BROSとは


序章 BROS誕生

 BROS(ブロス)とは、1988年にホンダから発売されたバイクの名称です。650ccのProduct-ONE(以下P-ONE)、400ccのProduct-TWO(以下P-TWO)の2種類の排気量があります。

 BROSは80年代のレプリカブーム後半に開発されました。当時、町中を走るバイクはどれもレーサーレプリカだった(らしい)こともあり、ホンダの開発陣はレプリカとの差別化を目指し、レプリカに飽きた?ユーザー層をターゲットにして開発されたようです。
 従って、アルミツインチューブフレーム、プロアームなどの装備で走行面での充実を図り、低中回転トルク型のエンジンを搭載して、レプリカに搭載されるピーキーなエンジンとの差別化を図りました。

 「G感 ブロス」のキャッチコピーがバイク雑誌の巻頭を飾り、新しいバイクの方向性を指した.......かに見えましたが、400ccのBROSはそこそこ売れたものの、結果としてコケてしまいました。不人気車への仲間入りです。

目次

第1章BROSと当時の国産ネイキッド第2章BROSの特徴
第3章現代でのBROSの位置づけ第4章BROSの先祖 NVシリーズ

第1章 BROSと当時の国産ネイキッド

 まずBROSが誕生する前の状況を見てみましょう。80年代半ばの当時、400ccネイキッドはCBX , XJ, GPz-Fなどの空冷世代が一段落し、レプリカは水冷化により一層の高性能化が進められていました。
 そんな中、ネイキッドといえばレプリカのカウリングをそのまま外したもの(VFR400Z, VFR400K(^^;, FZ400N, FX400Rなど)であり、レプリカのおまけ的印象を拭えませんでした。悲しい事に、これらは現在全て不人気となっています。

 そしてレプリカブームが一息つきはじめた頃、各社は新しいネイキッドの開発に乗り出します。レプリカブームによって生み出された数々の新技術によって、従来の鋼管ダブルクレードルフレームの空冷4気筒といったイメージのネイキッドは時代遅れの感がありました。ホンダ,ヤマハ,スズキの3社は88年前後に その後の主流となるべく、新しいネイキッドを発表しました。
ホンダ88年BROSヤマハ85年SRX
89年CB-186年SDR
VT250 SPADA
スズキ89年バンディット
COBRA
WOLF
 結論から言うと、現在成功したと言えるのはバンディットくらいですか。もちろんSRXやSPADAなども適当に売れたのですが、SRXは単気筒なので趣味性が一層強くなり、SPADAは扱いやすいバイクだったのですが、女性に人気だったため「女の子バイク」の愛称を戴く始末。BROSもそこそこ売れたものの、人々は結局並列4気筒のバイクを選ぶのでした。
そんな中
1社、この新ネイキッド開発ブームを静観していたメーカーがありました。カワサキです。カワサキは他の3社とは違い、旧来の鋼管ダブルクレードルフレームに空冷4気筒エンジンという、「いかにもオートバイらしい」バイクを投入してきました。そう、ゼファーです。

 このバイク、89年に発売され400ccネイキッド市場で勝利を収めました。タンクに隠れたフレーム、ツインリアショック、空冷GPz400Fの8バルブエンジンをデチューンしてあったものの、「オートバイらしさ」と乗り易さ、往年の名車Zシリーズのイメージが、ビギナーやレプリカに疲れたユーザー層に人気を集めました。

 それを見たホンダ。こりゃいかんということで、92年にCB400スーパーフォアを発売。これも堅実な造りでヒットし、93年にはヤマハがXJR400、94年にスズキがGSX400インパルスを発売して、80年代後期に開発されたネイキッド達は、スズキのバンディットを除きほぼとどめを刺されてしまいました。

 そして93年、
BROS絶版.....グフッ

第2章 BROSの特徴

 80年代後期に開発されたBROS。同世代のネイキッドのように、様々な特徴あるメカニズムが投入されています。

1.エンジン
 BROSの先祖、NV400の水冷狭角52度Vツインがベース。振動防止のため位相クランクを持ち、吸気2本,排気1本のOHC3バルブ、ツインプラグなど、NVのエンジン構造を継承しているが、ボア&ストロークが違う。またシリンダーの飾りフィンが大幅に減少している。

エンジン詳細

2.フレーム
 VFR400Rにも採用されている5角断面アルミツインチューブフレームで走りそうな雰囲気をかもし出す。

フレーム詳細

3.スイングアーム
 elfが開発し、ホンダのおなじみとなったプロアームを装備。しかし、これが他のプロアーム装備車のものと同じかというと........。

スイングアーム詳細

4.ホイール
 竜巻をイメージした「トルネードホイール」なるものを装備する。形状は初期型と2型で異なっている。

ホイール詳細


第3章 現代でのBROSの位置づけ

 「あぁ、ブロスに乗ってるんですか。渋いですね。」
 大抵のバイク乗りは、BROSをこう評価する。9割方の人がこのパターン。
 しかし、それ以外の言葉はあまり耳にしない。BROSは世間一般では「Out of 眼中」なのである。
 他の4気筒ネイキッドに比べて、馬力が22馬力も低いこと(P-TWO,規制前)、Vツインというマニアックなエンジンレイアウトであること、そのフォルムに好みが大きく影響すること、アフターパーツがあまり無いことなどにより、キワモノ扱いであることを残念ながら認識せざるをえない。

 そんな中、BROSを愛車とする人々はこれらの要素を逆に気に入っている場合が多い。もしくは、その走りそうな雰囲気に引かれて購入する人、マイナー指向の人、不人気車ならではのお買い得感に引かれて購入する人などの傾向が見られる。

 バイク便においても社有車はあまり存在しないが、使用しているライダーが見られる。また、ツインレース、ジムカーナ競技においても、650ccのP-ONEが活躍しているようである。走行時に他のBROSとすれ違うのは希である(月平均1,2回か)。

第4章 BROSの先祖 NVシリーズ

 BROSの「水冷狭角52度Vツイン」というエンジンは、もとは1983年に発売されたNV400シリーズというバイクに搭載されたものがベースになっています。NVシリーズには、NV400SPとNV400Customの2種類のバイクがラインナップされていました。

 このNVシリーズのエンジン、OHC3バルブ,位相クランク,2プラグなど、一見BROSのエンジンと同一に見えるのですが、ボア&ストロークが異なっています。BROSは64×62mmのほぼスクウェアなのに対し、NV400は71.4×50.4mmのショートストローク型なのです。よって出力特性も異なり、BROSの37ps(8,500rpm),3.5kg-m(6,500rpm)に対して、NV400SPは44ps(9,500rpm),3.5kg-m(8,000rpm),NV400Customは43ps(9,500rpm),3.5kg-m(7,500rpm)と、やや高回転型なのが特徴です。

 NV400SPは、18Lの大容量タンクを装備しているように、ツアラー的位置づけでした。また、当時流行していたホンダ特製のインボードディスクを装備していました。
 NV400Customは、エンジンに空冷風のフィンを追加し、NV400SPよりもやや低回転型としたエンジンを搭載していました。リアシリンダーからのエキパイの取り回し、集合位置などがBROSのそれと似ています。

 私がNVシリーズについて知っている事はこれだけです。でも1つ思うのは、「馬力あるなぁ」ってことですね。車重は13kgばかりNV400SPの方が重いのですが、37psのBROSとしては44psのNV400SPはちょっとうらやましいです。いや、別にいいんですけどね。

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