得ない状況については、現役とされる世代は、大いに反省すべきでしょう。執筆された槇氏と、掲載を決めたJIAには、敬意を表します。
 
多くの方が、読まれるといいと思います。専門家でない方々にも、是非読んでいただきたい。都市は、専門家のものではなく、パブリックのものですから。

下記JIAのサイトにて、どなたでもPDFで読むことができます。
http://www.jia.or.jp/service/newsletter_jia/detail.html?id=34

(イマム)


8月17日 (土)  Urban Project as Thought Experiment

 八束はじめさんの論考、Urban Project as Thought Experiment (「思考実験としてのアーバン・プロジェクト」)が、シンシア・デヴィッドソンが主催する建築批評誌Logの第27号に掲載されています。この論考は、ここ10年ほどの、現代都市に関する八束さんの考察と、芝工の八束研で行ってきた現代都市に関するリサーチや提案をまとめたものです。私は、この活動に時折参加させてもらっていましたが、それが海外でどのように評価されるか、興味があります。

 ちなみに、Logはもうすぐ30号となり、この秋にはニューヨーク近代美術館にて10周年を記念したシンポジウムが開催されるのですが、27号までに登場した日本人の書き手は、八束さんただひとり(ケン・タダシ・オオシマさんは除く。また、八束さんへのインタビューは過去にあり)。かつて伝説的な建築批評誌OPPOSITIONSというのがあって、そこにも八束さんは一度長文の日本現代建築論を寄稿されていたが(1981年)、先日ご本人に「OPPOSITIONSへの日本人の寄稿は八束さんだけですか」と伺ったところ「確か藤井博巳さんが先では」とのお答えであり、確認してみると確かに、1980年に同誌で藤井博巳小特集があり、藤井さんと八束さんの名前が目次に見える。

 いずれにせよ、アメリカの先鋭的な建築批評誌に、日本人がほとんど書いていないという状況が数十年変わっていないという事実には、あらためて嘆息。

Log 27
http://www.anycorp.com/log/27

(イマム)


8月16日 (金)  和洋の書

この酷い暑さでは、外に出る気はしないもの、ということならば美術館は、今行くのが狙い目かと、国立博物館の「和様の書」展に出かけると、結構すいていて、じっくり観るにはいい具合でした。

 とにかく名品ぞろいのようで、解説もわかりやすく、知的好奇心は大いに満たされ、とはいうものの書の素養はないため、展示の大方はなんと書かれているか解読できず、良し悪しもわからず、まさに「豚に真珠」とはこのこと。

 それでも、素人は素人なりに楽しめるもので、またこうした機会は、この世界を概観するのに便利で、おかげで時代ごとの特徴などもある程度理解できました。

 リニューアル・オープンした東洋館に寄ると、展示がとても見やすくなっており、またこれほどのコレクションがあったのかと、すでに書の展覧会で集中力を使い切っているので、一通りまわって、後日またじっくり観に来ようと思う。谷口吉郎の立体的に入り組んだ空間がそのまま残っているのは、嬉しいばかり。東京近代美術館では、増築の際になくなってしまったから。

 毎度、最後は、法隆寺館のカフェで一服。

和様の書
http://wayo2013.jp/

(イマム)