第6話 「15minutes」

(by みなみさん)

 モニターの前の坂本とタツヤ。
坂本「飛べるもんに恨みがある・・・ってわけじゃないだろうな?」
タツヤ「またか。あんたもいいかげんしつこいな。じきに動物や人間にも影響するさ。」

坂本「なるほど。でも、あの豚移動しにくそうだぜ、あんたと一緒で。」
じろっと横目でタツヤを見る坂本。
タツヤ「だから、俺は筋肉太りなんだ。俺の俊足を知らないな。あれだって見ろよ、足下はモーター付きだぜー。パワーあるぜー。」

坂本「パワーね。俺はないな。夏はいろいろ忙しいからきついんだ。」
タツヤをちょっとうらやましそうに見て、ため息をつく坂本。

 モニターを見ている大袈裟とVレンジャー。
あい「なあに?これ。」
三宅「豚だよ、豚。」
岡田「どっかで見たことあるんやけど。」
井ノ原「あれだよ、ほら、日本の夏。」
森田「キントリの夏。」
井ノ原「お前、漢字も読めないのかよ。ドリルかなんかやったほうがいいんじゃないか。」

大袈裟「待って。見かけは古めかしいが、これは危険な殺虫剤かもしれない。いずれ人間の身にもよくない影響が出てくるだろう。さあ、行け、Vレンジャー。」

 いっせいに玉を出し、変身するVレンジャーたち。

 しだいに住宅地に近づいていく豚、いや失礼、巨大蚊取線香。
 しだいに元気をなくしていく犬や猫たち。空を飛ぶ鳥はほとんどいない。
気分が悪くなって家に帰っていく人々。

 ブロッコ・ロボに乗ったVレンジャーたち。巨大蚊取線香の前に立ちはだかるブロッコ・ロボ。背中には思いっきり商事の文字。

森田「おい、お前はいったい何者だ?何をしているんだ?」
タツヤ「俺はアン・タツヤ・ブルーという。ジョーの仲間だ。この間はよくもリーダーを痛めつけてくれたな。」

 ふたりのVレンジャーがまったく違う言葉に反応した。
三宅「ブルー?俺の犬と同じじゃん。俺の一番好きな色だね。」
井ノ原「リーダー?あいつがリーダーだったのか。」
一瞬の間のあと、あきれて三宅のほうを見る4人。
岡田「あんなあ・・・・。まあええわ。それより、あんさんまだ質問に答えてへんで。何してんねんな。」

タツヤ「みんなのために蚊やハエを退治してるんだ。一日一善さ。」
三宅「待てよ。大量の殺虫剤は地球環境によくないじゃん。」
森田「そうだ。殺虫剤っていうのは、いわば虫にとっての毒薬だからね。あまり強力なものは人間にとっても自然にとってもよくないんだ。」

井ノ原「どっかで聞いたな。さっき大袈裟博士が言ってたことそのままじゃねーか。」

岡田「漢字は読めへんくせに、えらい記憶力ええな。」
森田「いや〜、暗記ってどうしてこんなに簡単なんだろうね。」
あい「もう。くだらないこと言ってないで、やるんならさっさとやっちゃいましょうよ。」

思わずひく4人。
タツヤ「よおし。なら、リーダーのリベンジだ。どっからでもかかってこい!」

あい「びじん?あたしが?きゃあん。」
タツヤ「ち・・・ちがう。リベンジ、復讐だよ。」
あい「なあんだ。じゃあ、いっちゃうもん。ラーメン大好きツル。」

巨大蚊取線香にせまっていくブロッコ・ロボ。
だが、近くまで行くと急にふらついてしまう。
あい「やだ〜。なんだか気分悪くなってきた〜。」
三宅「やっぱり人間に有害なんだ。」
森田「じゃあ、こっからあいつの豚鼻にシュートくらわせてやる。ラーメン大好きツル。」

ブロッコ・ロボの前に巨大なサッカーボールがあらわれる。ブロッコ・ロボはボールを豚の鼻めがけて蹴りつける。ボールはみごと命中するが、はねかえされてしまう。

森田「くそっ。もういちど・・・。」
井ノ原「待てよ。弱点をつかないとだめだ。」
三宅「弱点?」
井ノ原「見ろよ。あいつの脇腹にでっかい穴があるだろ?」
三宅「なるほど。そういや中に渦巻きみたいなもんが見えるね。」
井ノ原「ああ、蚊取線香だ。」
あい「なにそれ?蚊取線香って電気のコンセントにさしこむんでしょ?」
三宅「それは最近の話。昔は線香に火つけてたの。一晩もつようにちゃんと一巻8時間になってるんだから。」

森田「お前ってへんなことにくわしいよな。」
三宅「蚊取線香で時間がはかれるんだよ。裏ワザ、裏ワザ。」
岡田「そんならまかしとき。俺があんなかに入れてみせるで。ラーメン大好きツル。」


ブロッコ・ロボの前に透明な少しいびつなボールがあらわれる。
ブロッコ・ロボがそのボールを蹴ると、ボールは蚊取線香の穴の中へ吸い込まれていく。

岡田「やったで。命中や。」
森田「なんだよ。いまのボール。」
岡田「水風船や。ラグビーボール風の。頭ええやろ。これで火消えるで。」
三宅「消えてない。まだ火がついてる。」
岡田「そんなアホな。」
井ノ原「どうすりゃいいんだ。」
森田「でも、俺、いい作戦だと思う。どんどんやってこうぜ。」
あい「でも、さっきだめだったし。」
森田「さっきこいつが言ってたじゃん。時間がはかれるってさ。とにかくここで引き留めときゃ、いずれ火は消える。」

井ノ原「そうだな。あいつを人家の近くに行かせちゃだめだよな。」
岡田「よっしゃあ。じゃ、もいっちょ行くで。」
 巨大蚊取線香につぎつぎと水風船を放りこんでいくブロッコ・ロボ。しだいにくすぶっていく蚊取線香。


坂本とタツヤ。
坂本「おい、このままやられてしまう気か?」
タツヤ「すまん。俺、15分しかもたないんだ。」
坂本「15分?まあ、ウルトラマンの3分よりは長いといえるが。」
タツヤ「なにしろ15minutesのメンバーなもので。」

岡田「とどめにタックルや〜!」
タックルしようとするブロッコ・ロボ。だが一瞬早く巨大蚊取線香はすごいスピードで駆け抜けていく。地面にしたたかに顔をぶつけるブロッコ・ロボ。


Vレンジャー本部。
大袈裟「よくやった、きみたち。まだまだ敵はやってくるだろうが、この調子でがんばってくれ。地球の平和のために。」

うなずくVレンジャー。

ナレーション「今日もひとつの戦いは終わった。だが戦いはまだはじまったばかり。明日は君の街にVレンジャーがあらわれるかもしれない。鉄板DISHのメンバーたち、覚悟して待っていろ!」

TO BE CONTINUED!


いかがでしたかー?
みなみさん、ありがとうございます<(_ _)>
Vレンジャー、来週もアップします、お楽しみに!

(1999.8.26UP)


Vレンジャートップへ戻る

メインのぺージへ