泡・ボーイズ






ぬるぬるする肌をそっと辿られて、サンジは熱い息を吐いた。
それは瞬く間にバスルームに篭る熱気に紛れて消える。息をしているはずなのに、充満する空気が熱くて熱くて、呼吸困難でもあるかのように、サンジは口を開けて空気を求めた。
「っん……」
その口を、同じくらい熱くなった唇が塞いだ。
(あー……なんでこんなことになってんだっけ……)
自分の肌と同じくらいぬるりと湿った肉厚の舌が、熱い息を吐き出す咥内で暴れるのを感じながら、サンジはぼやける頭で考えた。
上に覆いかぶさるのは、当たり前だが、ゾロだ。
「ん、んァ……ッロ……」
舌を絡められて、上手く発音ができない。その間にも、ゾロの武骨な指はサンジの白い肌を辿っていく。
「アッ、やっ!」
ゆっくりじれったく肌を滑るその指が胸の突起に辿り着いたとき、サンジは大げさに身を震わせた。弾みで咥内からゾロの舌が抜け落ちて、顎に伝った唾液を舐め取られる。
「ん、んん……っ」
「別に、石鹸の味なんてしねえのにな」
顎を舐めた後、頬もべろりと舐められて、そしてゾロの視線はその突起に当たる自分の指先に移った。サンジも荒い息のままぜえぜえと、上気して勃ち上がった己の胸の突起を見下ろした。
「テメエ自身が、石鹸になっちまったわけじゃねえんだな」
「バッカ……言って……っ!」
くりくりとその突起の先端を指先で円を描くようにこね回されて、サンジはあまりの快感に顔をそこから背けた。見たくない。
「でも泡立つって、すげえな」
オラ、見てみろよ、とおもしろそうに笑われて、顎を捕らえられて無理やりその部分を見せ付けられる。
弄られて色づいた突起が慎ましく勃ち上がり、周りをゾロの指がくるくるとくすぐるようにしてなぞる。やがてその指がくすぐった部分から、薄い白い泡がほわりと現れた。
まるで、石鹸の表面をなぞって泡立てているかのように。

その泡を指先に絡めて、平らな胸を揉み込むように動かせば、サンジがたまらないというように身を捩って、ゾロの背に手を回した。
「も、やめっ……」
回した腕はただシャワーによる水で濡れているだけのはずなのに、ゾロの背に回してもするりと滑って落ちてきてしまう。
汗で滑っているわけではない。

サンジの肌が、滑っているのだ。



それに気づいたのは、エニエスロビーでの戦いが終わってすぐのことだった。
戦いで負った傷を癒すために、立ち寄った島で休養を取っていたときだった。チョッパーは身体的にも精神的にも傷ついていたので、彼に治療してもらうのは気が引けた。なので、見つけた空き家に陣取って、クルー達は島の医者に通いつつ生活していた。
空き家とは言っても、貸しコテージのようなものなので、生活用具はほぼそろっている。キッチンにも調理器具があったので、しばらくしていなかった料理で心身ともに疲れきっているクルー達をもてなそうと思ったサンジは、ケガをしつつも元気なゾロを引っ張って市場へと出かけた。
そこで、異変に気づいたのだ。

市場は賑わっていて、探せばなんでもそろいそうなくらい品揃えがいい店が並んでいた。食べ物も新鮮で瑞々しく、コックであるサンジの好奇心を大いに誘った。
さっそく材料を吟味しようと、積み上げられたジャガイモを手に取ったとき、それは起きた。
「……あ」
掴んだはずのジャガイモが、つるりとサンジの手から滑り落ちたのだ。
「っかしいな……?ちゃんと掴んだつもりなんだけどな」
食材を地面に落としてしまったことを申し訳なく思いながら、サンジはその落ちたジャガイモを拾おうと屈んだ。けれども、またしても掴んだと思ったそれは、サンジの手から落ちる。つるりと。
「なんだ?」
でこぼこしたジャガイモがつるつるしているわけでもないのに、掴めない。
「おいオッサン、これ、なんか特殊なイモなのか?掴めねえけど」
「んなわけあるかい兄ちゃん。ただのジャガイモに決まってんだろ。味はただモンじゃねえくらいうめぇけどな!」
返ってきた景気のいい声に、だよなあ、と思いながら、またジャガイモに手を伸ばす。けれどやっぱり掴めない。掴もうとしても、ジャガイモが滑る。
それを見ていたゾロが、「何やってんだ」と言わんばかりに落ちたジャガイモをひょいと拾った。いとも簡単に。
「あれ?」
何度も落としてしまったせいで傷ついたジャガイモに目を丸くしながら、サンジは首を傾げた。
「兄ちゃん、落としたのは持ってってくれよ」
「あ、ああ。じゃあ、とりあえず一袋」
サンジはジャガイモが握られているゾロの手と自分の手を見比べながら、ジャガイモを買った。どうもおかしい。

それからも、サンジがなにか物を掴もうとするたびに、するりとそれがすべり落ちてしまう。野菜も肉も果物も酒も、サンジが手に持つすべてのものが石鹸のようにするすると滑ってサンジの手から落ちてゆく。
さすがに酒のビンを落としそうになったのを見て、ゾロは異変に気がついたようだ。
「お前、なんか変だぞ」
「っせえな。今ごろ気づくな」
まさか怪我の後遺症とかで、手の握力が弱っているのだろうかと一度は危惧したが、ぎゅっと握ってゾロに軽くパンチしたら、彼はそれなりにダメージを受けていたので、それはないようだった。そしてそこから取っ組み合いのケンカになったが、いつもどおり引き分けで終わったので、やっぱり身体に異常はないだろう。
けれどおかしい。
サンジは買い物が終わったあとも、不思議そうに己の手を眺めていた。

戦いが終わった後、サンジもクルーたちの例に漏れず重傷だった。なので、当然料理もしていない。自分で材料を手に入れて、そして調理しようとしたのは今日が初めてだ。だから今までその異変に気づかなかったのかもしれないけれども、何かの後遺症にしてはやっぱりおかしい。
市場から離れた公園で、サンジはタバコを吸いながら手を触ったりひっくり返したりしていた。
「……ちょっと見せてみろ」
するとぐいっと手を引かれて、サンジはゾロの方に引っ張られた。
「な、なんだよ」
「なんにもおかしいとこ、ねえよな」
手をじろじろ見回して、そしてその指に触れた。そっと指同士が触れ合って、サンジはビリッと身体に電流のようなものが流れたような錯覚に陥った。
(あー最近ずっとご無沙汰だったしな)
探るように指を触られると、なんだかムズムズする。普段こんな触られたくらいで性感が呼び覚まされることはないのだが、久しぶりだし、これくらいの刺激でちょっとキてしまうのも、若さ故だろう。
「……」
指を摘んで、撫でて、そして手の甲を辿って、手首を掴まれた。そして捕らえられた手の平を、空いているほうの指でゆっくりなぞられる。
「ッ……」
「ん?」
触られて息を詰めたサンジに気づいたのか、ゾロは顔を上げた。サンジは気づかれたかとドキドキしたが、ゾロが彼に発したのは、全然違う言葉だった。
「お前、石鹸ついてんぞ、手に」
「はあ?」
石鹸?と訝しげに思った矢先、ゾロがべろりとサンジの手の平を舐めた。そして、唾液で湿った部分を、指で辿る。
「何してくれてんだ!って……え?」
「オラ、泡立ってんじゃねえか」
くるくると指で手の平を撫でられていたら、本当にそこから白い泡が出てきた。石鹸を擦ったときのように。
ちゃんと落ちていなかった石鹸のせいで、先ほどまでものが上手くつかめなかったのだろうか。それはいくらなんでも違うんじゃないだろうかと思いつつ、自分の手が泡立ったのは事実なので、サンジは手を洗うことにした。
「ったく、ちゃんと洗えよ」
失礼極まりないことを言われたので、サンジはゾロの鳩尾に蹴りを入れてから、近くに備えられていた水道で手を洗った。洗ったというか、手についている石鹸を落とした。
けれど。
「お、おいゾロ……」
「あ?」
「俺の手、変だ……」
じゃぶじゃぶと流れる水に手を突っ込んで手を擦り合わせるサンジの元へ、ゾロが歩み寄ってその手元を覗き込む。そしてあまりの光景に目を見張った。

サンジが水の中で手を擦り合わせると、石鹸のせいなのか、泡がぶくぶくと浮いてきた。けれど、流しても流しても、その泡は消えるどころか、次から次へと泡立っていく。まるでサンジが石鹸にでもなったかのように、それは収まる気配がなかった。
「んだよこれ……気持ち悪ィ……」
洗っても洗っても肌が石鹸にまみれたままぬるぬると滑る。そのぬめりは一向になくなる気配がない。サンジはとにかく、手を擦り合わせた。
「止めとけ」
水に晒される手が、擦られ過ぎて赤くなっていくのに気づいたゾロは、サンジを水から遠ざけた。
「お前、なんか変なモン触ったのか」
「わ、わかんね」
水で冷えた手を握られて、サンジはほっと息を吐いた。体温の高いゾロの手が、強張った身体を解きほぐす。
ぬるついた手を撫でられて、サンジはハッとあることに気がついた。
「もしかしてゾロ……」
「あんだ」
もしかして。いや、もしかしないでも、原因がそれしか考えられない。
「俺、石鹸人間になっちまったかもしれねえ」

そう真剣な顔で告げると、サンジはゾロに語りだした。
エニエスロビーでの戦いで、サンジはカリファと戦った。彼女は全身石鹸という悪魔の実の能力者だった。あの滑らかな手で撫でられた箇所は、たちまちスベスベのつるつるになってしまい、動かすことすら困難な状況になる。サンジは全身を撫でられて、立ち上がることはおろか、何もできなくなってしまったのだ。
カリファの能力で全身がつるつるになったものの、水を浴びることでその状況から脱することができたサンジは、再び戦力として活躍することができたのだが。

「もしかして、それが身体に染み付いたままなのかも……」
長時間石鹸の能力に包まれていたせいで、サンジの体の仲間でも石鹸が入り込み、泡立つ石鹸人間になってしまったのかもしれない。サンジはそう結論づけるしかなかった。
けれど、濡れれば解けた呪縛だ。洗って洗って洗い尽くせば、サンジの体内に入り込んだ石鹸もなくなるのかもしれない。
「これはもう、一日中風呂で……ってゾロ聞いてるか?」
よし、わかったらすぐに戻るぞ!と立ちあがったサンジは、ゾロが俯いたまま動かないのに気づいた。
「どうしたよ」
「お前……」
ゾロは低く呟いてから、また黙り込んだ。そして何かを考えていたのかと思うと、サンジのつるつるする手をがっしり掴んだ。けれどつるんと滑って手が離れてしまうので、ゾロはサンジのスーツの袖を掴んだ。
「おい、なんだよ。どうしたんだよ」
「いいから、まずはその石鹸を落とせ」
そう言ったっきり黙りこんだ剣士に引っ張られるままに、サンジは歩き出した。


仲間のところに帰るのかと思いきや、ゾロは反対方向に進み、そして適当な連れ込み宿にサンジを連れて行った。そして「一人で入る」というサンジの抵抗をものともせず、ゾロはぱっぱっと手早くサンジの衣服を取り去ってバスルームに放り込んだのだ。
勢いよくシャワーを浴びせかけられ、全身をくまなく洗われた。何も使っていないのに泡立つ身体を何度も洗い流して、そしてやっと石鹸の効果が薄れてきたと思った頃。
ゾロは今度は明らかな意図を持ってサンジに触りだした。
別にこういう宿に入ったから、その予想をしていなかったわけではない。けれども、こんなぬるぬるの状態で事に及ばれるとは、思ってもみなかったサンジだ。近づいてくる唇に抵抗したくとも、シャワーの湯で少しだけ逆上せた身体はあっさりゾロに捕まってしまった。
そして今に至る。

泡立てた胸の突起から指を離して、ゾロはサンジに覆いかぶさったまま、今度はその真っ白い足に手を滑らせた。するりと滑るその肌は、いつものサンジの肌よりもぬめりを帯びている。
「全身つるつるにされたってんなら……」
「んァ?」
太ももの内側を撫でられてびくびくと身体を震えさせていたサンジは、ゾロから告げられた言葉にあいまいな返事しか返せない。
「こことか、触られたってことだよな」
両足の間に身体を入れた状態のまま、ゾロはサンジの膝を胸に付くぐらいに押し上げた。浮き上がった腰の下に膝を入れて持ち上げれば、サンジの性器も、ゾロを迎え入れる部分も露わになる。サンジは羞恥で顔を真っ赤に染めた。
その顔を堪能しながら、ゾロは浮き上がったサンジの尻に手を滑らせた。
「この小せえ尻も、撫でられたっつーことなんだろ」
「うるっ……せ……触んな変態ッ!」
ゆるゆるとそこを撫でるように擦れば、ふわふわと泡が浮いてくる。それを尻にくまなく塗りつけて、ゾロはその奥へも指を伸ばした。
「あっ」
「ここは流石に、触られなかっただろうな」
固く閉じたその部分に指を押し当て、ゆっくりと撫でる。ゾロの指についた泡が滑りをよくしているからか、少しばかり力を入れただけで簡単に中への侵入が果たせた。
「や、あっ」
空いた手で、また胸の突起を弄った。弄れば弄るほど真っ白な泡が湧いてきて、擦れば擦るほど、濃密に泡立っていく。その泡を手にとって、先走りで濡れそぼっている性器へ絡めた。
「あ、はァ、んんっ……」
濃密な泡ごと性器をしごくと、サンジはたまらないといった様子で腰をくねらせた。その動きに合わせて、もぐりこませた指で中を探る。流石に中までは泡立つことがないので、ゾロは一度指を抜き取って、僅かに泡がついたままだった尻に手を戻す。そして揉むように手を動かせば、サンジの中に浸透している石鹸が、たちまちぬるぬるした泡を生み出した。その泡を絡めて、今度は人差し指と中指の二本をサンジの中へと侵入させる。
「うあっ、ァ、ァ」
触れば触るほど泡立つ体を、ゾロは苦々しげに見下ろした。触れば泡立つ。つまり泡立つ場所は敵に触れられたということなのだ。
(女でも、許せねえ)
この身体に触っていいのは自分だけなのだ。たとえ服の上からだとしても。
そう思ったら、サンジを守るように包む真っ白い泡が煩わしくて、ゾロはシャワーの湯をサンジに浴びせかけた。
「ぶっ!」
「挿れんぞ」
泡が肌を滑る感覚に震えた体を押さえ込んで、ゾロはほどよく解れたサンジの中に、隆起した性器を突き入れた。
「え?あ、アアッ」
ずるっと石鹸の滑りでもぐりこんだ性器が、サンジの中の熱さにドクンと脈打った。先端部分だけを挿入した状態で、ゾロは一旦息を吐いた。
「大丈夫か」
「い、きなり挿れんな……アホっ」
ぜーぜーと息を荒くして、サンジはゾロを睨み上げた。真っ赤に染まったその顔がなんとも言えず色っぽくて、ゾロは今すぐにでも性器を全部挿入したくなった。
ので、実行に移すことにした。
「ゾロ!ちょっと……っあゥっ」
滑るサンジの腰骨を掴んでさらに中への侵入を試みたゾロだったが。

「あ?」
ゾロが性器を突き入れると、サンジも一緒に体が上へ動いてしまう。全身が石鹸状態のサンジの身体は、つるつる床に滑って上へ押し上げられてしまうのだ。腰を抑えてもすぐに滑って掴み続けることができない。
「大人しくしてろっ」
「知るかっ!」
辛いのは二人とも一緒だ。入れた性器は、始めに入れた位置から動いていない。身体だけが動いてしまうからだ。
業を煮やしたゾロは、つるつる滑るサンジの腕を強く掴んで引き起こした。そして素早く胡坐をかいた足の間に、サンジを突き下ろす。
「─────ッ」
一気に根元までを咥えこまされたサンジは、声も出せないほどの衝撃に震えだした。
「こうすりゃよかったな」
腰を突き上げれば、サンジの後ろがきゅうっと締まった。
「あ、あ、ゾロ、ゾ、ロぉ……っ」
さっきまではゾロの背に回しても己の滑りでずり落ちてしまった手を、今度こそしっかりと回した。
「こ、の……っケダモノッ!」
ゾロにしがみ付きながら、サンジは至近距離でゾロを睨み上げた。その瞳は蕩けるように快感に濡れていて、睨んだって全然効果がない。むしろゾロにとってはさらに情欲を煽る結果にしかならなくて。
「ハッ!狩人がそのケダモノにいいようにされてザマぁねえな」
腰を抱えたまま回すようにして性器を突きこむと、サンジは目を見開いて喘いだ。
「クソヤロッ…」
「オラ、自分で動いてみせろよ、狩人さんよ。このまま大人しく喰われちまってもいいのか?」
笑われて、サンジはギッと歯を食いしばると、同時にいきり勃ったゾロが入り込んだ後ろに力を入れた。
「く、喰いちぎってやるッ……」
いきなり後ろを締められて、一瞬眉は顰めたものの、ゾロは目の前のサンジの食いしばった唇をべろりと舐めて笑った。
「そうこなくっちゃな」
脈打って熱い己の性器をぐいっと入り口近くまで引いて、そして勢いよく奥に叩きつける。その勢いに、とろとろになった白い泡が飛んだ。
「あっ!う、う……ふゥ、ん……っ」
そのまま腰を律動させながら、ゾロは目の前の胸の突起に口づける。弄られすぎて真っ赤に熟れたその突起を、サンジは自らゾロに押し付けた。
「ぞ、ン、はァ、ゾロっ」
快感に仰け反った背に腕を回して、逃げることができないようにきつく抱きしめる。そして、サンジの身体に杭を打ち込むが如く突き上げた。
「サンジッ……」
「ァ、ァ、ァあ、────ッひああ!」
とどめとばかりに胸の突起に噛み付けば、サンジは目から涙を溢れさせて絶頂に達した。しかし力を無くして緩んだ身体を抱えなおして、休む暇なくゾロはまた突き上げる。
「ふゥ……んっも、やだ……ゾロぉ」
甘ったるくなった声音に、ゾロは自分ももうすぐで限界だということを悟る。せっかく久しぶりに抱き合ったのだから、もう少しこのままでと思わなくもなかったが、自分の上で快感に翻弄されてどうしようもない料理人が「もうダメ」と弱音を吐き始めたので、とりあえずは終わらせることにした。
「あっゾロっ!」
限界まで膨張した性器を奥まで突きこまれて、サンジは思わずゾロの耳に噛み付いてしがみ付く。
そしてちゃり、と三連のピアスが音を立て、それと共にゾロは絶頂を迎えた。


すっかり石鹸能力の取れたサンジだったが、久しぶりの激しい性交によって足腰立たなくなってしまったため、ゾロに担がれてクルーの元へと戻った。
確かナミもカリファの石鹸能力を受けていたらしいが、サンジのように石鹸体質になったという話は聞いていなかった。後から遠まわしに聞いてみたら、
「え?別になんともないわよ?」
と軽く返事をもらった。
サンジが推測するに、つるつるになっていた時間がナミよりも自分の方が長かったために、石鹸がより多く体内に浸透してしまったのではないか。
はっきりしたことは全然わからないただの憶測になってしまうが、多分外れてはいないだろう。サンジは自分の手を撫でて安堵の息を洩らした。
カリファによってつるつるにさせられた箇所をすみずみまで洗い尽くそうと触り続けるゾロの動きは、嫉妬丸出しで容赦なくて、サンジの方が狩られているような気分だった。ただ貪られるのが悔しくて伸ばされた手も、泡の滑りで邪魔されて。
触れたくても触れられないのが、あんなにもどかしいとは思わなかった。

そう思ったら、天気のいい屋外で高いびきをかいている剣士を、何故だか無性に抱きしめたくなった。





おわり
printed、2006/06/18 up、2006/12 taki

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