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C-2

知っておくべきメーターモジュールの問題点

 ◆モジュールの解説(module モデュール 測定の基準) 

 モジュールとは何か。一応、共通規格寸法とでも理解しておけば良いであろう。純粋な技術用語で、正しくはメートルモデュールという。メートル法(cm、ミリ単位)を採用した規格寸法というのが本来の正しい用語の使い方である。尺貫法を使えば尺モデュール、フィート法であればフィートモデュールになる。建築物の設計は他の設計と同様、設計、工事の合理化を図るために当然のように規格寸法を使用している。建材の生産流通もこの規格寸法を採用することでコストダウンを実現しているのだ。

 では、具体的には何かであるが、方眼紙の升目を想像してもらいたい。(あるいは碁盤の目でもよいが)この升目がモデュールだ。建築では例えば木造なら升目が3尺になっている。3尺は約90cmである。畳は升目二つ分の大きさとなる。6帖の部屋なら升目12個。廊下の幅は升目の幅と同じだ。ちなみに一坪は升目4個になる。つまり畳2帖分である。

 モデュールの由来は人体寸法から来ている。歩幅(約30cm)がフィート、尺の基本単位である。ドアの高さが人の背丈(180cm)を基準にしているのもモデュールの考え方と共通する。廊下の幅が人の肩幅(60cm)を基準に90cmとしているのも同様である。これらは全て3の倍数であることが理解できる。経験的に見ても3の倍数でモデュールを決めるのがもっとも合理的で経済的といえる。鉄骨造や鉄筋コンクリート造の設計ではフィート、尺の寸法単位は使わないがやはり3の倍数を基本に設計を行う。具体的には90cmがモデュールになるケースが多い。

工法の種別 採用単位 モデュール(升目の大きさ)
一般木造住宅(軸組工法) 尺貫法

909ミリ(3尺)(一般には柱中心が測定基準)

柱中心ではなく柱間や畳の大きさを測定基準にしているなどタイプが三種類ある。

北米住宅(ツーバイフォー工法) フィート法

1220ミリ(4フィート)(壁の内法が測定基準)

日本仕様は900ミリ(壁中心が測定基準)

木造以外の構造(鉄骨造、鉄筋コンクリート造など) メートル法 900から1200ミリ(任意)(壁ないし柱中心が測定基準)
メーターモジュール住宅 メートル法 1000ミリ(柱中心が測定基準)

 ◆メーターモジュールの問題点

 メーターモジュールは現在、一部プレハブメーカーやハウスメーカーなどを主流に採用され続けているが、おそらく、もともとの開発の由来は営業主導の経営的判断によるものだろう。つまり技術的検討を慎重に重ねた結果、実現化されたものではないので、詰めの甘さが目立ち、いろいろ問題を抱えているのが実状である。

 具体的にはメーターモジュールとは先の90cmの升目を1mにしたものである。たてよこ約10cmづつ升目が大きい分、家が広くなるという理屈だ。廊下の幅も押入などの収納の奥行も90cmが1mになるのでよろしいのだが、肝心の部屋は必ずしも広くならない。敷地の面積が限られているからだ。本来なら6帖の部屋は尺モデュールではヨコ2.7m×タテ3.6m=約9.9平米であるが、メーターモジュールを採用すると3m×4m=12平米(8帖相当)にならなければならない。

 しかし、都市部に立地する住宅の多くはあまり余裕のない敷地に建築しているのが実状である。建ぺい率(敷地の面積に対して建てることのできる割合、住宅地では3割から6割の間で設定されている)はぎりぎりか、もっと悪いのは境界線ぎりぎりもある。結果として6帖の部屋は2.5m×3.5m=8.8平米(5.5帖程度)になってしまうのが実態だ。廊下スペース、収納スペースが広くなる分、肝心の部屋が狭くなってしまっているのだ。仮に敷地に余裕がありメーカーの言うとおり広くできたとしても今度は広くなった分、必要工事予算が増加し建築主の負担が増えることになる。(メーターモジュールでは50cmの倍数を基準にしている)

 

 ◆他にもある問題点

 メーターモジュールでは使用する建材は一部を除いて尺モデュールで生産されたものを使用せざるおえない。建材生産の全てがメーターモジュールに合わせているわけではないからだ。例えばメーターモジュールの和室に畳を敷くとどうしても半端な余りが出る。その半端な部分は板敷で間に合わせている。壁や天井などの内装材も半端材がでやすく無駄になる分が多くなる。無駄を少なくしようとすれば材料の選択肢もおのずと限られてしまう。ドアも1m幅では重たすぎて蝶番が駄目になるから一般の基準で作っている。

 また、これも建材の流通規格に関わる説明であるが、一般に材木は3mないし4mの長さで販売されているので、メーターモジュールであれば無駄なく全てが使用できるという主張がある。これも非常識を通り越して珍説の類といえよう。材木は柱でも土台でも何でもそうだが、一本だけ単独で使われるようなことはない。他の材木と継ぎ合わせながら使用するのが一般的である。その継ぎ合わせのためには材木の先端どうしを最低でも10cmずつ加工する必要がでてくる。そうなると正味使えるのは3mなら2.8m、4mなら3.8mほどとなってしまう。尺モデュールであれば、それぞれ、2.73mと3.64mあれば足りるので差し引き充分間に合う。しかし、逆にメーターモジュールであればかえって足りない状況となってしまうわけである。

 建主向けのバリアフリー住宅のパンフレットや住宅雑誌の解説記事などには「メーターモジュールを採用した住宅は廊下が広く、車椅子利用者にも適している。」と説明されているのがよく見受けられるが、これも間違いである。一般の人には分かりづらいことであるが、例えば廊下幅の寸法の取り方は設計上も工事上も柱の中心点どうしを基準にしている。結果、幅1mの廊下といっても壁どうしの実際の幅は車椅子走行に必要な適正有効幅員90cmを確保することができないのが実状である。これは尺モデュールやフィートモデュールを採用した一般工法やツーバイフォー工法の住宅でも共通して指摘できる問題ではあるが、これらの住宅では廊下のみ幅を広げて部分的に対処することが容易にできる。しかし規格化を原則としているメーターモジュールのプレハブ工法ではかなり予算をかけたとしても難しい。

専用住宅における車椅子利用について(参考)

1. 廊下の有効幅員の決め方
a.
車椅子利用者個々人の体格、運動能力を考慮したうえで、必要幅員を決定すること。これを考慮せずに一律に決めることは実用上問題が発生するおそれが高いといえる。
b.
車椅子通行に必要な最低有効幅員は85cm、実用上は90cm必要とされているが、これらはあくまでも最低基準といえるものであり、そのまま日常生活の場としての、住宅の廊下に適用するには不適切であるといわざるおえない。実用上は人とのすれ違いを考慮しなければならないので、最低でも140cmは確保する必要が出てくる。

2. 車椅子利用住宅で当然配慮されるべき事項
 
そもそも車椅子利用を前提にした住宅計画で廊下の幅を云々すること自体問題があるといわざるおえない。できるだけ廊下を必要としないプランを立案することが肝心といえる。また、これは当然のことであるが個々の部屋の出入り口の幅も車椅子に配慮されたものでなければならない。出入り口の扉は安全と使用勝手、そしてスペースの節約を考えてドアではなく引き戸を採用すること。

 以上、いろいろな問題点があるわけで、建主としても再考すべき点も多いことは否めない。プレハブだけをとっても選択肢は多くあるので慎重な判断が求められるところだ。

モデュールを改良するために必要条件とは(参考)

 □必要条件(普及のための条件でもある)
1.モデュールの改良はそのままローコスト化を意味している。

2.既存の建材をそのまま使用できる。選択の範囲を狭めるものはない。

3.建築主、設計者、工事関係者の負担を軽減できる。

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