パソコンサンジ(続編…)




ある日、アパートに帰ると、アホパソコンがいた。
いや、別にもともとアホなんだが、今回のはかなりヤバい。
なにがヤバいって、いきなりシャツが半脱げで、玄関入ってすぐの床に横座りしていた。
「?!」
慌てて開いたばかりの玄関ドアを閉める。
目の錯角だろうか?
ごしごしと目を擦って、もう一度ドアをあけた。
今度は玄関に立っていた。
あまりにも目の前にいて。
しかもメチャクチャ視線が熱っぽくて…。
黙ってドアを閉めた。
なんだ?電源切れてるわけじゃねーし、無茶な使い方もしてねーよな?
朝出かける時はいつもと同じ、クソ生意気な口の悪いやつだった。
なんでだ?
そーっとドアを開けて、もう一度中を覗いた。
目の前に青い目玉がひとつ。
「うぉ?!」
思わず後ずさる。
「ゾロ」
今にも泣きそうな金髪が、いきなり抱き着いてきた。
「アホ、離れろ!」
シャツを掴んで引き剥がそうと試みるが、ギュウギュウしがみ付いてくる機械の力は相当なものがあり、剥がせない。下手をすると半脱げのシャツが破れてしまいそうだ。
「うー、どうしよう」
「何が」
「身体が変なんだ。熱い…。」
機械が風邪なんか引くはずねーし。しがみ付く金髪の体温はいつもと同じくらいだ。
「なぁ…ゾロ」
耳もとで囁く金髪の息遣いが荒い。
腰に当たる固い感触に気付き、思わずビクリとした。
まさか、こいつ…。
「セックスしてー」
「アホかぁ!」
シャツが破れるのもかまわず、無理矢理金髪を引き離した。
「てめぇなっ!」
怒鳴り付けた金髪の上気した頬に思わず絶句する。
なんでそんな顔してんだ。さかりのついた犬猫か?
「…もー我慢出来ねーよ」
「んな事言っても…、入れる穴がねーだろ」
本来、女性向けに作られてるこいつにはチンポコはあってもケツの穴はない。
「お前のがある」
そう言って、Tシャツをつかんで引き寄せられ、口を塞がれた。
お前のがあるって何だ?
…おれ?
おれに何があるって?
パニくってる間に、金髪の舌が入ってきた。
まさか…まさか…。
「…ぷはっ!…おれに入れる気かぁ!!」
あごを引っ付かんで剥がし、叫んだ。
「ダメか?」
「ダメに決まってんだろ!アホか!」
「なぁ、苦しいんだ、ゾロ」
上目遣いに金髪が迫ってくる。
「知るかよ」
「あー…もう…壊れちまいそう…」
苦しげに金髪が両腕で自分の身体をかき抱く。
「ゾロ…」
壊れるのは困る。困るが…。
「…なぁ」
「…う…」
「痛くないようにするから」
…そういう問題じゃねぇ。
「出せば良いのか?っつーか、お前出るのか?」
金髪がコクコクと頷く。
「手ェ貸せ」
金髪の右手を掴んで股間に誘導しようとして、この場所がアパートの廊下である事に気付いて血の気が引いた。
慌てて左右を見渡すが幸い誰もいない。
ホッと胸を撫で下ろし、動けなくなってる金髪を引き摺って部屋に入った。
「…ゾロ…」
荒い呼吸を繰り返す金髪を畳に転がし、ズボンのファスナーを下ろす。
中身は見たくないので微妙に視線をずらして、金髪の右手を誘導し掴ませる。
「あ…」
上下に擦るように動かしてやると、小さく声が上がった。
「出るまで擦ってろ」
「うう…」
「おら、ティッシュ置いとくから」
「うー…入れてーよ…」
「想像で我慢しとけ」
「…うー…」
玄関で靴を履いて、部屋を出ようとしたら金髪の声が聞こえた。
「…ゾロォ…」
「おれで想像するなぁ!!」
思わず、金髪に革靴を投げ付けた。
畳が汚れたかもしれないが、知ったこっちゃねぇ。
どうせ、掃除するのはあいつだ。

「おー!ゾロ!」
アパートの階段を降りたところでウソップに声をかけられた。
「おう」
「ん、どうした?顔が赤いな。熱でもあるのか?」
「ねーよ!」
「なんだよ、怒鳴るこたぁねーだろ。そうそう、今日のメルマガ情報だが、亜種のウィルスが発見されたらしいぜ」
「あん?」
アシュって悪種ってことか?
…癌とか?癌ってウィルスで発生する病気だったのか?
「まだ新種でワクチンが開発されてねーんだが、結構笑えるんだ、コレが」
「だからなんの話だ?」
「パソコンのウィルスだよ。お前んとこのパソコンも気を付けた方がいいぜ」
「それって可笑しくなるのかよ?」
嫌な予感。
「おう。今回のやつはデータの改ざんとか消去はしねーんだが、セックス機能がおかしくなるらしいんだ。AVも真っ青な乱れ具合になっちまうんだと」
弔いの鐘の音が聞こえた気がした。
「まぁ、お前んとこは野郎型だし関係ないか。っつーか、恐ぇか!」
ウソップがギャハハと笑った。
…関係大ありだ!
「どうやって、直すんだよ?」
「あ?サンジおかしくなったのか?」
「…」
おかしくなってると言ったら、見せろと言い出すに決まっている。
あのアホのあんな姿は、ちょっと見せられない。
特に今は。
なにせ真っ最中だ。ナニの。
「そうかー、おかしくなったのか」
ウソップが勝手にうんうん頷いている。
「見せろ」
「断る」
「だっておめーじゃ直せねーだろ?」
「…」
その通りだ。むっと押し黙る。
「まあ、いいや。カヤ2号にメール送るようにサンジに言ってくれよ」
「は?」
「ウィルスデータ、欲しいんだよ!今メール送れば、勝手に添付で付いてくるからよ」
「直すのは?」
「ああ、ワクチンが完成すれば、ネットで自動配信されるから、すぐ直ると思う。というか放っとくしかねーな、素人は。あんまり耐えられねーようならスリープしとけよ」
なるほど!スリープか…。っつーか、またあの「おやすみ」をやるのか…。
大ダメージを喰らったおれを尻目に、ウソップが軽やかなステップで階段を上っていく。
「すぐ送ってくれよ!」
「…おう」
絶対送らねーと心に決めて、ひまつぶしの散歩に向かった。


さんざん道に迷った挙げ句アパートに帰り付くと、ワクチンが出来たのか、いつも通りの金髪がオレを出迎えた。その頬がいつもより少しだけ赤いのは、たぶんさっきの醜態が記憶に残っているからだろう。
後でマニュアルを読んで記憶を削除してやろうと思った。





<END>

ずーっと昔に書いたまま放置してたSSです…。
何年前だよ、ってツッコミを入れる気力もないくらい。
本編アップしてないのに、途中の1話だけ上げてごめんなさい…(死)