ロビン総受け&ボリス×ロビン


小説 宵宮 紫陽様


バトラリズム!!








「いーやーっ!! 私と遊ぶのー!!」
「僕とだもん! 僕と遊ぶんだもんー!!」
「・・・好きにしてくれ・・・・・・」

元気な声が二つと、8割諦めている様な声が一つ。

「何やってんだ? あの双子」
「ロビン様を取り合ってるんですわ」

それを遠くから見ているムサシとユキ。

「・・・・・・。・・・、・・・・・・」

いつもの席で無言の葛藤を繰り広げているのはボリス。

今、傭兵所の中では、妙な三すくみ状態が出来上がっていた。


†††††

事の発端は、ミルトとクルトが同時にロビンに自分と遊んでほしいと言い出したことに遡る。

双子なだけに何をするにもシンクロして、それが周囲に仲の良さを思わせている2人だが、今回のようにそれが時として面倒なことに発展することもある。

いつもは相手がいるから遊び相手に不自由はしない。
だが時には違う人と遊びたいと思うらしい。

その「違う人」とは今回ロビンで、別行動をとりたいと思った時期がシンクロして、おまけに遊び相手まで重なって、
どっちが先に彼に遊んで貰うかをお互い自分だと主張して譲らないのだ。

それがあっさり決まれば周囲にはほのぼのした光景に映っただろう。
しかし、2人とも自分が先に声をかけたのだから、最初は私、僕だといって引き下がらないのである。

そうして言い合ううち、それは主張ではなくなり、わがままの応酬になり、単なる取り合いにまでなってしまったのだ。


ロビンはロビンでどっちとも公平に遊んでやりたいのだが、こうも双子が子供じみた喧嘩をしていると、口を挟むに挟めない。

最初のうちはなんとか宥めようと奮闘したが、それも空しく力尽きた。
あーだこーだと言い合う2人に理屈が通じる筈もなく、もうどうにでもなりやがれ状態である。


途中からだがそれを見ていた忍者2人は、飽くまで傍観を決め込むつもりらしく、安全距離を保って事の成り行きを見物している。
止める気など毛頭ないらしい。


それを知っているボリスは、果たしてこのまま放っておくのが吉なのか、それとも自分の気持ちに素直に行動すべきなのか、
自問自答・・・否、自悶自闘しているのである。

子供の喧嘩に口を挟んでいいものかと思う反面、ロビンを独り占めしていたいのも事実。
愛しい人が人気者なのは嬉しいが、あまり面白くはない。つまりやきもちを焼いているのである。

煽るように双子が「僕の!」「私の!」と言い合うのもだから余計に、だ。


・・・かくしてロビンを取り合う双子。それを傍観する忍者2人。どう動くべきか決めかねているボリスという、
あまり素敵ではない状態になったのである。




「ボリスの奴、どう動くと思う?」

頭の後ろで手を組み、面白いことになってきたとムサシ。
「そうですね・・・。お2人が早く決めないと、最悪、このまま現状維持になりますわ。行動を起こすなら、今が最適かと」

ムサシをたしなめるような笑顔をうかべつつ、やはり楽しんでいることは隠せないユキ。
尚も続く言いあいに参加も仲裁も不可能だとわかっているからこその笑みだろう。



動くべきか。動かざるべきか。それが問題だ。

ボリスの頭の中にはそんな言葉がぐるぐる回っていた。

生真面目に悩みすぎて、彼の思考はショート寸前。終わらない喧嘩と同様に思考にも出口が見つからない。

動くべきか、動かざるべきか。するべきか、せざるべきか、動くべきか――・・・・・・・・・

そして、何かが彼の中で吹っ切れた。



すくっとボリスは立ち上がり、双子の方へ歩き出した。

それに気付いたムサシたちが興味深そうにボリスを見つめる。
そして辿り着いて、真っ先に彼が起こした行動は・・・・・・

「うわっ!」
「きゃあっ」
「あーっ」

お姫様抱っこだった。
そして一言。絶対零度の笑みを添えて。

「僕のだから。」

しん・・・と。時が凍りついたように静かになった。
双子も。忍者2人も。そしてロビンも。関係者全員がボリスを言葉も無く凝視した。
そのまま出口に向かって歩き出したボリスの、逆らいがたい重圧を解いたのは、ロビンが最初だった。

「・・・ぼ・・・っ、『僕のだから。』って何だ!! 俺は物じゃねえ!!」
「今決めた。僕が決めた」
「さくっと言うな!! 降ろせ馬鹿!!」
「却下。」
「ふざけんなー!!」
「きみが悪い」
「悪くねえ!! 降ろせよ馬鹿! 阿呆! 降ーろーせー・・・っ!!」

遠ざかっていく声を聞きながら、誰一人として止められなかったのは、言うまでも無い。
呆れたのではない。あっけに取られていたからだった。









END.









お姫さまだっこ〜vボリロビベースのロビン総受け小説
ありがとうございます(≧∇≦)
ロビンはやはり皆に愛されるの似合います〜//
そこに普段は寡黙なボリスが独占欲丸出しなのがまた萌えでv
紫陽さん曰く
『実は双子とムサシたちが裏で組んでいたという裏設定があったりなかったり(どっち』
ああ…良い傭兵所です〜(照)