修羅場で煮詰まってしまった高耶さんのメール

もうダメだι助けてくれっ
堪えられないんだ、おまえがいない生活なんて!!
一人で山(自宅)に篭って・・もう何日過ぎただろう…
おまえを忘れようと仕事(原稿)に打ち込んできたオレだが、
忘れようとすればするほどおまえの顔が、手が・・
耳元に響くあの声が蘇ってきて、オレを狂わせる。
会いたい・・なおえ・・妄想だけじゃもう足りねーんだよォ(泣)
おまえが欲しい…熱いおまえが…




ちっとも励ましにならない直江のメール

仰木高耶様


高耶さん…修羅場…苦しんでいるんですね…。
あなたがオレを避けるように山に隠ってしまってから、まだほんの少ししか
時は経っていないと言うのに…まるで永久の飢渇に処刑されたタンタルス
のように、オレの心はあなたに飢え過ぎて、
もうどうにかなってしまいそうです。

けれど…あなたはとても強いヒトなんですよ…
オレが側にいなくても、あなたはやり遂げる力のある人だから…
けれど本当に辛くてどうしようもなくなった時は、
あなた自身の誓いを破ることになっても、意地なんかはらないで
どうかオレを頼ってほしい…

けれど、あなたの顔を見てしまったら、自分の押さえが効かなくなって
仕事の邪魔をしてしまいそうなのも本当ではあるんですが…

そうですね、今は何か気晴らしになるようなお話しをしてあげましょう。

高耶さんはずっと仕事で机にむかっているのでしょうから、
ちょっと背筋を伸ばして、窓の外を見てみて下さい。
冬の星座が夜空に輝いて、その中にはあなたの星もひときわ美しく
鮮烈な光を放っているでしょう。

その星の隣に目立たない小さな星があるのが見えますか?
…そこはオレの星なんですよ。
自分の力で光を放つ事のもできない小さな天体なのですが、
あなたの輝きを受けているお陰で、その星もまた光ることができるんです。

その小さな惑星は、荒涼とした沙漠に覆われた、枯れ果てた世界でした。
…そう、あなたと言う名の純白の薔薇がその星に咲き誇るまでは…

沙漠に根を下ろしたその薔薇は、可愛い顔とすんなりとした肢体、そして
印象的な瞳を持った青年でした。
穢れを知らない白いシャツを身にまとって、たいそう魅惑的な声で
オレにたくさんの注文を出してくれました。

オレはあなたの求めるまま、風避けのガラスの塔を建て、あなたを支える
ガラスの支柱を仕上げました。
あなたの純粋さに相応しい清涼とした泉を涌かせ、ただあなたの
笑顔が見たいばかりに尽くし続けたのです。

けれどあなたは望みがかなって嬉しそうにしても…しばらくするとまた
挑むような目をして、オレに無理な我が侭を言ってくるんです。
そしてあなたが望んだものが…

あの青い星

その星を手に入れるまで、帰ってくるなとオレに言うんです。

あんなに遠くにある星なのに。旅立ってしまったのなら、もう二度と
あなたの柔らかい声を聞くことも、拗ねたような可愛い表情も、
思わず触れたくてたまらなくなる滑らかな肌も見ることができなく
なってしまうかもしれないのに…

そんな事、オレにはどうしても堪えられなかった。

「何故そんなにオレを遠ざけようとするんです!」
オレが思わず声を荒げてしまうと、あなたは怯えたように睨んでくる。

「あんな星、本当は欲しくなんか無いんでしょう?…そんなにオレが
側にいるのが嫌なんですか…」
「……ち…がう…」
「なら、どうかもっと別のものを望んでください。あなたの願いを叶えるのは
オレも嬉しいですが、…あなたと離れなければならないのは堪えられない」
訴えは切実だった。

「…欲しいものなんか…ない…………オレが…欲しいのは」
あなたの瞳から、睫を揺らして、涙がこぼれおちる。

「!っ…直江?!」
その涙を見てしまったとたん、オレの中の何かが弾けてしまったのを感じた。
今まで壊れ物のように大切に扱ってきた高耶さんの身体を組み伏せる。
白い花弁を思わせる仕立ての良いシャツを引き裂いた。

「いっ…いやっだ!直江っ…!」
千切れたシャツで抵抗する高耶さんの腕を、頭の上で硝子の支柱に縛りつける。
力ずくで衣服をすべて取り払って、足首を掴むと、恥ずかしい部分まで
さらけださせるように、足を開かせた。
「直…江……っ…」
あなたは泣きながら、今まで従順だった男の暴力を理解できずにとまどっている
ようだった。

「本当はこうして欲しかったんでしょう?」
「ちが…っ!」
「オレに縛り付けられて、犯して欲しかったんでしょう?最初は辛いかもしれ
ないけど、大丈夫。時間をかけて、たっぷりとよがらせてあげますよ」
「なお…っ…!」
「オレが手放せなくなるくらい、あなたの身体に気持ち良いことをたくさん
教え込んであげる。他のモノを望むのが馬鹿馬鹿しくなるくらい、あなたが
オレだけを望んでくれるようになるまで」
「あっ…あっア」
「あなたの感じやすいところは、何処も綺麗な薄い薔薇色をしているんですね」
「……っく」
「指と舌と、どっちが気持ちイイか、右と左で試してみましょう。ああ、
こっちも欲しがっているみたいですね…。安心して、まだ片方の手が空いて
いますから」
「!はぁ…あっア…やっ」

オレは何度かあなたを無理矢理追い上げて果てさせる。
腕を縛られたまま、力なく息をつぐあなたの唇を唇で塞ぎ、濃厚な口付けを
続ける。舌を噛まれるかと思っていたけれど、涙をしゃくりあげながらも
あなたはオレを怯えながら受け入れてくれた。

あなたの隠された薔薇の蕾を濡れた指で慣らしてゆく。
無理をしないように、けれど許されることのない刑の執行のように
逃れられないあなたは、艶かしい吐息をくり返す。

「っアアあ!!」

できるだけあなたの身体を傷めないようにオレは身を沈めていく。
ゆっくりとあなたと繋がる。

あなたの中はとても熱くて、心地よくて…

知らずに流れた涙が、この星の海と変わる。
小さくあなたがオレの名を呼んでくれたから、
とげとげしかった乾いた風に潤いが生まれ、
あなたの涙に口付けると、それは柔らかい雨となって、大地を
豊かな命に満たしてくれた

あなたの望みを変えるためだなんて言って、結局自分の望みを
無理矢理叶えただけ…
あなたが気を失うまで何度も求めて、求めて、ひたすらに
飢えを満たそうとした。



おやすみなさい高耶さん…

次に目が覚めた時、あなたはオレを許してはくださらないでしょう。

あなたがもう一度望むのなら、
オレはあの青い星を取りに旅立ちます

生まれ変わったこの星が
あなたを永遠の愛で包み込んでくれる

だからオレが去れば、もうあなたを傷つける者は誰もいなくなる

おやすみなさい高耶さん
辛かったでしょう…
こんなに泣かせてしまって…

次に目が覚めたとき
あなたの望みは…
あなたは何を…望むんですか?


                 直江信綱

健気に答えてくれる可愛い高耶さんのメール

オレが望むもの…それは…
おまえにはわかっているんだろう?
抗っても決してそれは本心からじゃない。
オレは怖かった。いつかこんなオレに愛想を
つかして、おまえが離れていくのが…
だからそのまえに自分から遠ざけようとしたんだ。
こんなことを言ったらまたおまえに言われそうだな。
「あなたはズルい人だ」って…(苦笑)
でも。
オレが望むものはたった一つ。
おまえ以外は…直江…おまえがいれば何も要らない。
おまえの他にはもう何も望まないから。
だから―――オレから離れていかないでくれ。
オレのたった一つの大切な星はおまえなんだから。

ううう(涙)あまりの高耶さんの高耶さんぶりに感涙です。
なんで直江は話しの途中から暴走しまくっちゃうんでしょうか…
それは直江だから…
高耶さんの純白さが眩しいです!


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