カブトエビ見つけた
 カブトエビとは初夏に水田等に発生する生物である。一時期は農薬や除草剤の使用で僕の家の周りで見かける事が少なくなった時期もあったが、最近はまた見られるようになってきた。寒くなると成体は死んでしまい卵の状態で寒さと乾燥に耐える。そしてまた次の初夏に水田に姿を見せる何とも神秘的な生物である。カブトエビは田んぼの中で、肢(あし)を絶えず動かし、泥を掻き分けて、穴を掘って体を泥の中に埋めたり、泥の上を這うように前進する。この行動が人が田の草取りをしているかの様に見えることから「田の草取り虫」とも言われる。
 

 僕の家の近くに広がる田園風景。なんとも田舎である。ちなみにこの近くに僕の行きつけの熱帯魚ショップがある。最近この辺りの水田にカブトエビがいるという情報を得た。一時期は農薬や除草剤の使用によりカブトエビの姿は見る事が出来なかった地域である。
  僕が小学生の頃近所の田んぼにはカブトエビがいたが、そこに住宅が建ってしまいカブトエビの姿は見る事が出来なくなってしまった。この近くには小さな川もありアメリカザリガニやフナも生息してる。しかし僕の身近な所でも開発が進みこの様な場所が少なくなっている事は事実である。何とも寂しい事である。

 時は2003年7月下旬、デジタルカメラを持って久々にフィールドに出てみた。フィールドと言っても家から2km程度しか離れていない。本当にいるのかと半信半疑で水田の中を覗いてみる。オタマジャクシの姿は見えるが、なかなかカブトエビを発見する事ができない。隣の水田も探してみる。探すこと約10分、やっと見つけた。かなり生息数は少ないようだ。今回は時期が悪かったのしれない。カブトエビは大量に発生し突然消えてしまう事がある。ほんのわずか時期がずれると見られない事も多々ある。
 このカブトエビは日本に広く分布しているアメリカカブトエビ(Triops longicaudatu)ではないかと思われる。全長が5.0cm程度でとても可愛らしい。一生懸命泥を掘っている姿が見られた。体色は泥と殆ど一緒でなかなか見つけにくい。泳ぎはゆっくりで網無しでも簡単に捕獲する事が出来る。
 こういった小さな生物と人間が共存できる環境が望ましいと今回づくづく実感した。今年生まれた僕の娘が物心つくまで、カブトエビはこの場所にいるのだろうか?何年か後に一緒に見にきたいものである。

フィールド