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D-5 |
交渉ごとは設計事務所(建築士事務所)を代理人とする |
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◆トラブルを未然に防ぐためには 建築主と工事業者の間では何らかの行き違いからトラブルが発生することは少なくない。あるいは建築主の知らない間に工事が不本意なかたちで進められてるケースも案外多い。工事業者側に故意の過失がないにしても建築主側には納得のゆかないものである。建築工事そのものは非常に細かい作業の連続で監督も職人も神経を配ってやっていたにしてもどこか見落としや勘違いが発生しがちなものだ。 しかし結果的に建築主に不利益を被らせるような問題であれば積極的に是正をさせるべきである。建築知識の乏しい建築主とプロの工事業者が話し合いや交渉をしたとしても建築主側に不利な結果に帰結する場合の方が多い。工事業者の選定、見積依頼の段階からプロ(建築士)の代理人を立てて交渉ごとに当たらせるのが安全であろう。 今までは設計などは工事と一括して工事業者に依頼するケースが一般的であった。改修や修繕、小規模な増築や新築ならそれでかまわないであろうが少なくとも住宅規模から上の新築改築では工事業者に工事だけ依頼し設計は別にした方が好ましい。工事業者に設計を依頼しても結果的には外注下請けで設計事務所(建築士事務所)に仕事をながしてしまうので建築主側にしてみればその費用負担を含めて分けて頼んだ方が立場上有利ということになる。 設計事務所が外注下請けの立場にいるときは工事で問題が発生しても元請である工事業者に指図的な立場はとれない。 ましてや建築主の代理人として行動することは許されるわけがない。設計事務所に仕事を依頼した場合、設計料は別請求になるので建築主は建設費の中で自分がどれだけの設計料を負担しているか理解できるが、工事業者に一括して頼んだ場合は通常、設計料の正確な額は教えてくれない。むろん設計事務所に対しては設計以外にいろいろな交渉ごとや工事の進行状況のチェック(工事監理)もしてもらうのでその分、設計料は高めに推移するが、リスク回避を考えた場合この方が有利である。建設工事は建築主にとっては財産形成そのものである。後々のことを考えれば慎重に対応するに越したことはない。 ◆裁判は救済制度ではない 最近手抜き工事防止の監理不行き届きで複数の建築士が弁護士から起訴される事件が起きた。手抜き工事の被害者である建築主達が弁護士に相談した結果、建築士が法律上の責任を全うしなかったことが主な原因と判断したらしい。 確かに建築士法には設計及び工事監理は建築士の責任であると明記されている。建築確認申請書の書面にも工事監理者の欄があり、そこに建築士の名前が記載されていないと申請すら受け付けてくれない。裁判の結果を当事者でない私が予想するのは軽率かもしれないがおそらく建築主の勝訴に終わるのではないか。裁判は法の上での適否を判断する場であるから建築士がいくら弁明してもとおるものではない。 しかしこの問題は法律だけでは解決できる性質のものではないように思われる。建築主にしてみれば訴えた建築士から良くてもいくらかの賠償金を取れるのが関の山だ。手抜き工事をした当の工事業者には別立てで裁判をして争わなければならない。もちろん二つの裁判の弁護士費用など訴訟費用は自前で調達しなければならない。しかも裁判に勝っても手抜き工事で建った家を建て直してくれる保証は何もない。原告である建築主はおそらく工事業者を通じて設計を依頼したのであろう。建築士とはトラブルが発生するまでまったく会ったこともない建築主もいるはずだ。 前述のように工事業者に対して外注下請けの立場にある建築士に元請に対して指図的な立場に立たざるおえない工事監理を要求すること自体、無理がある。原告の建築主は実際自分がどれだけの設計料を負担していたかも理解していないのではないか。弁護士報酬に比べても少ない金額を建築士に支払って直接設計を依頼すれば工事費自体も安くなったうえ裁判沙汰になるようなことはなかったはずである。 |
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