実際問題、ゴッホの手紙は、英語・フランス語・オランダ語様々な文章で書かれてます(日本語はさすがにない\(^o^)/)。問題の書簡592は、フランス語で書かれてます。英語やドイツ語でしたら、少しは訳せるのですが、フランス語はさすがに、ちょっと・・・。と思っていましたら、The Vincent van Gogh Galleryに英文が掲載されていたので、そこから自分なりに考えながら訳してみることにしました。
What you also have to know is that if you arrange them this way ,namely “La Berceuse”’in the middle and the two canvases of suflowers to the right and left,it makes a sort of triptych. And then the yellow and orange tones of the head will gain in brilliance by the proximiity of the yellow wings. それからわきまえておいてほしいのだが、こんな風な配置で並べる場合、『ラ・ベルスーズ』を中央に、二点のひまわりを左右に置けば一組の三幅対になる。 また、そうすると頭部の黄色とオレンジの色調が黄色の両翼の隣近でいっそう輝きを増すことになる(⇒ゴッホの参考書(ファン・ゴッホの手紙)・341ページ)。 それからわきまえておいてほしいのだが、こういうぐあいに並べたなら、すなわち、『ラ・ベルスーズ』を中央に、そして、左右にヒマワリのそれぞれ二つのキャンバスを置けば、それは、『三幅対』のようなものになる。 そして、そうすると頭部の黄色とオレンジの色調が、黄色の両翼の傍で、一層輝きをますだろう(maepi訳)。 |
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F454 |
F505 |
F456 |
ロンドン | ホーヘ・フェルウェ | ミュンヘン |
ここで、問題になるのは、昨日美果さんから指摘があったyellow wingsの解釈です。この黄色い両翼というのが、背景が黄色のヒマワリの絵を指すのでは?というわけですが、それは違うと思います。yellowが指すもの、それはヒマワリです。 そのヒントは、headにあります。このheadが示すものは、私は当初は、それぞれの絵の中のヒマワリの中心部分と考えてました。しかし、このことは違っていると今は思ってます。このheadが示すものは、多分ルーラン夫人の顔だと思います。 というのは、さらに勉強するために、『アルルのファン・ゴッホ』という本を読んでいます。その中で、ルーラン夫人の箇所では、異常なまでの色彩についての言葉があります。そして、その中に何回も黄色とオレンジの色調のことが出て来ます。一見何気ないルーラン夫人の顔ですが、髪に沢山のオレンジと顔に沢山の黄色が使われ、よく観ると虹彩(茶目)に緑が使われています。 この絵は、色弱の人が観たら、わけのわからない絵になると思います。私には、絶対描けない絵です。 私は、そう解釈しました。黄色の花(ヒマワリ)全体で、両翼です。そして翼を広げるなら、上の配置です。 私このことを考える時に昔観た映画『人間の証明』を思い出しました。問題の青年が、知人に『日本のkiss me』に行くといってアメリカから出発します。その青年は、母親に殺させるのですが、kiss meがどこをあらわすかが、最初の問題になります。この答えは、キリズミ、でした。謎解きに、観ていて打ち震えた感覚が甦りました。 書簡を少しずつ、関係あるところを読んでいきました。その中にはテオに宛てた手紙や妹に宛てたものを含みます。ゴッホは、その書簡において、二つの壷にいけたヒマワリの絵(黄色の背景で14本いけたものと青緑の背景で12本いけたもの)を、常にthe two canvasesと書いています。ゴッホにとってこの二つの絵は、同等の価値がある素晴らしい絵なのです。そして、彼の中では、『ラ・ベルスーズ』は信じられないくらい価値があるものだったのでしょう。5枚も描き、書簡にも異常に、詳細で多く登場するのですから・・・。 自分自身がゴッホになって考えてください。黄色の背景だけのヒマワリの絵で、『ラ・ベルスーズ』を囲むでしょうか?私なら、そうは絶対しません。 やはり、画家・ゴッホの挿絵は、全てを現していると思います。 |
黄色の背景を示すことは、他の書簡に(against a yellow background)と書かれてます。
勿論、書簡572には、この言葉はありません。