diary
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3月18日 (日)  大多喜町役場

今井兼次氏が設計し、建築学会賞を受賞している名建築・・というよりも、個人的には大学1年生のときに基本製図の授業で図面トレースをさせられた印象のほうが大きい「大多喜町役場」に行ってきました。この庁舎は公開プロポーザルを経て、千葉学氏の設計により増築と耐震改修が行われ、本日はその完成見学会でした。
増築棟は昨年完成していましたのでご存知の方も多いと思いますが、物品に溢れる役場の建築で、天井の構造体をデザインの核に持ってきているところが巧みです。<写真1>
そして今回完成した既存棟の改修ですが、新旧の材料や色彩がかなりバランス良く調和していて、感銘を受けました。ファサードもほとんど印象が保たれていて、思い入れのある一人としては、用途変更と耐震改修を行ってここまで印象が残ったことに感謝の念を抱きました。<写真2>千葉さんのセンスの良さは、このようなリノベーション設計でもかなり活きてくるのだと気づかされました。

ちなみに早稲田大学の建築学科では、どうやらまだそのトレースは続いているみたいです!
(山本)

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3月16日 (金)  吉本隆明 逝く

吉本隆明さんが本日未明亡くなられた。87歳。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

吉本さんが、ここ60年に渡って、知的刺激を与え続けたことは、ここで述べるまでもないでしょう。
柄谷行人や浅田彰といった後の世代と異なり、建築界との接点は少なかったが、ある年齢より上で、影響を受けていない人を探すことの方が難しいはず。私も少なからず、著書を読みました。今週末も、追悼の意をこめて読もうと思います。

数少ない建築界との接点の記録として、磯崎新さんとの対談がある。1971年に美術手帖に掲載されたこの対談は、磯崎さんの対談集、『建築および建築外的思考』(鹿島出版会、1976年)に収録されている。
この対談を読めば、なぜ吉本さんが建築界と接点が少なかったのかよくわかる。そして、吉本さんの建築や都市に対するスタンスは、一貫してこうだったのであろう。基本的には、企画的都市計画への不信。
この対談の時期は万博直後なので、磯崎さん自身が記されているように、開発・発展主義に批判的な吉本さんに対し、磯崎さんは歯切れが悪い。
(と言っても、吉本さんは科学の進歩に対しては、肯定的であった。)

吉本さんは、1980年代後半に、『像としての都市 吉本隆明・都市論集』などの本を出され、この時期都市について、まとまった考察をしている。しかし、この本の中でも(手元に今ないので、正確には書けないが)、前川國男たちを作家としての建築家というのはおかしいとばっさりやっていた。建築界からすれば、前川は最も社会的、倫理的存在であるのだが。

こうした吉本さんの建築・都市への根本的な批評性は、今更ながら、受け止め続けていなければいけないと、本日思った。

合掌

(イマム)


3月14日 (水)  ピーター・アイゼンマンによる個人指導

今週は、アイゼンマンさんとご一緒するという機会に恵まれたのですが、ハイライトは、何といってもご自身が書かれたテキストについて、マン・ツー・マンで、説明をしていただけたことでした。今私が翻訳をしている本の前書きを、アイゼンマンさんが書かれているのですが、その内容について、不明な点について伺うことができました。
それは、テキストに書かれたことについてでありながら、アイゼンマンの思考そのものに触れる、贅沢な時間でした。(しかも、場所は谷口吉生設計の国立博物館法隆寺館のカフェ。)若い学生に話すように(私はもう若くないのですが)、用語の意味、それがどのようなニュアンスで用いられているのか、丁寧に説明してくださり、理解が深まり、かつ理解不可能性がわかりました。


3月12日 (月)  ピーター・アイゼンマンに会う

東京に滞在中のピーター・アイゼンマン氏、シンシア・デヴィドソン女史と一緒に、長時間話しをすることができた。一緒にストロベリーショートケーキを食べたり。貴重な話しを大量に聞く。録音しておけば、記録として残せたのだが。また追って詳しく書きます。忘れないうちに、残しておかないと、いけないかもしれない。

(イマム)


3月11日 (日)  3・11とグローカルデザイン

「3・11とグローカルデザイン--世界建築会議からのメッセージ」(日本建築家協会・デザイン部会編著 鹿島出版会)(http://www.kajima-publishing.co.jp/cgi-local/www/search222.cgi?A=detail&isbn=isbn9784306045699&db=book)という本が出版され、この本を中心となってまとめられた連健夫さんが書かれた第一章「グローカルとはなにか」の中で、私が設計した「妻有田中文男文庫」(http://www.atyam.net/works/TTa.html)を、ローカルをつきつめて世界と繋がるデザインとしてご紹介いただいています。
主に昨年のUIA大会におけるシンポジウムの内容がまとめられており、3.11を直接語るというよりは「グローカル」という普遍的なテーマを事例中心に論じている本です。そしてむしろそれ故に、この本のタイトルに「3.11」を冠する意味があると思いました。装丁もとてもきれいです。
(山本)

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3月3日 (土)  metabolism @ frieze

イギリスのアート雑誌 frieze に長文のメタボリズム展のレヴューが掲載されました。また、プロジェクト・ジャパンについても、レム・コールハースにインタビューを行っています。

frieze issue 145 http://www.frieze.com/issue/article/past-futures1/

また、レムは先月の7日に、AAスクールにて、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、ブレット・スティールと一緒に、プロジェクト・ジャパンについてトークを行っています。AAのビデオ・アーカイヴで見ることができます。

Rem Koolhaas, Hans Ulrich Obrist, Brett Steele, Shumon Basar

(イマム)

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3月2日 (金)  トウキョウ建築コレクション 修士論文討論会

(coming soon! imamu)


3月1日 (木)  子ども園?

幼稚園の打合せ。幼児保育が社会的問題となる中で、幼稚園、保育園、子ども園と、様々な形態が現在並列されており、よくわかりにくい。運営に関しては、クライアントにお任せするとしても、建築に関わる法規は、こちらの計画に大いに影響するのだが、どうもはっきりとしないことがある。

幼稚園は基準法上の用途は学校であり、幼稚園設置基準がある。保育園は基準法上の用途は児童福祉施設で、児童福祉法がかかる。では、子ども園はどうかというと、幼稚園と保育園の両方を合わせたタイプの場合、両方の法規がかかるというのが、今日聞いた話。

だとすると2階建てでは、幼稚園は耐火建築にする必要があり、一方保育園は準耐火でOK。木造でも作りやすい。

内装制限は、幼稚園はないが、保育園では規模を超えると、内装制限あり。

では、子ども園の場合、両方の規定がかかるとすると、規模によっては耐火建築でかつ内装制限がかかるなど、かなりの性能が必要とされる。これは、幼児保育の場を増やそうという政策に、明らかに反する。しかも、既存の施設を子供幼稚園に転用する場合、遡及して適合させるとなると、難しいケースも多いだろう。

いずれにせよ、よく調べてから計画を具体化させないと、あとで困ったことになりそうだが、一方でまだ事例が少ないために、グレーな部分も多そうな気配。

(イマム)