佐倉本って何?
                

 私は「佐倉」と「印旛沼」という文字が出てくる小説やエッセイ、雑誌、漫画本、映画のパンフレットなどを集めています。それらの本に記されたことは、佐倉にゆかりの人であったり、佐倉という地名や場所、佐倉にゆかりのある架空人物(というのも変ですが)などさまざま。とにかく本の中に一文字でも佐倉に関したことが記されていれば収集しています。そして、それらの本を総称して、私は「佐倉本」と呼んでいます。

 佐倉本といっても深い意味はなく、それらの本をまとめて呼びたいときに便利だから称しているだけです。佐倉本は、どういう内容であれ佐倉が描かれるのですから、佐倉を知るきっかけとなる本です。この佐倉本に出会う楽しさは、都会で旧友に突然出会ったような懐かしさと喜びを得られたような楽しさです。また、佐倉にゆかりのある人物が別の名前で書かれていたりしているときに、その人物を佐倉にゆかりのある人と特定できた時には、さらなる満足感に浸ります。

 夏目漱石の『道草』(新潮文庫 81頁)では、「或女」が佐倉にゆかりのある花井梅のこと。柴田宵曲の『明治の話題』(青蛙房 昭和37年)を読んでいたらそのことが書いてあり、まるで推理小説の犯人がわかったような気持ちになりました。このように佐倉本となる本は、まず本の内容で楽しめ、次に佐倉本として新たなる価値(あくまでも個人的見解ですが)を発見する喜びがあり、しかも読んだ本を収集できるのですから、グリコのおまけがついたような、1冊で2度、3度楽しめる本です。もっとも、それでどうなるというものではありませんが、そのようなことで読書の楽しみが倍加するなら結構なことと思っています。

 でも、一人で佐倉に関した本を把握するのは限界があると感じていました。近年のように本が洪水のように出版される状況からみて、一人で把握する本より、漏れ落ちてしまう本のほうが多いのです。そのようなことがありまして、私が現在、どのような本を把握しているのかということを知ってもらいたいと思い、ホームページに掲載しているところです。情報を提供すれば、新たな情報が得られるのではないかと思っています。

 それに、私は小説の舞台となる町や、小説に描かれる人がいた町は魅力的な町だと思っています。そして、佐倉もそのような町であると思っています。佐倉本の収集は、それを数値で確かめる作業なのかも知れません。
  


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