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ツーバイフォー工法と輸入住宅の問題点 |
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◆ツーバイフォー工法とは 北米植民地の宗主国イギリスとフランスの建築はレンガ、石などを主材とした組積造建築が主流であるが植民地アメリカ、カナダなどの大陸では木材の供給が大量かつ安価にできたこと開拓地では主に輸送コストの関係からレンガが高価で入手するのが難しかったことプロの職人を雇う経済的余裕も人手もなかったことなどから素人でも建設可能な簡便な建築方法としてツーバイフォー工法が開発されるにいたった。横2インチ竪4インチ(約5cmと10cm)の角材を主材に枠を作ってパネル状に組み合わせて屋根や壁を造るので正式には枠組壁工法(プラットフォーム・フレーム工法)といわれている。 アメリカ、カナダにおいてはツーバイフォー工法は木造の標準工法として広く社会に普及しているが、工法の改良も逐次なされ、現在では技術的にはかなり成熟したレベルにあるといえる。戸建住宅だけでなく市街地の5階建アパートメントハウス(日本のマンションに相当)などにも多く採用されていることで、この工法が木造でありながら耐震性、耐火性、遮音性にも優れていることが実施においても立証されている。ツーバイフォー工法は今や北米地域だけでなくオーストラリア、ニュージーランド、北欧などでも一般的な住宅工法として広く普及しており、このことから建築工法としての技術的優位性が国際的にも認知されていることが理解できる。 ◆日本におけるツーバイフォー工法の問題点 ツーバイフォー工法は1974年に日本に導入された比較的新しい工法である。当初は工法の簡便さと端材的な木材でも有効に活用できることから、在来木造工法に比較し15%程度ローコスト化が可能といわれていたが現在にいたってもそれほど普及していないのは工法に精通する技術者や職人が少ないこと、主に国内の建材流通の事情から思ったほどローコスト化を達成できていないこと、和室希望などの建築主の要望を実現するにはかえってコストがかかることなどが主な理由と考えられる。しかし集合住宅を含めて年間10万戸近い建設実績を上げている他、わが国の木構造技術の進歩にも少なからず寄与しているといえる。
◇導入時のミスが弊害に ツーバイフォー工法用の建材は国際的にはフィート寸法を基準に製作されている。壁、床、屋根などの骨組み材だけでなく窓枠、ドアから階段手摺り、フローリングなどの床材にいたるまで全てフィート、インチ単位で大量生産され米国内だけでなく国際市場に広く流通している。カナダは国の標準単位としては日本と同様メートル法を採用しているが、ツーバイフォー工法に関しては円滑な工法技術の普及と建材流通を考慮してフィート法で対応している。わが国ではメートル法の採用を前提に工法導入をしたがために国際規格とは整合しない弊害が生じ結果として工法普及と発展の妨げの一因ともなっている。 ◇行政の無知が弊害に 96年、建設省(国土交通省)建築研究所の実施した実物大の木造耐火実験の結果は木造家屋でも火災に対して実用上充分な耐火性能があることを立証した。これは米国においては周知の事実とされていたことだ。わが国の建築行政担当者の木造の耐火性能に対する認識は関東大地震や戦時の空襲被害の経験からか長らく木造は火災に極めて弱いという先入観に支配されてきた。この認識は国際的にも不評を受けている。建築基準法でもこの認識に基づいた考え方が法文に反映されている。特に防火地域及び集合住宅に関わる木造に対する規制は厳しく木造技術の耐火性能改善と普及の妨げになっている。
◆在来工法とツーバイフォー工法どちらが優れているか 在来工法は専門的には木造軸組工法と呼ばれている。柱などの垂直材と梁などの水平材を組み合わせて立体的に骨組みを構成してゆく工法だ。それに対してツーバイフォー工法は平たい角材をパネル状に組み合わせて屋根、壁、床を造ってゆく工法である。同じ木造といっても両者の間には外形だけでなく考え方の点でも大きな違いがあるが、優劣という点ではどちらにも優れたところがあるので判断は難しい。但し和風住宅、開放的な住宅、伝統的な木肌を生かした住宅ということであれば木造軸組工法が有利である。ツーバイフォー工法は国際的にはほぼ成熟した技術レベルに達しているといって良い。対する木造軸組工法はツーバイフォー工法の良さも取り入れながら少しずつ改善がなされ現在も発展段階にある工法と評価できる。 ◆無視できない生活習慣や風土の違い 輸入住宅が近年注目されている背景には住宅の外観デザイン、インテリアを中心とした北米ライフスタイルが人気あることや為替レートで換算した場合、北米の住宅建設費が日本に比べかなり安いことがあげられる。アメリカのライフスタイルがブランドものと同じように日本人の感情やニーズを満たしてくれているということなのだろうが一時的な流行である場合はこと住宅に関しては自制した方が無難であろう。なぜなら住宅は完成すれば40年、50年は使用されるものであるからだ。 一方、輸入住宅に関心のある住宅購入者の立場から観れば本物指向という考えもあるだろう。確かに外観デザインやインテリアのみに注視すれば、最近の新築住宅にはそれらを中途半端に模しているものが少なくない。ハウスメーカーのモデルハウスの中にはフランク・ロイド・ライトの作品をそっくり真似たものまであるが、軽薄のそしりを受けてもいたしかたない。 ライフスタイルに言及すれば輸入住宅に住まうこと自体、北米のライフスタイルを自ら受け入れることになると考えるべきだ。一応基本的なこととして家具、カーテン、壁紙等その住宅に合ったものを選択できるだけの素養が求められる。輸入住宅業者の中にはそのあたりを見込んでコーディネートしてくれるところもあるだろうが、いずれにしても経済的負担はそれなりにともなう。 我々日本人は長年の和室に住まう習慣から家具類は住宅と切り離して考えるが、洋室の住まいでは家具はあくまでも必要不可欠な設備としてとらえる。言ってみれば家具のない部屋は浴槽のない浴室と同じなのだ。家具のレイアウトの都合でドアや窓の位置を決めたとしても何ら不思議はない。部屋の模様替えについても定期的に行う必要がある。壁天井の塗り替え壁紙の貼り替えは汚れが目立たない内に行うべきだ。和室ではわびさびの情感から塗り壁が汚れたからといって塗り替えるようなことはしない。白木の天井も年月とともに黒くなるにまかせる。しかし輸入住宅では伝統的な価値観はなじまないことは知っておくべきだ。 住宅の仕様そのものも北米現地の気候や米国人の好みに合わせて設定されているので、そのままでは日本の住宅購入者のニーズを満たすことはできない。多雨湿潤な日本の気候に合わせるには通風に配慮し窓を大きくするとか、現地では一般的な木板の外壁材を腐朽しないものに仕様変更するなどの必要がでてくる。内外ともペンキ塗りが主流の仕上げや土足での生活も日本人には受け入れがたいものがあるであろう。もっともこのあたりは販売業者の方で商品化にあたり事前対応していることだろうが。 ◆業者選択には他と同様充分な注意が必要 輸入住宅業界の特徴としていえることは経営規模の小さな会社が多く新規参入など経験の浅い業者も目立つことだ。経営基盤も脆弱なところが少なくなく、思うように受注できず建設半ばで破産する会社もあるので選択するときは注意した方がよい。できれば在来工法や他の工法も手がけながら輸入住宅を営業している会社の方が安心できるだろう。 主に北米現地基準をもとにして造られている輸入住宅は日本の国内法規である建築基準法に適合していない部分もあるのでそのままでは建設できない。法律や規格の問題だけでなく外国製の台所、洗面所、トイレなど水回り設備の故障時の対応など現地の部品、設備を使用しているがための調整すべき課題も多い。法規の方は業者側で販売前に対応済みなはずだが、アフターメンテナンスの問題は個々の販売業者により事情が違ってくると予想されるので住宅購入者としても契約前にチェックしておくべき事項といえる。 輸入住宅業は単に建設と販売を請け負うという姿勢だけでは顧客のニーズに充分対応することはできない。北米の住文化に精通し、顧客である住宅購入者にライフスタイルなどの面で適切なアドバイスができるだけの知識や教養を持ったスタッフも必要になってくる。一般の住宅業者が片手間に扱えるような分野ではない。
◆輸入住宅はローコストではない 次はコストの問題であるが建設費は大別すると設計費と工事費、そして販売経費などに分類できる。設計費と販売経費は国内で調達することになるのでこの場合ローコスト化の要因にはならない。では工事費であるが、工事費は大別すると人件費と材料費に分類できる。人件費も国内で調達せざるおえないのでこれもコスト低減には貢献しない。材料費より人件費の割合の方が多いこと、材料は直輸入でも輸送関連経費などが上乗せされるので、結果として建設費全体の10%に満たない金額しか削減できないのが実状である。またわが国の複雑で狭小な宅地事情もコストアップの要因になっている。
わが国では東京などの大都市部と鹿児島などの地方部と比較しても住宅建設価格には相当な開きがある。同様な住宅でも建設坪単価は東京に比較し鹿児島の場合は2/3程度である。土地にいたっては1/10以下である。鹿児島と米国と比較した場合、建設費も土地代も大きく変わらないので鹿児島在住の人は輸入住宅をコスト面で選択する理由がないことになる。東京と同じ首都圏でも栃木や茨城では建設費は2割程度下がる。土地にいたっては差はかなり大きい。何でも東京と比較して報道してしまうマスコミの態度にも問題があるということだ。 |
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