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建築主が発注契約の際に知っておくべきこと |
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◆建設業の現状 本来の建設業の姿は地場産業である。地縁社会の中で地域の信頼を得たものだけが生き残れる世界だ。建主の信頼を損なうような結果を出せば、悪いうわさが広まり仕事を失うことにもなりかねない。堅気でなければ仕事を続けてゆくことも一人前として認めてもらうこともできない。建設業者にとって建築主は世間そのもであった。間違ったことをすると世間様に顔向けができないとはまさにこのことである。職人としての技術、技能を磨く、人間を磨く、信頼を得れば利潤は後から付いてくるという考えが常識としてあった。 今の建築主は孤独な存在である。信頼できる業者が近くにいる人は恵まれているといえよう。今の建設業は大も小も企業化され良くも悪くも経済合理性つまり利潤追求優先の世界になっている。建築主の信頼を得ることが大切なことだと分かっていても利潤追求の影に隠れておろそかになってしまうことも少なくない。質より量、堅実さより見てくれ、まさに本末転倒である。 一例を挙げればある大手プレハブメーカーではローコストタイプの住宅の天井に発泡スチロール板を使用していた。例の家電製品の梱包材である。電線管には本来難燃性のプラスチック管を使うべきところをボール紙で間に合わせていた。もちろん住み手には分からないようにしてある。このローコスト規格型住宅は建設省(国土交通省)の補助金で開発されたものであった。つまり我々の血税だ。こういうところに今の住宅産業の本質が見えてくるような気がする。情けないことだが今時の建築主は自己防衛の手段を身に付けておかないと安心して住める住宅も手に入れることが難しいかもしれない。ここではその自己防衛の手段について解説する。 ◆難しい信用調査 信用情報をもとに企業の信用度をチェックする方法がある。情報の内容は主に経営規模や経営状況だ。その企業の状態の良否を判断するのは実際はかなり難しい。具体的な企業レポートでも出ていれば判断の基準として使えるが、決算表など財務諸表のみからでは限界がある。例えば黒字決算でもそれが一時的なものか、有利子負債等の返済の見通しなどはどうか、次期業績見通しは良いかなどの評価は素人には無理である。また良い企業にも悪い企業にも流言流布の類はつきまとうものだ。
◆「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を利用する 2000年4月に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が施行された。この法律の設立主旨は建主、住宅購入者の諸権利を擁護支援することにより結果的に質の高い住宅の供給が実現することにある。
品確法ではこの目的を具体的に達成するために「瑕疵担保期間の10年義務化」と「住宅性能表示制度」(「住宅に係わる紛争処理体制の整備」を含む)の二項目を制度化した。 ◆完成保証制度とは 建築工事の途中で工事請負業者が倒産してしまったときに工事の継続と完成を保証する制度。大きく分けると公と民間の二種類の制度が存在する。民間のものは業者有志が集まって制度化されたものだ。グループ会員制になっている。一例を挙げると、あるグループの加入条件は売上高3億円以上、過去3年間黒字決算であることだ。会員は完成保証制度を広告に使える。この制度が顧客に対する信用の証になっているのだ。グループ本部で個々の契約の内容までチェックする。完成保証制度をセールスポイントにしている業者がいたら一応念のために内容をチェックしておこう。形だけの保証制度では困るからだ。 公のものには財団法人住宅保証機構が実施している住宅完成保証制度がある。利用するには契約している工事業者があらかじめ保証機構の審査基準をパスしていることが必要条件になる。この保証制度は国庫補助金と損害保険金をベースにして運営されている。万が一、頼んでいる工事業者が倒産した場合、保証機構で替わりの工事業者を斡旋してくれるだけでなく、契約工事費の二割までという限度はあるものの工事費がかさんだ場合、そのかさんだ分も保証してもらえる。この制度は中小工事業者(法人、個人事業を問わない)のみを対象にしている。 ◆契約時の支払条件について 工事代金の支払条件とは支払いの次期と回数のことである。支払いは細かく分けた方が建築主にとっては有利だ。通常3回から4回となっているが、請負業者の経営状況や仕事に対する信頼度がよく分からない場合は支払いを細かくした方が安全である。最初の支払い(前渡し金、着手金)は別にして後は出来高払いという方法もある。 ◆契約前の対応の仕方 設計と工事を建設業者、ハウスメーカー等に一括して発注した場合の例であるが、まずは仮契約でプランの段階まで進めてプランの内容、見積金額(概算)に納得できた時点で本契約というのが安全である。仮契約とは覚え書きみたいなもので誓約書や契約書とは違う。内金とか契約金を要求してくるようであればこの時点では拒否してかまわない。基本的に払う義務は無い。(前もって確認すること。業者からは進んで説明しない。)建築主は自分の要望や設計条件がプランと見積もりにきちっと反映されているかよく確認した上で本契約へ進むよう心がけてほしい。仮に設計者(建築士)の力量に問題があったり対応が不誠実であれば仮契約を打ち切っても何等差し支えない。 ◆建築主は業者に発注する前に予め金額は別にしても必要予算の項目については理解しておいた方が後々業者との打ち合せの際も行き違いが無くてすむ。 ◇必要予算の内訳◇
◆工事請負契約書
a-契約書本文 一般に自社製、建設業団体など関連団体から発行されているものなどを使用している。契約書の内容には工事業者だけでなく建築主の責任義務と義務を履行できなかった場合の処置について、工事代金の支払方法、業者側の完成建物に対する瑕疵の保証期間、過失が発生した場合の対応の仕方などが記載されている。契約上、建主と業者との間には上下関係はない。これは契約書が法の下での平等を基礎に作成されていることにある。つまり建主が顧客の威をかりて契約書には記載されていないサービスを要求することは違反行為と見なされるおそれがあるということだ。トラブルを未然に防ぐためにも契約当事者は互いの責任範囲と権利をよく認識しておく必要がある。
b-設計図 規模の小さな改修工事でもない限り図面は必要である。図面には建築主の注文内容、要望、工事の内容、規模、程度、使用する材料の種類、工法など重要事項が記載されている。
c-見積書 一般に見積書は工事の全体額(頭金額という)と各項目ごとに分かれた工事別明細に分かれて表示されている。見積書は図面を根拠に作成されるので、図面がない場合は見積書としては疑わしいことになる。
◆参考情報 自社施工(せこう)の定義について 一般に住宅レベルでの自社施工、責任施工とは工事を下請けまかせにしないで元請が主要な部分を責任もって行うことを意味する。ここでは誤解がないように工法別にその定義について説明する。 a.一般木造、ツーバイフォー工法の自社施工 一般木造、ツーバイフォー工法の場合は少なくとも大工職が元請会社の社員である必要がある。大工工事である骨組みの組立と内部、外部の仕上工事は一部下請けの大工が手伝いに入るにしてもメインは元請大工がやっていることが条件である。鳶、左官、板金、塗装、屋根工事、設備工事、外回り工事などは下請けでかまわない。 b.プレハブの自社施工 プレハブの場合、工場製作部分が元請かそれに準ずることはもちろんだが、実際に制作されたパネル、ユニット類を現場に搬入して組み立てるまでは元請の責任施工で行わなければならない。それ以後の工事はプレハブメーカーの社員である現場監督が工事の指揮を執っていれば問題はない。 c.鉄骨造、鉄筋コンクリート造の自社施工 鉄骨造、鉄筋コンクリート造ではビル、工場と同様、分業化されているのが通常なので現場監督及びその補助員が元請社員であれば自社施工といえる。工事のほとんどは下請の責任施工になる。 |
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