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C-3

マンションの外壁タイルの社会問題化

◆タイルの利点、正しい扱い方 

 タイルの材質は陶磁器で、粘土を焼成した長方形ないし正方形の薄板である。材料自体に耐久性、耐火性、耐水性、耐化学性が有り、しかも美観が優れていて種類も多いので、予算に少し余裕があると好んで使われている。室内の水を使用するところ、衛生上汚れを嫌い清掃しやすいことを要求される個所に多用されている。外壁にもよく使われているが、これはわが国特有の現象といえるもので海外では現代建築の外装材のメインの材料に多用した例は一部の国地域を別にしてもあまり見られない。

 外装材としてのタイルのルーツをさかのぼるとレンガにたどり着く。関東大震災以後、レンガ積建築に代わって鉄筋コンクリート造建築が一般化してくる。当時、その外装材として本物のレンガがよく採用されていた。初期の頃はコンクリート外壁の前面にレンガを積む工法を採用していた。以後、工法の簡便化の流れから、レンガタイルが開発され、レンガの代用とされたのが、そもそもの外壁タイルの始まりだとのことである。

 現在では高層ビルなどでも好んで外壁にタイルや石材を使用している。剥離、落下事故がないように設計の段階から安全上の処置をとっている。高層ビルのタイルは工場でコンクリートの板に埋め込むかたちで貼り付けられた後、蒸気高圧養生されて一体化したコンクリートの版として現場に持ち込まれる。クレーンで所定の場所に吊り揚げられ頑丈なボルトでビル本体に取り付けられる。石も同じ工法を採用している。(代表例として東京都庁など)

 都市の大気汚染でコンクリートの打ちっ放しの外壁の汚れがひどかった時期がある。今もあまり状況は変わらないが、コンクリートは酸化物に弱い、石灰と粘土の合成化合物であるセメントを主材にしたコンクリートはアルカリ性で大気中の水分や汚染物などの酸化物に触れることで劣化が早まるのだ。その対策の一つとしてタイルや石材が多用されるようになった。皇居前の東京海上火災ビルはレンガタイル貼りの高層ビルとして印象深い存在だが建築家前川国男の作品である。前川が高層ビルの外壁にあえてレンガタイルを採用したのも皇居の緑との調和だけでなく同様な理由があったとのことだ。

◆人命に関わる外壁タイルの剥離事故

 ここまでの説明で外壁におけるタイルの適切な扱い方には概ね理解していただけたかと思う。タイルは美装用としては優れた材料である。デザインがあまり良くない建物でもタイルを貼ることでだいぶ体裁が整ったりする。重宝な材料である。そのためか乱用気味なのも確かだ。タイルの貼り方も従来の内壁にタイルを貼るやり方をそのまま外壁に使用している。モルタルで貼ってゆく方法だ。以前に比べ工法もモルタルの材料自体も改良されているとはいえ、モルタルは他に比較し劣化しやすい材料であることにかわりはない。劣化に強いタイルを劣化に弱い材料で貼ってゆくことじたい矛盾がある。剥離の危険性が高いのだ。それでも2、3階建程度の小規模建物なら危険性は少ない。人の目に届きやすく補修も比較的しやすいからだ。問題は比較的規模も大きく、階数も高い建物だ。マンションなどはその代表といえる。

 大阪の小規模なオフィスビルの例では検査した結果、築後7年で外壁タイルの5%が剥離状態にあった。剥離と言っても剥落したわけではない。タイルは案外周囲の目地でなんとかもつものだ。検査しない限り見た目は全く分からないということになる。(目地に充填するモルタルは最低でもタイルの厚みの半分以上は必要になってくる。深目地禁止)

 オフィスビルでこの状況であるから、より規模の大きいマンションではさらに深刻である。ましてやマンションは生活の場だ。分譲マンションは見てくれが良くなければ売れない。販売業者は内装の費用を削ってでも手間と費用のかかるタイルを外壁に貼りたがる。将来の補修の問題は買った側の責任と考えている。売り逃げは否定できない。

 ちなみに公営分譲住宅などでは外壁のメインの材料としてタイルを貼るようなことはしていない。タイルを貼らないとデザインが悪くなるかというとそうではない。タイルは数多くある外装材の一つにすぎない。事実、タイルを使わずに優れたデザインを実現した集合住宅が少なからず建設されている。設計者側の努力不足、認識不足は否めない。もちろん全てのタイル貼建築が将来危険な状態になると、にわかには断定できないが、その懸念をはらんでいることは確かだ。

◇マンションの安全な外壁タイル扱いの一例

 1・バルコニー、外廊下などの手摺り部分などにはタイルを貼らないようにする。この部分は普通の手摺りなどで代用できる。工事費節減にも貢献する。また設計上、扱いが上手にできればデザイン的にもかえって優れた結果を得られる。

 2・バルコニー、外廊下に面した外壁は足場がなくても手が届くところなのでタイルを貼っても問題ない。

 3・上記以外の外壁にタイルを貼る場合は外壁の近くに人が近づけないよう植え込みなどを配してタイル剥落事故発生時の被害を未然に防ぐ処置が必要になる。また通路部分にせざるおえないケースでは扉で閉鎖するなどして日常的な通行の用に供せないようにしておく。

 4・上記対策ができたとしても高層階部分にタイルを貼るのは避けるべきで、他の外壁材で代用するか別の工法を選択するなどの対策が必要になる。

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