休日振替問題・時間外休日労働協定締結をめぐる１２月２８日の経過報告

深谷信夫＠教職員組合執行委員長・水戸事業場過半数代表者

　１２月３１日で期限切れを迎える時間外休日労働協定（いわゆる三六協定[サブロクきょうてい]）の延長をめぐって、１２月２８日に過半数代表者委員会が開催された。
　１２月２０日開催された過半数代表者委員会で、具体的な提案をしてこなかった大学からの提案を期待しての会合であった。
　１２月２８日一日の経過を報告する。

第一幕／１０：００－１２：３０　過半数代表者委員会

　大学は、別途添付した文書(PDF417KB)を、委員会に提出した。
　大学の文書には、大きな問題がいくつもあった。

第一の問題
　休日出勤を休日労働として扱わないという休日振替の濫用がある。大学はこれを認めない。

（休日労働と代休と休日振替の違いについては、添付資料参照・PDF9KB）

　これが今回の問題の出発点。ところが、大学はこの事実を認めようとしない。いつものこと、自分たちがやってきたことに非はないという姿勢。
　これでは、議論が噛み合わない。

　第二の問題
　休日出勤は休日労働として扱うのが原則。代休や休日振替は、その原則の例外。大学は、休日出勤には休日振替が原則と勝手に解釈。

　
　休日出勤は、三六協定締結と休日労働割増賃金支払いで対応しなさい、これが労基法の考え方。
　ところが、大学は、休日労働問題と週法定労働時間問題とを、ゴチャゴチャにしている。添付資料１-１(PDF93KB)にあるように、週法定労働時間の管理の問題と休日労働の問題をゴチャゴチャに混ぜて、休日出勤をしたら、週法定労働時間を守るために休日振替にすることが必要だ、と説明する。
　これは違う。休日に出勤させて仕事をさせるのには、＜休日労働協定締結＞と＜１３５％の休日労働割増賃金の支払い＞とが必要、というのが労基法の考え方。
　３５％の割増賃金の支払いと代休日の付与ですむ代休制度や、割増賃金を支払う必要もなく変わりの休日を付与するだけでいい休日振替制度は、休日労働制度の例外である。
　にもかかわらず、大学は、休日振替制度が原則であるという。

　第三の問題
　休日振替としない場合の判断基準が抽象的すぎること。労働時間管理者の判断に委ねる制度は、制度運用に差別が生じるという問題。

　
　具体的に提案されている内容を見ると、添付資料1－1(PDF93KB)に記載されているように、部局ごとにバラバラの制度運用になることは必至。
　結局、私たちが提案した条件は全く無視。
　私たちの提案（大学へ通告済み）を再度下記に掲載する。

　私たちの提案
　休日振替制度の濫用防止のために、１２月６日に開催さえた過半数代表者委員会で、以下の内容が合意された。１－３月期の時間外休日労働の締結にあたっては、以下の内容が、協定締結の前提であるので検討していただきたい。
　①　休日振替制度の適用原則／休日振替は、以下の条件を満たす場合に、適用される。
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　②　これらすべの条件が満たされない場合は、休日振替制度を適用しないこと、休日労働として扱うこと
　③　大学入試センタ－の前後の週は、業務の繁忙期であるために、休日振替の対象とはしないこと
　④　教員の申し出による学会参加等のための学外勤務のために運用される休日振替の場合は、その振替休日は、学期を単位とする期間中に、教員の申し出によって設定できること

第四の問題
　１８年度大学入試センタ－試験のための休日出勤を、休日振替で処理する問題。

　
　当面の重要事項は、大学入試センタ－試験の出勤問題。
　私たちは、前後の週に休日を割り振ることは無理だから、代休処理をしてほしいと要請。
　大学は、添付資料のような一般論を述べるだけで、その判断は現場に任せるというのみであった。
　大学は矛盾している。
　１－３月期は、仕事が大変だから、三六協定の特別条項を利用して、時間外労働の限度時間を延長することを通告してきている。時間外労働をしなければならない。しかも、通常以上に延長しなければならない。一方で、こういっていて、休日振替問題となると前後の週に休めという。
　休めるほどに余裕があるならば、時間外労働の延長などしなければいい。

　第五の問題
　大学入試センタ－試験出勤の休日労働割増賃金の支払いは財政的な負担である、というが、その金額を支払えないという理由は説明しない問題。

　
　大学は、添付資料で、休日労働の場合、代休の場合、休日振替の場合、それぞれの支給金額についての対比表(PDF112KB)を提出した。しかし、なぜそれを支払うことができないのかという説明はされない。
　一七年度予算の決定のとき、教員人件費にはすでに不補充が決定している教員人件費についても人件費として計上しているということが判明していた。
　であるならば、人件費枠には余裕があるはずである。なぜ支給できないのかを説明すべきである。しかし、説明しない。

　こうした問題を指摘しても、大学は、それを認めようとしない。ただ、三六協定締結とあいまいな代休制度の試行（規則を作らない）への合意を求めるばかりであった。
　らちがあかないので、教職員代表だけで会合をもって態度を決定するので、大学側の退席を求めた。

第二幕／１２：００－１２：３０　過半数代表者委員会

　大学との意見交換をふまえて、過半数代表者としての意見をまとめた。
　第一に、大学入試センタ－試験が当面の問題であり、２－３月の一般選抜試験実施における労働時間管理の問題は別の問題であるので、１－３月期全般の協定締結は無理であること。
　第二に、大学入試センタ－試験業務での休日出勤は、代休として扱うことを原則に、例外としての休日振替も認めたこと。ただし、管理職の強制が働かないように歯止めを考えたこと。
　以下の提案を大学に通告することとなった。なお、時間的な余裕がなく、口頭での確認であった。

　１　労使協定の有効期間を１月３１日までとすること
　２　大学入試センター試験業務のために出勤した教職員には、原則として、代休制度を適用すること
　３　代休日は、教職員が希望する１－３月の任意の日に指定できること。
　４　労働時間管理者は、合理的な理由がある場合は、教職員との合意にもとづいて、大学入試センター試験業務に出勤した教職員に対して、休日振替制度を適用することができること。この場合は、労働時間管理者は、本人同意が確認できる文書と、休日振替制度を適用する理由について、大学に報告すること。
　５　上記の２－３項目を、労使協定の付属文書として位置づけること。そのために、三六協定に、付記事項として、「大学は、過半数代表者との合意にかかる別途文書記載事項を誠実に遵守する。過半数代表者は、別途文書事項が遵守されない場合は、三六協定を期間途中において解約することができる。」

第三幕／１２：４５－１４：００　大学への通告

　理事室で、深谷と、長谷川労務担当理事と小原総務部長と山田労務課長とが面談。
　深谷は、上記確認事項を伝えた。成文化して文書として提出する余裕がなかったので、口頭で通告をした。
　ここでも、第一幕と同じようなやりとりがあったが、ともかく、上記条件が満たされない限り、三六協定締結はできないと通告。
　大学の結論をまつといって、深谷は退席。

第四幕／１７：４５－地震発生まで　暫定締結

　第三幕と同じ場所、同じ登場人物。
　長谷川理事は、学長も交えての検討結果を伝えると、二つの理由から、過半数代表者委員会の提案を拒否して、三六協定の締結を求めた。
　一つは、大学は休日振替の適正な実施を目指して取り組んでいるのであるから、センタ－試験出勤を代休取扱いにせよというのは大学としての方針の一貫性が疑われることになること。
　二つには、代休制度という新制度の創設は重要事項であるので、役員会の了解を得る必要があるので、そのための時間が必要であること。
　深谷は、第一の理由については反対であると意見表明。とくに、職員の労働時間管理についていえば、二つの制度があり、それぞれに対応した時間管理が行われなければならないのにそれができていないと問題を指摘。つまり、１カ月シフト勤務協定にもとづき勤務している職員については、１２月２０日までに労働日の割り振りをしなければならないのに、それができていない。
　大学は、労働時間管理者に業務指示は出したと反論。
　深谷は、問題状況は１７年度入試におけると同じ問題であって、労働時間管理者に指示を出したかどうかではなく、職員ひとり一人に指示が徹底しているのかという問題だ、すでに労使協定違反・労基法違反が発生していると指摘。したがって、休日振替を適正に実施しようとしてきたという大学主張は認められない、その理由を取り下げてほしいと主張。
　深谷は、その理由を取り下げるならば、第二の理由については、民主的な手続きをとることは、大学にとっても教職員にとっても必要であるから、１月１５日までの暫定協定を結びましょう、と提案。
　大学もそれを了解。
　年明け早々に、教職員組合との協議・交渉、過半数代表者委員会との意見聴取を行うことを確認。大学は、１１日に開催される役員会において、この問題についての大学側の方針を決定することを確認。
　ここで、意見交換の最中に地震発生。会談終了。

[０６０１０５記]