「ん?オッサン。後ろの髪、変だぜ。」
ロビンに言われて、ダイソンは手を後ろにやった。彼は金髪の角刈りで、申し訳ない程度に伸びているのその後ろ髪は、いつも黒い紐で結わえられている。だが、どうやら上手く結えなかったようで、紐で結わえられていないもう一つの髪の房が、指先に当たった。
「ああ、確かに。」
そして、ダイソンは紐を解いて結い直そうとすると、ロビンがこちらをじっと見ているのに気付いた。
こちらを見ている恋人の瞳は、あたかも何かを期待して訴えている子供のよう。口こそ動いていないものの、その若葉色の瞳は言葉よりも強くねだっていた。年齢不相応にもかかわらず、彼がすると違和感がまるでない。
そのあどけない仕草の恋人に、ダイソンは素直に負けを認め、
「……お主、やってくれぬか?」
黒い紐を手渡すと、近くの椅子に腰掛けた。
「ったく、自分で出来るだろーに。」
ロビンは憎まれ口を叩くものの、その顔は「待ってました!」と言わんばかりに大きく華やぐ。
思わずダイソンが見惚れると、恋人の影は後ろへと回ってしまった。少々残念に感じていると、後ろ髪を持たれているのに気付いた。
「邪魔じゃねえか? こう、中途半端に伸びていたらさ。」
しかし、ロビンは「切れ」とは言わない。この後ろ髪を彼は結構気に入っており、何よりこうして自分が結えるのだから。例えダイソンが切ろうと思っても、ロビンが許さないだろう。
「すぐ終わるからな。」
ロビンは口に黒い紐を唇で銜えると、その短い髪をゆっくりと丁寧に梳いて一つに纏める。梳かれる感覚が心地よいのか、ダイソンは目を閉じる。
キレイに一つに纏めて、ロビンは片手でその房を押さえると銜えていた紐を取り、房の根元に何回か巻きつける。そして、蝶々結びでキュッと縛って、仕上げに結び目の形を整えて、
「ホラ、出来たぜ。」
ロビンはポンッとダイソンの両肩を叩いた。
ここで漸くダイソンは目を開けて、手を後ろへやった。確かに、房はキチンと結わえられている。
「すまぬな。」
礼を述べるダイソン。
すると、ロビンはダイソンの逞しい背中にピットリと抱き着いて、その顎を肩に乗せた。ダイソンが首をそちらへ捻ると、ロビンは何やらイタズラが成功した子供のような笑みを浮かべている。
「礼は実行の方が嬉しいんだけどさ。」
目を細め、首に抱きついてねだるロビン。
「…………」
言ってきくような相手ではない。
まして、こうも無邪気な笑顔を見てしまっては、尚更で。
結局、やはりとも言うべきか、ダイソンはご褒美を催促する子供のようなロビンに負け、その唇にちゅっと軽く啄むようなキスをした。
すると、ロビンの頬はほんのり紅く染まる。そして、彼は嬉しそうに満面の笑みを浮かべると、
「毎度あり。」
お返しなのか、ダイソンの頬にキスをした。
―fin―
ラブラブなダイソン×ロビン小説ありがとうこざいます(*^∇^*)
ダイソンは大柄で朴訥な傭兵ですが、誠実の固まりみたいな人で
包容力がたっぷりですv安心してロビンをヨメにやれます(照)
『ダイソンは大人なので、情緒豊かなロビンをしっかりと受け止めてくれる。 ちょっとやそっとのワガママや癇癪は寛大に対応。何より、ロビンの笑顔や仕草で折れてしまう。よって、ロビンは安心して素直にダイソンに甘えることができる。後は永遠にこの繰り返し。時折、互いが互いの不安を口にする程度で。激しくはない恋愛であっても、穏やかで満ち足りたものだろうなと。』とRaiさんは語っておられますv
思いっきり甘えてくれるロビンはめちゃ可愛いです〜(≧∇≦)///
ロビンもとっても包容力がありますからね、すごく幸せな二人ですv