ここはグリーンウッド
光流×忍
小説 御司翠 様

『雪』





寮に戻ってしばらくしても忍は帰って来なかった。
今日は、放課後何もないはずだから、こんなに帰りが遅いなんておかしい。
少し心配になった。
今日はすごく寒い。
コートを持って、光流は211号室を出た。


忍は意外にもすぐ近くにいた。
寮の玄関を出たところで、空を見上げて佇んでいる。
「忍。」
声をかけると、振り向いてふわりと笑顔を見せた。
他の誰にも見せない優しい笑顔。
今日はそれが、なんだかすごく儚く見えて、光流は忍を抱きしめた。
細い肩、冷たい頬、全てが壊れてしまいそうに脆く儚い。

なぜ今日はそう感じるのか。

「光流。」
腕の中で、忍が光流を呼ぶ。
「ん?」
「空。」
言われて空を見上げる。
「…あ。」
雪だ。
ひらひらと白く降り積もる。

…ああ、これか。
キミがこんなにも儚く見える理由。

「これをずっと見てたのか?」
「ああ。」
「どうして?」
「なんとなく。」
そう言って忍は微笑んだ。
忍が“なんとなく”なんて理由で行動するはずがない。
そう思ったところで、真実を聞き出すつもりはないけれど。

でも。
いつか話をしてくれたら。

そんなふうに思ってしまうのは、やっぱり忍が好きだから。
改めてそんなことに気がつく自分に苦笑しながら耳元で囁く。

「好きだ。」

忍がくすりと笑った。

「知ってる。」


部屋に戻ると、光流は温かいココアを二人分いれた。
それを飲みながら、他愛もない話をしてみたり。
時々、ココア味の甘いキスをしてみたり。

雪は静かに降り続ける。
二人を包み込むように…。



                    end







儚い忍先輩をありがとうございます〜(〃∇〃)
忍はいつもふてぶてしい女王様ですけど、本当は愛に臆病で儚い人なんですよね(T▽T)///
そんな忍を温っためてくれるのは光流なのですv
この二人はやっぱり、永遠のカップル…ですvいつまでもいつまでもラブラブでいて欲しいです//
次回はタクミくんシリーズの大橋先生受け小説をお届け(≧∇≦)!

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