スーパーカブ 110 インプレ
ここでは作者自身がスーパーカブ110(2009年式)に乗ってて勝手に思った事をインプレとして掲載するものです。あくまで作者自身の感性によるので、あなたがカブ110を走らせてもこうなるとは限りません。御注意を。
エンジン 車体回り 操作・電装系
第一印象 




カタログでは、プラスチック部分の色味がやや気になったが、現車を前にすると杞憂に終わる。プラスチック部品が多用されたとよく言われるが、私自身はもし元々のプレスフレームを継承していたら、少し購入意欲が下がっていたかもしれない。
取り回し 




車体の押し引きをすれば、それなりの重さを感じられ、50ccのスクーターの様に......とはいかない。だが、重心が低くハンドル位置が適正な事と、リアキャリアを掴めるので取り回しは簡単。いくら軽量とは言えモンキーはハンドル位置が低すぎるので、すぐに腰に負担がかかるもの。取り回しの容易さは、車重の大小だけではない。
足つき 




身長173cmの私の場合、両足かかとベッタリで少々膝が曲がる程度。シート高は決して高い訳でも無く、低すぎるという事でも無い。標準的な高さ。
始動性 




PGM-FIのおかげで非常に良好。キックの始動性も同じく。
エンジン
低回転域 




大変粘り強く、パルス感も伴うので楽しめる。3速なら20km/hから、4速なら35km/hからアクセルを開けられる。アクセルワイヤーの弛みをキャンセルし、そこから僅か1mm開けただけの味付けが絶妙。振動とメカノイズも少なく、歯切れの良い排気音が印象的。この領域を使って、3速でのんびり流すのもホンダ横型エンジンの真骨頂であり、それはカブ110でも健在。
中回転域 




おおよそ3000rpmから6000rpmの領域であり、定速巡航やコーナリング、ゼロ発進加速となんでも使うカブ110のパワーバンド領域。徐々に排気音は連続してくるが、車体を伝わってくる心地よいパルス感は健在。しかし、振動は相変わらず少ないから不思議である。トルクの出方はフラットであり、派手なパワーの盛り上がりこそ無いが、しっかりとしたトラクションを得られる。
さすがインジェクションと言うべきか、無理なアクセル急開には適当にしか反応しない。無理な事は無理と言っているようではあるが、パーシャル域からの微開などのレスポンスと味付けは絶品。アクセルを戻せば、適度なエンジンブレーキが掛かるのも大変便利。
高回転域 




まだ慣らし中なので断片的ではあるが、これまでの印象を。
このバイクの主眼は当然中速域であると思うので、高回転域はあくまでおまけと考えるべきであろうか。何も考えないでアクセルを全開にしても、4速ではそうそう上の領域までは回らない。3速に至るまでの繋ぎと、上手なスピードの乗せ方があってメーターの終盤までスピードが乗ってくる。
パワーの出方も相変わらずフラットで、頂点までの歩み方は一定のリズムを保っている。感心したのは相変わらずの振動の少なさで、これまでの領域と然程変わらない量であり、バックミラーの視界も良好なのは大した物である。フラットなパワーとは言え、高回転域での排気音はこれまでと豹変する。だが、苦しそうな雰囲気は微塵も感じさせず、大げさに言えば、聞こえてくる排気音はシングルのスーパースポーツのそれであり、おまけの領域とは言えども十分に楽しませてくれる。
エンジンフィーリング全体 




ひとしきり乗ってから振り返ると、ボア50.0mm&ストローク55.6mmという数値をはっきりと実感した印象を持っている事がわかる。このカブ110と似たフィーリングのエンジンが記憶にあると考えていたら、それはカワサキのW650であった。試乗会での印象だが、フラットなトルクと振動の特性が実用車みたいだな......とその時感じている。カブ110のエンジンもそれと同じで、派手さは無いがトラクションがしっかりと掛かり、無理なアクセルワークには「ハイハイ」とトボけ、緻密な要求にはしっかりと応える、インジェクションならではの楽しみがそこにある。
ギヤレシオ 




全部で4速のギヤがあるが、その間隔は均等なもの。4速はオーバードライブと言えるかもしれないが、3速からのチェンジで「オーバードライブ!!」と意識するほどエンジンの回転が下がる訳ではない。
1速は、のんびりと発進加速するなら不要かもしれないが、鋭いゼロ発進が必要な時はしっかりと役目を果たす。カブなので半クラッチも可能だが、ゼロ発進で小細工するよりさっさと回転を上げてギヤを繋ぐ方が速いかもしれない。
2速は交差点の左折時に多用し、3速はのんびり40km/h程度で流したり、渋滞のスリ抜けに便利。両ギヤとも高回転域まで使い、4速に繋ぐ事で息の長い加速とスピードを得られる。
燃費 




初回の燃費は55.6km/L。これは慣らし運転に徹していた訳では無く、街中の頻繁なゴー&ストップや我慢できなかった全開加速、ワインディングや60km付近での巡航など様々なシーンを含んでいる。様々なエンジンの表情を堪能してこの数値なので、驚かずにはいられないのが正直な所。
車体回り
フレーム 




ヘッドパイプからピポットへかけてのこれまで構成は、メイト=プレスのモナカ合わせ、カブ=丸パイプ。メイトは縦方向の断面積が大きく、様々な場面で不安要素の無いすぐれ物だったが、カブ110のそれはメイトに近い構成のもの。縦方向の剛性には長けているとみられ、テレスコピック式となったフロントフォークと併せて、ブレーキング時などには不安を感じさせない。
サスペンション 




大きな変革となった、ボトムリンク式からテレスコピック式へ変更されたフロントフォーク。そのストロークはソフトかと思いきや、過度な動きをしている様子は感じさせず、むしろストロークはあまりしない。それが欠点かと言えば全くそうでは無く、ブレーキング時に過度な車体姿勢の変化をよく抑えている。ダンパーもよく働き、コーナリング中やブレーキング中の安心感はテレスコピック式ならではの物を感じさせられる。お陰で、これまでの物と抜本的に何ら構造が変わっていない筈なのに、ブレーキとタイヤの性能が上がったかのような印象さえ受ける
リヤサスペンションは、今回のフロント変革の影に隠れた従来の構成に見えるが、しっかりとフロントの黒子に徹している。元々2人乗りのニーズも考慮されているのだろうか、1人乗りで高荷重を与える場面でもまだ不満は感じられない。
ブレーキ 




フロント・リヤ共に130mm径のリーディングドラムブレーキ。130mm径はビジネス向けとしては高スペックな部類だが、カブ110の性能とコストを考えれば妥当な点か。一般的なボトムリンクのフロントドラムは不安と言う人もいるが、大事な事は前後それぞれのブレーキを作動させるタイミングと、車体のホールドにある.......というのがこれまでのボトムリンク式フロントサスにおける建前だったが、テレスコピック式フロントサスの安定感は、前後ドラムの持てる力をこれまで以上に発揮できる。
ここまで来ると、私はこのカブ110にディスクブレーキの必要性は感じない。転倒時のディスク変形、システムが開放環境下にあるが故のメンテナンス頻度、コストを考えるとドラムブレーキの選択は必然であると思える。過度に変わらない事が大事なユーザー層が存在する事も、開発にあたって考慮されているかもしれない。
シート 




メイトのシートは厚いだけでホールド感に乏しいが、後年のメイトV50に装備されたワイラックスシートは振動吸収性が抜群に良く、ホールド感も良好。それに比べてカブ110のシートは、メイトのワイラックスシートを真似たのではないか? と思える程好印象だったのは嬉しい誤算であった。むしろ、これが現代の基準となっているのだろうか。とは言え、個人的にはメイトのシートまではあと一歩足りないので、取り付けが合えば換装も試みたい。
積載性 




リヤキャリアには乗れば何でも積める。フロントキャリアと篭をつければ、信号停車時にも物の出し入れが至極簡単。ビッグリヤキャリアをつければやりたい放題。しかし、車体本体には車載工具と書類しか収納できない。
操作,電装系
ハンドリング 




横型エンジンと17インチホイールの安定性は抜群で、メイトもカブも変わらない不変の要素。14インチの採用例もあるが、軽快なUターンから路面の良くない高速コーナーまでバランスのとれた守備範囲、そして私の使い方には17インチに分があると思う。トラクションの掛けやすいエンジン、改良されたフロント回りと相成って、様々な場面で回頭性と安定性に優れている。
ポジション 




至って自然な直立の姿勢。手を伸ばせばハンドルがあり、自然と基本に忠実な姿勢を強いられる。伏せる事は自由だが仰け反る事は絶対にできない。腹筋を使ったやや猫背位が、車体のコントロールにも自分の体にも丁度良い。エンジンの幅がやや増えたので、ステップに乗せた両足の間隔はやや広くなった。
メーター,スイッチ 




燃料計、ウインカーインジゲーターと、以前一時のビジネスバイクからすれば十分な装備のメーター。トリップメーターがあれば確かに便利だが、そこまで望もうとは思わない。左側に移ったプッシュキャンセラー式のウインカースイッチは、操作性に不満も無く、慣れが違和感を日常にしてくれる。
ライト類 




ライトはマルチリフレクター式となった。国産の2輪に導入されてかれこれ10数年、そろそろ枯れた技術になりつつある。バルブ光量は35/30Wと現在では普遍的な数値。照射範囲はスポット的では無く、広い面をカバーする感じではあるが、それ故にもう少し光量があると夜間の峠道で安心できる。
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