【祝・ひさMINI君ラムパイプ取付け記念『ファンネルとはなんぞや!』講座】

え〜、ちんぷな題名で始まってしまったこのページですが、何をするのかと言うと

「ひーさの知っている範囲で、ファンネルについて説明しよう」ってのが狙いです。

自分が取付ける時に、"ファンネル"に関連した記事を調べていたのですが、これが無い!取付け後のインプレッション的なものは数多く在ったのですが「どういったものを取付ければいいのか」「取付けた際の効果は?」といった内容のページが皆無に等しいんです。「これじゃ、いかん!」と思ったのか思わなかったのか、一概奮起して作る事にしました(笑)

とは言っても自分もド素人の身、間違った説明や誤った表現などが多々あると思いますが、お許しを(オイオイ、そんなんで良いのか?・笑)

 では、始まり始まり〜=3=3

 

1.ファンネルとは…

あなたは「ファンネル」と聞いて何を思い付きますか?レーシングマシーン?ごついキャブレータ?化粧品?(そりゃファ○ケルじゃ!!・爆)

辞書を引いてみると…funnel=じょうご(漏斗)、漏斗状のもの《通風筒・採光孔など》(参考:GENIUS)…となっています。先が窄まっている物ってのは想像出来ますね。そして「通風筒」とも書いてあります。自動車で使う際はこちらの解釈が良いのでしょう。

この「自動車で使う通風筒」にはファンネル、トランペット、ラムパイプ、カールファンネル、エアホーンetc.と色々な呼び名があるのですが指している物は、皆同じ効果を発揮する物です。

では、この「通風筒」を取付ける事によってどのような効果を生み出すのでしょう?

                                         

2.ファンネルの効果

まず、この先を読む前に頭に入れておいてもらいたいのが「空気にも質量と粘性がある」事。空気も液体と同じ様に"重さ""粘り気"があります。この二つがキーワードになるので覚えておいて下さい。

 

其の一:い…入り口が…(汗

ファンネルを付けていない状態(吸入口が切りっぱなしの状態)で空気を取り入れた場合、吸入口付近の内壁には空気の渦が出来て澱んでしまい実際の吸入口径を狭めてしまいます。

                                        

さらに、吸入口端からシリンダーまでの距離が短い為に空気が整流されずに流速が遅い状態なんです。ではファンネルを付けるとどうなるのか…

吸入口がトランペットの様に広がっているので入り口に空気の渦が出来ない。さらに入り口が広がった分多くの空気を取り込む事が出来ます(カールファンネルの様に外側の方までカールしているとファンネル外壁付近の空気を強制的に引きずり込んでくれるモノもある)。

                                        

そしてバルブシートまでの距離(吸気管長)が長くなるので空気が整流されて流速が速くなります。流速が速くなれば同じ時間内に取り込める空気の量は多くなるってのが分かりますね。そして「漏斗状=窄まる」といったテーパー形状なのでドォーっと入ってきた空気が入るにつれてムギューって圧縮される状態になって密度を高めている事になるんです。

 

其の二:波動がド〜ン!

ファンネルの恩恵で次に効果があるのが「脈動効果」と「慣性効果」です。この二つをまとめて「空気の動的効果」と言います。脈動効果とは吸気バルブが開いた時に負圧の圧力波が生じてバルブ側から吸入口に向けて音速で伝播し、吸入口端で反転して正圧となって撥ね返ってバルブ側へと戻ってくるんです(ヘルムホルツの原理…パイプオルガンの音階(共振点)が違うのはこの原理なんだって!)。この時に正圧となって返ってきた圧力波が閉じようとしているバルブに向かって空気を押し込めるんです。

慣性効果とは動いていた空気が、空気の重さによってバルブが閉じ始めても止まることが出来ずにシリンダー内へ入り込もうとする現象です。

では、この二つをうまい具合に活用するにはどんはファンネルを選べばいいのでしょう?

 

其の三:長いの?短いの? あなたなら、どっち?(某番組風)

基本的にファンネルは全回転域でのパワーアップといった事は望めません。巷では「高回転狙い=短いファンネル」「低回転狙い=長いファンネル」と言われています。何故でしょう?これは其の二で述べている「空気の動的効果」が起因しているからです。

脈動効果の圧力波は"音速"で空気中を伝播します。この速度は低回転だろうと高回転だろうと変化しません。そして、この脈動効果を得られる時の回転数と吸気管長の関係は

 

   (N:回転数 a:音速 q:同調次数(正の整数) L:吸気管長)

 

   a=340[m/s]として

 

 

 

   qは実験的に4とすると

 

 

 

で求められます(但し、各シリンダーに独立した吸気管を持つ)。といっても実際に値を入れたら変な答えが出てきちゃうんです(汗)たぶん単位を合わせなきゃいけないんでしょうが、おばかっちょなんで分からず(泣)

でも、回転数[N]が高くなれば長さ[L](ここで言う"長さ"とは吸入口端〜バルブシートまでの吸気管長)は短く、低くなれば長くなるってのは分かりますね。そして、この脈動効果は圧力波のメリハリが判る低回転の方が共振しやすいんです。高回転だと圧力波が行って帰ってくる間に次の圧力波がやってきて不整脈状態になるんでしょうね。

慣性効果はこの逆で、吸気管長が長いとそこには空気がいっぱいある事になります。そうなると慣性効果を生じさせるまで時間が掛かってしまう。となると慣性効果を効率よく得るには吸気管長は短い方(=ファンネルが短い方)が良いのです。しかも高回転時だとバルブの開閉が速いので、慣性効果を維持出来る(流れている勢いが止まりにくい)し吸気管長が短くなった事で少しは脈動効果の恩恵も受けれると言うわけです。

 

 (V:シリンダー容積 f:吸気管平均的断面積 L:吸気管長 2700:最大慣性特性係数)

 

なので「高回転狙い=短いファンネル」「低回転狙い=長いファンネル」と言うわけなのです。

 

其の四:空気いっぱい食べてます

いままでの話からファンネルを付ける事により「吸気管長を変化させる事ができ、空気を多く取込める」といった事が分かると思います。

でも「じゃあ、一体どれだけのパワーアップが見込めるの?」と言うのが一番気になる点ではないでしょうか?

其の二・三でお話した「空気の動的効果」をうまく使えば吸入効率が10%上がると言われているそうです。ただし、これはエンジンの仕様と吸気管長が"ピッタリ合った回転域"だけです。先にも述べたように「全回転域でのパワーアップ」は出来ません。よって「どれだけのパワーアップが見込めるか」はその車の吸気口径、ピークパワー値、バルブタイミング、シリンダー容量、吸気温度等などが関係してくるので一概には答えられないんです。なので長いファンネルと短いファンネルの両方を持っていて、付け替えて体感してみる(自分の運転スタイルや車に合った長さを見付ける)のも良いんじゃないでしょうか。

 

3.綺麗な空気は好きですか?

ファンネルを付けるとエアクリーナーを付けずに剥き出しで乗っている方が多いですよね。見た目はカッコイイですがやっぱりエンジンには相当のダメージがあるでしょう。そこで装着するのが「トランペット・ソックス」。

ファンネルをガバッと覆っちゃうエアクリーナーです。しかし、このエアクリーナー装着方法にもちょっとしたコツ(?)がありまして…

「吸入口付近には邪魔な物を置きたくない」障害物があると吸入効率が落ちちゃいます。これにはエアクリーナーも含まれるんです。なので吸入口端からエアクリーナーの間に隙間を与えてあげなければいけないんです。その間隔は少なくとも「キャブ口径の1/2程度」このくらいは空けておかないといけません。ちなみにフィルターメーカーの取説には「最低20mmは空けなさい」と書いてありました。

 

 

4.おまけ

ちなみに自分のMINIの場合、排気量は+40でボアアップしているので1310cc、カムシャフトが56°、キャブが1・3/4 SUツイン、ファンネル長が68mm。これで3000〜4000回転での伸びが良くなりました。 

以上がファンネル講座でしたが分かって頂けたでしょうか?基本的には下記の参考文献が元となっていますが(これって著作権に引っ掛かるのかしら?)おばかっちょなので解釈の仕方が間違っている箇所が多々あるかもしれません。なので「ここは違うだろ」ってお気付きの方は、教えてください。

 

参考文献:『キャブレター・メンテナンス&セッティング・ファイル』立風書房