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B-8

省エネルギー住宅の解説

 省エネ住宅とは

 省エネ住宅とは一言でいえばエネルギーロスを少なくし、且つ快適性を重視した住宅のことである。本格的な省エネ住宅であると建設コストなどはかかるがエネルギーロスが少ない分、光熱費は一般住宅に比べ低く押さえることができる。資源節約、地球温暖化防止などの時代の要請に合う住宅なので建設の際には公的融資の割り増しも受けやすい。ソーラーハウス(s-5講座参照)なども省エネ住宅の一種である。

 省エネ住宅は一般には断熱材を厚くし、窓ガラスを二重にするなど断熱性、気密性を高めた住宅と理解されているがそれだけでなく、気密性を高めながら換気能力を満足させるなど一見相反する機能を併存させなければならない。冬の暖房は一般的なものに比べより効果の高いもの、例えば床暖房に代表されるような遠赤外線暖房などが望ましい。夏場は風通しよくし、日射を有効に遮ることで、できるだけエアコンに頼らないで過ごせるようにする。

 おのずと省エネ住宅は一般住宅に比べそれらの機能を満足させるためプランや外観デザインに特色がある例も多い。わが国は地形上地域によって温度及びその変化、降雪量などが著しく違う。基本的に6地域に分けて省エネ基準が制定されているが、地域ごとの気候にあった省エネ住宅のプラン設計ができれば結果として満足のゆく生活投資となる。

◇省エネルギー住宅の定義

 1・一般住宅に比較し室内保温性能に優れ快適度の高い室内環境を実現している。

 2・夏期、日射対策と建物内部の風通しを改善するこで室温上昇を抑える工夫がなされている。

 3・一般住宅に比較し冷房、暖房に消費するエネルギー量が少ない。

 ◆断熱性能が良いとどういうメリットがあるか

◇冬夏どちらにも期待できる効果

 一般に建物の断熱性を良くするとは室内保温性確保による冬場の暖房費節約を意味することになるが、夏場の冷房費の節減にもメリットがある。省エネ住宅においてはできれば夏場は冷房無しでも快適に過ごせることを目的としたいのだが、外部の騒音、悪臭、塵埃などを防ぐ必要がある環境に立地する場合、100%冷房を排除することは現実的とはいえない。故に夏場は風通しの良さによる快適性とともに窓を密閉したときの冷房効果を確保することにも配慮が必要になる。省エネ住宅では外部の熱気を高い断熱性と気密性で遮ることにより一般住宅に比較し効率の良い冷房が実現できる。

◇室内温度差減少による快適性の向上

 断熱性を高めることのメリットは光熱費削減だけでなく室内環境の快適性向上にもつながる。この快適性とは室内の温度差を緩和することで実現できる。室内温度差とは温度の高い空気は天井側へ、反対に冷たい空気は床側へ移動する性質のことをいう。高い断熱性を確保できるとこの温度差が小さくなり、例えば暖房時は頭の方が熱く、足の方はなかなか暖まらないということが無くなり逆に冷房時、足だけがやけに冷えるようなこともなくなる。結果的に冷暖房の効率が上がるので費用の節約にもつながる。

◇室内空気循環による省エネ効果

 またもう一つのメリットとして重要なことは階段や吹抜などを空気流通の回路として上手に利用することができれば冷暖房をしていない他の部屋も暖めたり冷やしたりすることができることだ。断熱性能の悪い一般住宅では階段や吹抜は冷暖房時には不利な存在だが省エネ住宅では冷暖房効率が高くエネルギーロスが少ない分一つの部屋のみでなく家全体にも効果を及ぼすことが比較的容易にできる。

 ◆気密性を高めることのメリット

 省エネ住宅では屋根または天井、壁、床に断熱材を隙間無く充填する必要がある。窓も普通より気密性の高いサッシが好ましい。気密性を高めるとは内と外の空気の流れを遮断することを意味する。技術的には100%遮断することは不可能だが一般の住宅に比べればかなりの気密性を確保することができる。気密性を高めることのメリットとしてはエネルギーロスを少なくすることができる他に換気が比較的容易にできることがある。気密性の高い住宅では内外の空気に常時顕著な温度差があることから必然的に気圧差が発生する。この気圧差を上手に利用できれば比較的簡易な換気装置でかつプラン上、空気の流通経路をきちっと確保できれば住宅内部の湿気や臭気、汚染空気を有効に排出することができる。

 ◇気密住宅の換気の取り扱い

1・換気の役割 汚染空気排出・結露防止・酸欠防止

2・換気の方法 24時間換気システムの採用

 a・台所の給排気は独立系とする。

 b・給排気両方を機械換気とする方法と排気のみ機械換気とする方法の二種類がある。

 気密住宅---省エネ住宅で更に気密性を高めた住宅、寒冷地向き。

 夏場の遮熱効果を高めるノウハウ

◇屋根面の遮熱対策と屋根裏換気

 省エネ住宅では夏場の強い日射に設計上、充分配慮することができれば冷房にそれほど頼らなくても快適に過ごすことができる。具体的にはまず屋根であるが、屋根材はできれば金属(ステンレス、アルミ、耐候性鋼板など)で日射を反射できるように断熱塗料ないし銀色白色塗装されたものが有利である。耐候性鋼板などは価格も安く耐久性もあるので推奨したい。また屋根裏換気も重要である。予算があれば換気装置を設け気温の高いときは常時作動するようにしておけば有効な防暑対策になる。いずれにしても大きめの換気孔は最低限数カ所(屋根の面積による)設ける必要がある。

<参考1> 最近、二階の部屋などでは、天井がロフト(屋根裏部屋)のように斜めになっているところが増えている。これは日照権の関係で屋根の高さが制限されていることに主な原因があるのであるが、この場合、天井裏が充分確保できていない例が多い。天井裏が取れず遮熱対策が充分できていないと夏期かなり室温が上昇してしまうことがよくある。

 前述したように屋根材を工夫したり、断熱材を併用するなどしても、充分な効果が期待できない例も多い。対策としては屋根板を二重にして、二重にした板どうしを空けて隙間を作り、そこを通気層にする方法がある。

 ロフトのように屋根の裏側がすぐ部屋になっている場合は、いくつかの方法を併用した遮熱対策が求められてくる。

◇庇と窓を工夫する

 次に窓であるが部屋に強い日射が入らないよう庇などで有効に遮るようにする。夏場は太陽高度が高いので比較的短い庇でも大丈夫だ。逆に冬場は太陽高度が低いので日照が庇に遮られる心配はない。設ける個所は南と西に面する窓のできるだけ低い位置が適当である。風通しを良くしておく配慮も必要だ。具体的には窓の配置や数に注意する。小さい窓でもうまく配置できれば風がスムースに流れる。必ずしも窓は大きくなくてもよい。位置の方が重要だ。同じ部屋なら必ず二ヶ所窓を設けるようにしたい。片方が風の入り口でもう一方が出口になる。また吹抜や階段を上手に利用できれば住宅全体の風通しには良い結果を得られる。

<参考2> 省エネルギー住宅の窓はアルミサッシではなく断熱サッシにするのが望ましい。断熱サッシには窓枠が硬質塩化ビニル樹脂(プラスチック)で、できたものと木製のものがある。(それぞれ樹脂サッシ、木製サッシと呼んでいる)
 鍵はレーバー状になっていて、締めると気密性が確保できる特殊構造となっている。ガラスはペアガラス(二重ガラス、ガラスとガラスの間に空気層がある)が標準となっている。
 価格はアルミサッシの4倍程度と大変高価なものである。断熱サッシがなかなか普及しないのもこの価格差に原因があるといえる。

 代替策としては以下が考えられる。
1. 主要な部屋(快適性を重視したい部屋)のみ断熱サッシとする。

2. アルミサッシの中から断熱を考慮されたものを採用する。

3. 採光や通風に支障が出ないレベルで窓をできるだけ少なくし、サイズもできるだけ小さくする。(壁の断熱を高めても、窓が大きいと断熱効果は下がる。下表参照のこと

4. 使用勝手に差し支えがでない範囲で二重窓にする。

5. 上記案のいくつかを併用して費用対効果を高める工夫をする。

. 断熱材100mmの木造壁 断熱材50mmの木造壁 ペアガラス(二重ガラス) 一枚ガラス
熱貫流抵抗値(=断熱性能) 2.75 1.63 0.28 0.145
断熱材100mm木造壁の値を100とした比較 100 59.27 10.18 5.27

 暖房方式は何が良いか

◇より優れた暖房方式を選択する

 暖房に求められる必要条件としては快適性と安全性そして経済性が優れていることの3点があげられる。快適性を向上させるためには今まで常識とされてきた室内の空気を直接暖める方式ではなく、遠隔的に室内の天井、壁自体の温度を上昇させることの方がより快適な室内環境を実現できることが分かってきた。天井、壁が暖まるとそれ自体から放射熱が発生し、比較的低い温度であっても室内にいる人は暖かさを感じることができるからだ。また、室内の空気を汚染する心配もない。これまでのような室内の空気を直接暖める方式は室温が上昇している割には暖かさをあまり感じることができないことから快適性だけでなく省エネ上も問題があった。

◇遠赤外線とは

 これら条件を満たす暖房方式としては遠赤外線暖房があげられる。赤外線とは熱線のことであるが、この赤外線によって我々は暖房器具からの放射熱を感じることができる。遠赤外線は赤外線の中でも波長が長い、つまりエネルギーの低い側の熱線で、直接暖をとるには向いてないが少し時間をかけて遠隔的に天井、壁を暖めるには適している。また経済的でもある。

◇快適性、安全性に優れた床暖房

 今のところ遠赤外線暖房で推奨できるものには床暖房がある。床暖房は熱源の選択の幅が広く灯油、ガス、電気の他、屋根に設置した太陽熱温水器も利用できる。 床暖房は全室設備することが理想的だが予算的に問題があれば1階部分のリビング、ダイニング、台所、洗面所、浴室、手洗いに設置するだけでもかなり良い結果が得られる。工事費自体は高価であるが燃料費の節約がかなりできるので長い目で見れば結してぜいたくなものではない。(他に遠赤外線暖房としてはオイルヒーターなどがある)

 <参考3> 最近、床暖房による健康被害が問題になりつつある。今のところリューマチや低温火傷が被害として報告されている。居住者の使い方にも依るだろうが、具体的な因果関係が医学的に立証されているかは不明である。低温式床暖房を採用するのも対応策の一つとして考えられる。低温式は床の表面温度が一般のものより二度程度低く床材の種類にも制限がない。

 省エネ住宅で最低限注意したいこと

 1・間取りはオープンプランニング方式で行うこと

 オープンプランニング方式とは廊下のないプランでリビングルームを住宅の中心に設けてその周囲に玄関、階段、吹抜、ダイニング、各部屋を配置する方式で北米住宅では一般的である。利点としては廊下が無いぶんスペースが節約でき狭い住宅でも開放的な広さを実現できることだ。リビングに比較的大きめな冷暖房装置を設ければ前述したように吹き抜け、階段を通じて他の部屋にも効果を及ぼすことができる。夏場の風通しにも有効である。

 2・壁内結露の防止のため必ず外壁通気工法を採用すること

 壁内結露とは壁の内部の湿気が水滴になることである。壁の中は当然密閉状態なのでこの水滴は蒸発したり外部に逃げることがほとんどできず滞留することになる。結果的に建物を腐らせて耐久性を著しく損なう原因になるので社会問題にもなっている。特に断熱材を使用している住宅で被害が多く出ている。対策としては透湿シートを外側に貼ってさらに空気の流通経路を確保するために外壁材を20mm程度浮かして張るようにする。これを外壁通気工法という。(外壁を二重構造にして、通気層を設けることは、壁内通気だけでなく遮熱にも有効といえる)

<参考4> 省エネルギー住宅、構造別比較成績表

その成績をA、B、Cの三段階で評価してみた。
評価 1 限られた予算の範囲で省エネルギー性能を高める。(費用対効果)
木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造
A B C
木造が最も扱いやすく合理的である。

評価 2 予算に上限を設けず、省エネルギー性能を高める。
木造 鉄骨造 鉄筋コンクリート造
C B A
上記成績は気密性に比例している。

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