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手抜き工事の実態と対策

◆手抜き工事が起きる原因

 「手抜き工事」とは何か。一般に言葉そのものはよく耳にすることだが、その実態についてはよく理解されていないことも多いだろう。手抜き工事が発生する原因はもっぱら工事業者側にあるといえる。動機は建築主に気づかれないように隠れて、できるだけ多くの利益をもくろむためとか、あるいは利潤追求のあまり仕事を多く抱えすぎて監督不行き届きの状況にもかかわらず、かまわず終わらせてしまうなどのようなこともある。

不正工事 一般的に「手抜き工事」と呼ばれているものはこれに該当する。
不良工事 意図的とは言えないないもの。工事関係者の経験不足、認識不足に起因するものが多い。

◇手抜き工事を分類別に見ると .
材料 建築主に告知せずにあるいは虚偽の事実を伝えることにより材料のレベルを落とす、省く、別の材料で代用する。
工事・手間 その工事の内容に最初から所期の効果が期待できないことは認知している。意図的に手間を省く。
見積もり 実際の工事とは違う内容の見積もり、適正価格からかけ離れた見積もり、適正内容とは言えない見積もり……工事費の不正請求、過大請求

 例としては建築主に分からないように打合せや設計図で指定されたレベル以下の価格の安い材料を使って間に合わせてしまうとか、あるいはまったく省いてしまうようなことがある。また手間をかけるべき仕事をいい加減に終わらせてしまうようなこともよく行われている。更に悪質な例としては工事価格を意図的に水増しした見積書を建主に提示し初期の段階から不当利益をもくろむ業者も存在する。一般的に手抜き工事を平然としてしまうような業者は見積もりの段階からも問題ある場合が多いといえる。

 最近、ローコストを宣伝文句にしたハウスメーカー、建設業者が目立つようになってきた。これは注文住宅市場縮小を主な原因とする受注減が背景にあるとみられる。相場よりかなり低い価格を提示することにより契約高を獲得するもくろみがあるのであろうが、実態は下請け叩きによる無理なコスト切り詰めの結果であるケースも多い。住宅工事に限らず建築工事は必然的に多種の下請け業者の協力により成立している面が強いことを考慮すれば、単にコストの問題だけでなく工事の質、建物の耐久性にも深刻な影響が出てくることが懸念されるところだ。実際、ハウスメーカーの基礎工事業者に対する採算を度外視した発注などが社会問題化している。基礎工事であるだけに建築主としても座視できない問題である。

◇手抜き工事をする業者の典型的な特徴

1・経営者が利潤追求に傾くあまり社会的信用の重要性を忘れてしまっている。結果職場にモラルハザードが蔓延している。遵法意識も当然低い。

 監督官庁(行政)による取り締まりは実効性があまり期待できないか権限外の事例も多く、最終解決は示談か民事裁定(司法)にならざるおえない。

2・コスト意識が希薄で財務、労務、資材管理に必要な知識、経験が不足している。結果無駄な出費(経費)が多くなっている。

 経営がずさんな結果、手抜き工事発生の原因を業者自らが作っているともいえる。経営者の資質が厳しく問われる部分である。結局、これら無駄な経費は最終的に顧客が負担することになる。

3・工事の技術、技能が未熟である。工事監督の資質にも問題あり。

 手抜き工事の他、不良工事発生の主な原因ともなっている。営利追求優先の業者の特徴として人の定着率が低い(在職年数が極端に短い)、良い人材が集まらないなどがあげられる。下請け業者へのピンハネ行為なども日常化しているので結果、下請け業者のモラル低下も目立つ。

◆手抜き工事防止のノウハウ(第三者として建築士を介在させた事例)

 次に手抜き工事を未然に防止するための方策の一つについて解説する。手抜き工事防止のためにまず必要なのは最低限必要な予算とできるだけ具体的な設計図である。それには工事前に建築主と設計者が十分に打ち合わせ協議をする必要がある。建築主は設計者に対して手持ち予算を明らかにし自分の要望を漏らさず伝えることが必要である。設計者は与えられた条件の中で建築主の要望を最大限実現できるよう努める。その結果を設計図に記載し、工事業者の選定を行う。この段階で既に手抜き工事防止のための二つの条件がそろっている。つまり無理のない予算と内容が確かな設計図である。

 工事業者の選定の段階では業者に設計の内容を説明した上で設計図をもとに見積もりを依頼することになる。建築主に提出された見積書の内容が適正かつ無理のないものであると設計者が判断できれば、工事契約が成立することとなる。

 次に工事に入ってからであるが工事期間中は設計者に定期的に工事現場の進行状況を確認してもらえばよい。仮に問題が発生しても設計者と工事業者が互いに協議しながら対処すれば建築主の意に添わない結果になることはほとんどないはずである。最後に工事完了の段階で設計者に検査をしてもらい無事完成していることが確認できれば最終支払いを済ませることとなる。

◇不良業者を避けるためのポイント

1・宣伝で業者を選択しない。電話、戸別訪問で営業をしている業者は避ける。

2・交渉の初期の段階で誓約書や契約書と称する紙切れに印鑑を欲しがる業者は避ける。法的根拠は何もないうえ違法性が高い。

3・親戚、知人、友人の間で評判の良い業者を選ぶ。町内会や自治会を利用して情報を集める。

4・何か不安がある場合は地域の消費者生活センターに事前相談する。不良業者は第三者の介在を嫌う。

5・問題があれば交渉を直ぐに打ち切る。未練を持たない。同情は禁物。注意や苦情を言えば改善してくれるなどと期待しない。相手は相当したたかである。

6・水回り工事の改修(台所、浴室、便所など)などの設備を中心とした小規模工事の場合はメーカー直列ないし系列の工事店を選択するのもリスク回避の一つの手段としては有効といえるだろう。

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