BROSのなかまたち


 BROSのエンジンが採用する位相クランクは、1982年にNV750Cで初めて採用されました。以降、ホンダは狭角Vツインエンジンを製造し続け、その歴史は20年に迫ろうかとしています。その過程でバンク角は45度と52度に、クランクは位相に加えて同軸クランクもバリエーションに加えられ、駆動方式もシャフトにチェーンが加えられるなど、これらの要素を組み合わせて様々なエンジンが誕生しました。

 ここでは「ホンダ製狭角Vツインエンジン」をBROSのエンジンと「なかま」であると位置付け、それらを搭載したモデルを辿ってみました。一部スペックに不明な点が残っていますが、ご存知の方がおられましたら教えて下されば嬉しいです。
凡例
Vバンク角 = 45度 = 52度
クランク方式 = 位相クランク = 同軸クランク
駆動力伝達方式 = シャフトトドライブ = チェーン

1982年
NV750C Custum

 新開発の45度Vツインエンジンを搭載してデビュー。位相クランクや3バルブ、ツインプラグ、油圧バルブクリアランスアジャスターなどの技術を取り入れ、快適なクルージングを目的として開発され、1年早く市場投入されていたヤマハのビラーゴに挑んだ。ホンダ狭角Vツインエンジンの始祖。アメリカンながら6速ミッションを持ち、6速はOD(オーバードライブ)の設定となっている。

NV750C Custum
型式RC14
排気量749cc
ボア&ストローク79.5X75.5mm
最高出力66ps/7,500rpm
最大トルク6.8kg-m/6,000rpm
圧縮比9.8
ミッション6速
乾燥重量211kg
全長2,230mm
全幅850mm
全高1,200mm
軸間距離1,525mm






1983年
XLV750R

 駆動方式にシャフトドライブを用いるという、妙なオフロードモデル。エンジンはNV750Cをベースとするが、アメリカンのエンジンを更に低中速寄りに改良するという現代ではあまり考えられない手法が採られ、まっ赤に塗られたエンジンが搭載された。そのエンジンは、最低地上高を稼ぐ為に潤滑方式をドライザンプとされ、フレーム内部の一部をオイルタンクとして使用している。パリ・ダカマシンのレプリカでありアフリカツインの先祖であるが、エンジンのボア&ストロークが異なる。(アフリカツインは81.0X72.0mm)

XLV750R
型式RD01
排気量749cc
ボア&ストローク79.5X75.5mm
最高出力55.0ps/7,000rpm
最大トルク6.0kg-m/5,500rpm
圧縮比8.4
ミッション5速
乾燥重量195kg
全長2,235mm
全幅890mm
全高1,230mm
軸間距離1,480mm
流星2号さんのページ





VT750C (輸出)

 NV750Cの輸出向け。僅か1年後には関税政策の為、排気量を下げたShadow700となる。

排気量749cc
ボア&ストローク79.5X75.5mm
最高出力66ps/7,500rpm
最大トルク6.8kg-m/6,000rpm
圧縮比9.8
ミッション6速
乾燥重量211kg
全長2,230mm
全幅850mm
全高1,200mm
軸間距離1,525mm

VT500E Euro Sport (輸出)

 前年に発売されたNV750Cの技術を踏襲、Vバンク角を52度として油圧バルブクリアランスアジャスターを省略したVツインエンジンを装備し、スポーツツアラーとして市場に投入された。ビキニカウルにフロントのインボードディスクブレーキ、ブーメランコムスーターを装備し、エンジン型式は違えど正にVT250Fの兄弟モデルと言える。ただし、リヤサスはプロリンクではなく、普通の2本サスである。

排気量491cc
ミッション6速
Honda VT500/NTV650 motorcycles Page

VT500FT Ascot (アスコット) (輸出)

 アメリカではお馴染みダートトラッカーをイメージして、「フラット・トラッカー」というジャンルを確立すべくホンダが送り出したモデル。「アスコット」の名称は、1982年に発売されたFT500にも与えられおり、ジャンルを同じくする2台は驚くほどシルエットが似ている。クロスした設定の1-5速とオーバードライブの6速を持ち、駆動方式はシャフトドライブ。だが僅か2年で生産が中止され、日本もアメリカも「アスコット」シリーズは不発に終わってしまった。マフラーは右1本出し。

VT500FT Ascot
型式NC15
排気量491cc
ボア&ストローク71.0X62.0mm
最高出力48ps/9,000rpm
最大トルク4.5kg-m/7,000rpm
圧縮比10.5
ミッション6速
乾燥重量174kg
軸間距離1,481mm
Ascot Web Site!





VT500C Shadow (輸出)

 VT500Eのエンジンを搭載したアメリカンモデル。現行ステイードやシャドウは同軸クランクを採用しているが、VT500E譲りの位相クランクエンジンは振動も無くスムーズ。

排気量491cc
最高出力50ps/8,500rpm
圧縮比12.1
ミッション6速
乾燥重量193kg
microzen's Site

NV400SP

 排気量が400ccに縮小された、VT500Eの国内向けモデル。外観はVT500Eとほぼ同一であり、ロングリヤフェンダーにその面影を見る事が出来る。当時、日本国内の流行はレーサーレプリカに傾きかけており、おとなしい趣のNV400SPは見事マイナーな存在となった。当時のホンダを象徴する、ブメーラン・コムスターホイールやインボードディスクブレーキを装備。

NV400SP
型式NC15
排気量399cc
ボア&ストローク71.0X50.4mm
最高出力44ps/9,500rpm
最大トルク3.5kg-m/8,000rpm
圧縮比10.5
ミッション6速
乾燥重量177kg
全長2,195mm
全幅760mm
全高1,195mm
軸間距離1,480mm





NV400C Custom

 VT500Cの国内版で、NV400SPと同じく排気量が400ccに縮小されている。他の400ccアメリカンモデルに倣って、「カスタム」の名称が付けられ、現行アメリカンモデルの基礎スタイルが確立されたモデル。後期型はヘッドライトが丸目になり、メーター形状も変更された。リヤフェンダーは国内仕様のショートタイプ。

NV400SP
型式NC12
排気量399cc
ボア&ストローク71.0X50.4mm
最高出力43ps/9,500rpm
最大トルク3.5kg-m/7,500rpm
圧縮比10.5
ミッション6速
乾燥重量179kg
全長2,175mm
全幅840mm
全高1,190mm
軸間距離1,490mm






1984年
Shadow VT700C (輸出)

 ハーレーを擁護する為にアメリカ政府が施行した関税政策の影響で、排気量を関税対象外の700cc以下に抑えたモデル。87年まで継続販売される。



Shadow VT1100C (輸出)

 Shadowシリーズの最大排気量車として君臨し、快適なクルージングに特化したアメリカン。現行Shadowより1,500〜2,000rpmも高い馬力・トルクピークに、時代を感じてしまう。

排気量1099cc
ボア&ストローク87.5X91.4mm
最高出力78ps/6,000rpm
最大トルク10.4kg-m/4,500rpm
圧縮比9.0
ミッション5速
乾燥重量247kg
全長2,325mm
全幅810mm
全高1,230mm
軸間距離1,610mm


1986年

シャドウ
 NV750Cの後継モデルで、馬力をやや落として実用回転域に特性を振る。

シャドウ
型式RC25
排気量749cc
ボア&ストローク79.5X75.5mm
最高出力60ps/7,000rpm
最大トルク7.0kg-m/5,500rpm
圧縮比9.8
ミッション6速
乾燥重量221kg
全長2,310mm
全幅805mm
全高1,190mm
軸間距離1,605mm






1987年

トランザルプ600V (TRANSALP 600V)
 狭角Vツインエンジンを搭載した万能デュアルパーパスモデル。パリ・ダカールラリーで活躍したNXR750を範として開発された、ある意味レーサーレプリカ的存在。実は初めてチェーン駆動が採用された記念すべきモデル。以後チェーン駆動方式が主体となって行く。

型式PD06
排気量583cc
ボア&ストローク75.0X66.0mm
最高出力52ps/8,000rpm
最大トルク5.4kg-m/6,000rpm
圧縮比9.2
ミッション5速
乾燥重量177kg
全長2,265mm
全幅875mm
全高1,275mm
軸間距離1,505mm


1988年

NT650 / Hawk GT (輸出)
 ブロスの北米向けモデル。チェーンドライブ等はBROSを踏襲するが、ハンドルやナンバー照明灯別体のリヤフェンダー、リジッドディスクのフロントブレーキ等が異なっている。カムは高回転向けに振られた物を装備。やはり、北米においてもどちらかと言えばカルトなバイク。

NT650/Hawk GT
排気量647cc
ボア&ストローク79.0X66.0mm
最高出力58ps/8,500rpm
最大トルク5.9kg-m/6,000rpm
圧縮比9.4
ミッション5速
装備重量186kg
全長2,060mm
軸間距離1,425mm





NTV650 / Revere (輸出)
 ブロスの欧州向けモデル。狭角52度エンジンにプロアームの構成は変わらないが、鉄フレーム・シャフトドライブ駆動・燃料タンク7L増量と質実剛健な作り。国によって仕様に微妙な差があり、スイス仕様はエアインダクション付き。公称最高速度は172km/hらしい。

NT650/Hawk GT
排気量647cc
ボア&ストローク79.0X66.0mm
最高出力27ps/6,500rpm
34ps/7,500rpm
50ps/7,500rpm
53ps/7,500rpm
57ps/?,???rpm
60ps/8,000rpm
最大トルク6.2kg-m/6,000rpm
5.6kg-m/3,000rpm
圧縮比9.2
ミッション5速
乾燥重量188kg
全長2,190mm
(2,150mm, 2,235mm)
全幅875mm
全高1,080mm
軸間距離1,465mm





NTV600 (Revere) (輸出)

 NTV650の600cc版。ちなみに型式名はPC22。

型式PC22
排気量583cc
ボア&ストローク75.0X66.0mm
圧縮比9.2
ミッション5速
乾燥重量188kg
全長2,190mm
全幅875mm
全高1,080mm
軸間距離1,465mm

アフリカツイン (Africa Twin)

 TLANSALPのエンジンを搭載し、イメージをよりパリ・ダカレプリカへ近づけたモデル。輸出用はヘッドライトのレンズガードが装着され、出力特性も少々異なる。

Africa Twin
型式RD03
排気量647cc
ボア&ストローク79.0X66.0mm
最高出力52ps/7,500rpm
57ps/8,000rpm
最大トルク5.7kg-m/6,000rpm
5.8kg-m/6,000rpm
圧縮比9.4
ミッション5速
乾燥重量195kg 185kg
全長2,310mm
全幅900mm
全高1,320mm
軸間距離1,550mm 1540mm
(注) 斜体=輸出




Shadow800 (輸出)

 ハーレー擁護の為、700cc以上の排気量モデルにアメリカ政府が設定した関税が撤廃され、Shadow 700の排気量が100ccアップされてShadow 800となった。

排気量800cc
ボア&ストローク79.5X80.6mm
圧縮比9.4
ミッション4速
乾燥重量228kg
軸間距離1,605mm

Shadow VLX (輸出)

 新たに北米向けとして設定された600ccモデルだが、クルーザー志向を目指していたそれ迄のShadowシリーズとは異なり、クランクは位相クランクから「同軸クランク」とされ、心地良い振動を醸し出す特性が与えられた。ミッションもワイドレンジの4速となり、トルクフィーリングを前面に押し出した設定。

排気量583cc
ボア&ストローク75.0X66.0mm
圧縮比9.2
ミッション4速
乾燥重量196kg
全長2,310mm
全幅760mm
全高1,130mm
軸間距離1,600mm

スティード600

 Shadow VLXの国内版。同軸クランクにより、位相クランクでは難しかったパルス感に富む走りが実現可能となった。諸元は輸出仕様とほぼ同一。

STEED 600
型式PC21
排気量583cc
ボア&ストローク75.0X66.0mm
最高出力36ps/6,500rpm
最大トルク4.5kg-m/3,000rpm
圧縮比9.2
ミッション4速
乾燥重量196kg
全長2,310mm
全幅760mm
全高1,130mm
軸間距離1,600mm





スティード400

 以後国内向けアメリカンとしてロングセラーを続けるモデル。位相クランクではなかなか味が出せず、試しに同軸クランクにしたら上手くいったらしい。事実上NV400Cの後継となった。

STEED 400
型式NC26
排気量398cc
ボア&ストローク64.0X62.0mm
最高出力30ps/7,500rpm
最大トルク3.3kg-m/5,500rpm
圧縮比10.0
ミッション5速
乾燥重量196kg
全長2,310mm
全幅760mm
全高1,130mm
軸間距離1,600mm






1990年

PACIFIC COAST
 自動車並の快適さを目指し、クルージング向けに特化されたモデル。エンジンはShadow800をベースとするが、位相クランクが搭載されラバーマウントされるなど、徹底的に振動を殺している。大容量の荷物スペースも特徴。その甲斐あってか、かなり重そう。

Pacific Coast
型式RC34
排気量800cc
ボア&ストローク79.5X80.6mm
最高出力56ps/6,500rpm
最大トルク6.7kg-m/5,500rpm
圧縮比9.0
ミッション5速
乾燥重量265kg
全長2,285mm
全幅910mm
全高1,360mm
軸間距離1,550mm





アフリカツイン (Africa Twin)
 排気量が100cc増え、エンジンも45度狭角Vツインに変更される。このエンジン初めてのチェーン駆動モデル。

Africa Twin
型式RD04
排気量742cc
ボア&ストローク81.0X72.0mm
最高出力57ps/7,500rpm
最大トルク6.1kg-m/5,500rpm
圧縮比9.0
ミッション5速
乾燥重量186kg
全長2,230mm
全幅895mm
全高1,420mm
軸間距離1,560mm






1991年

トランザルプ400V
 トランザルプの400ccモデル、トランザルプ400V(XV400VN)が登場。94年にはセンターカウルとヘッドランプの形状変更(ドミネーターと一緒になった)と、FRブレーキキャリパー/マスターの変更等が行われてXL400VRとなる。

トランザルプ400V
型式ND06
排気量398cc
ボア&ストローク64.0X62.0mm
最高出力37ps/8,500rpm
最大トルク3.5kg-m/6,500rpm
圧縮比10.0
ミッション5速
乾燥重量183kg
全長2,265mm
全幅875mm
全高1,310mm
軸間距離1,510mm
資料提供 ダブリン市民様






1994年

Shadow ACE 1100 (VT1100C2)
 ACEは「アメリカン・クラッシック・エディション」の略。クランクを同軸に改められ、出力特性は大胆な低回転型に。スタイルも、それまでのチョッパースタイルから一新される。同シリーズとして、風防・サイドトランクを備えたTOURER('97)や、Spirit('97), Sabre('00), AERO('00)等いくつかのバージョンが後に登場。現地法人のHONDA Of Americaで製造される輸入車。

Shadow ACE 1100
型式SC32
排気量1099cc
ボア&ストローク87.5.0X91.4mm
最高出力48ps/4,500rpm
最大トルク8.7kg-m/2,500rpm
圧縮比8.0
ミッション5速
乾燥重量261kg
全長2,445mm
全幅965mm
全高1,160mm
軸間距離1,650mm






1995年

VRXロードスター
 スティードをベースに、やや高回転寄りに振ったエンジンを搭載。位置付けとしては、ヤマハのSRなどの層を狙ったのだろうか。クラッシック感漂うロードスポーツモデル。

VRXロードスター
型式NC33
排気量398cc
ボア&ストローク64.0X62.0mm
最高出力33ps/7,500rpm
最大トルク3.5kg-m/6,000rpm
圧縮比9.8
ミッション5速
装備重量205kg
全長2,235mm
全幅760mm
全高1,105mm
軸間距離1,510mm






1997年

Shadow ACE 750
 Shadow1100と同様の、クラッシックな雰囲気を醸し出すスタイルを持つ。それ迄の45度750ccエンジンとは異なり、Steed600のエンジンをベースに排気量を増やした52度狭角Vツインが搭載された。

Shadow ACE 750
型式RC44
排気量745cc
ボア&ストローク79.0X76.0mm
最高出力45ps/5,500rpm
最大トルク6.7kg-m/3,000rpm
圧縮比9.0
ミッション5速
乾燥重量228kg
全長2,245mm
全幅945mm
全高1,105mm
軸間距離1,615mm

Shadow400
 スティードをベースに、Shadow ACE 1100の様なロー&ロングを基調とする400ccモデル。1997年前後から、国内でもアメリカン商戦に魅力的なモデルが各社から投入され、Shadowもその対抗馬として人気を集める。重量感溢れる外観を裏切らず、実際400ccとしてはかなり重そう。

Shadow400
型式NC34
排気量398cc
ボア&ストローク64.0X62.0mm
最高出力33ps/7,500rpm
最大トルク3.5kg-m/5,500rpm
圧縮比9.8
ミッション5速
乾燥重量225kg
全長2,245mm
全幅945mm
全高1,105mm
軸間距離1,625mm


1998年

NT650V Deauville (輸出)
 NTV650をベースとし、より快適なロングツアラーとしての性格を追求したモデル。NTVにカウリングを施し、荷物収納トランクも装備してタンデムツーリングも楽々そう。

NT650V Deauville
排気量750cc
ボア&ストローク79.0X66.0mm
最高出力37ps/?,???rpm
56ps/8,000rpm
最大トルク5.5kg-m/6,250rpm
圧縮比9.2
ミッション5速
装備重量223kg
全長2,245mm
全幅810mm
全高1,260mm
軸間距離1,475mm


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