第5話 「太めのブルー」

(By みなみさん)

(映像)向かい合ってにらみ合うVレンジャーの五人と鉄板DISHの五人のシルエット。

ナレーション「ついに牙をむいた鉄板DISH。最初の一人、アイランド・ジョーの挑戦を退けたVレンジャーに新たな戦い、新たな敵がせまる。

勝つのは正義か?それとも悪なのか?
これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」
 
坂本の地下工場。
坂本と鉄板DISHの五人が輪になって話しこんでいる。
ジョー「すまん、やられてしもうたわ。でも、あいつらひきょうやねんで。」

坂本「ひきょう?なんか一方的にやられてたように見えたけどな。」
ジョー「誰や知らんけど、ロデオやゆうてんのに踏みつけよったんや。」
男1「そんなのやり返せよ!目には目をっていうだろ。」
ジョー「ヒステリーみたいにぼこぼこ踏みつけるねんで。そんなん殺生や。」

男2「しかたない。リーダーのフォローはできるだけ俺たちでやろう。」
男3「今度は負けられないしな。」
男4「よし、じゃあ次は俺が行く!」
男1「頼んだぜ、タツヤ。」
タツヤと坂本を残し、男たちは去っていく。

Vレンジャー本部。
大袈裟とVレンジャーが輪になって花火をしている。
あい「きゃあ〜!火がこっちに飛んできた〜。」
三宅「ごめん、ごめん。べつにそっちに向けたわけじゃねーんだけど。」
井ノ原「だめだよ、気をつけなきゃ。あいちゃんが火傷でもしたらどうするんだよ。」

森田「じゃあ井ノ原くんならいいんじゃん。」
森田が井ノ原のほうに花火を向ける。
井ノ原「わあ〜っ!な、なにすんだよ、てめえ!」
森田「ひゃっほー!」
逃げる森田と追いかける井ノ原。あきれたように見ている大袈裟と他の3人。

三宅「あいつら子供みてー。」
岡田「自分もそう変われへん思うで。」
大袈裟「そのとおり。で、あいちゃん火傷しなかった?」
三宅「自分のほうこそ変わんないんじゃん。」

坂本の地下工場。
あとに残された坂本とタツヤ。
坂本「お前はジョーにくらべてずいぶん体格がいいな。」
タツヤ「ああ、俺、体力には自信あるぜ。あんたちょっと体力なさそうだけど。」

坂本「最近めっきり体力なくなっちゃって・・・。と、俺のことはいい。お前、名前はなんだ?」

タツヤ「俺はアン・タツヤ・ブルー。タツヤと呼んでくれ。」
坂本「(ぼそっと)アル・カポネのほうじゃないのか・・・。」

Vレンジャー本部。
岡田「しかし、あれやな、あのなんてゆうんやったっけ?機械のおばけみたいなやつ、関西弁の、あいつなんやったんやろうな?」

あい「関西弁?そうだったっけ?覚えてない。」
三宅「だって、逆ギレして、ルール無視でやっつけてたじゃん。」
あい「だって揺れるし、変なこと言うし、むかついてたんだもの。」
岡田「あんときは、見ててこわかった。」
あい「もうっ!」
パッシーン!とあいが岡田の左頬をたたく。
岡田「いてっ!なにすんねん。」
あい「蚊よ、蚊。」
と言い捨てるとその場から立ち去っていくあい。
見ると、岡田の顔にぺしゃんこの蚊がはりついている。
森田「うひゃひゃひゃひゃ・・・。お前血吸われてやんの。」
岡田「なんでやろ。俺、いっつも蚊にかまれんねん。」
井ノ原「そういう奴いるよな。おいしそうなんだろ。」
三宅「でも、この夏って蚊多そうじゃねえ?」
井ノ原「そうだ。大袈裟博士、効き目ばつぐんの殺虫剤作ってくださいよ。」

大袈裟「殺虫剤っていうのは、いわば虫にとっての毒薬だからね。あまり強力なものは人間にとっても自然にとってもよくないんだ。」

森田「そんなこと言って、できないだけじゃねーの?」
大袈裟「そ、そ、そんなことはありませーーん!」
大袈裟に手を振り、否定する大袈裟。あきれて見ている4人。

地下工場。
ヘルメットをかぶり、なにかイメージしているタツヤ。モニターを見守る坂本。

モニターになにか巨大な生物のようなものが浮かび上がってくる。

Vレンジャー本部。
井ノ原「あ〜あ、あいちゃん行っちゃったじゃないか。お前らのせいだぞ。」

森田「もういいよ。でも、男だけのほうが楽しくねぇ?」
三宅「女の子ってわがままなんだよね。で、何の話してたんだっけ?」
岡田「あいつの話や。あのでかいトラクターみたいなやつ。機械のくせに人間のようにしゃべっとった。」

井ノ原「そういや、あの動きはまるで生きてるみたいだったな。」
森田「俺たちのロボットと同じみたいなもんじゃねーの?操縦してんだよ、きっと。」

三宅「でも操縦席に誰かいたっけ?」
いつのまにか四人の近くに大袈裟が来ている。
大袈裟「あれは、きっと坂本くんのしわざだ。」
井ノ原「坂本くん?!」
森田「誰だよ、それ。」
大袈裟「今はまだ言えない。だが、彼こそが我々の敵だ。きっと君達のような戦士をよんできたんだろう。」

三宅「じゃあ、さっきのやつがその戦士ってわけ?」
大袈裟「たぶんそうだろう。まだ、ほかにも仲間がいるかもしれない。」

住宅地に程近い公園の中。
巨大な一匹の豚があらわれてくる。
ピンクがかったベージュの体。大きな平べったい鼻。なぜか脇腹には大きな空洞。
 背中のてっぺんには可愛らしく枝を結んだ取っ手のようなものが付いている。

モニターの前の坂本とタツヤ。
坂本「おい、なんなんだ、あれは?豚か?豚にしちゃ変だぜ。」
タツヤ「うるさいなあ。蚊取線香だよ。」
坂本「蚊取線香?お前、蚊が嫌いなの?いかにも蚊に食われそうだもんな。」

タツヤ「どういう意味だよ?」
坂本「いや・・・。太りすぎてるんじゃないか?そんな気がする。」
じろっと一瞬坂本を見るが、すぐに笑顔になるタツヤ。
タツヤ「ははは・・・。俺、筋肉太りなんだよ。じつは今ダイエット中なんだ。
ははは・・・。」

坂本「まあ、がんばってくれよ。健闘をいのるぜ。」
タツヤ「よし、じゃあ殺虫剤噴射だ。」

 豚の蚊取線香から白い煙が立ちのぼる。
 みるみるうちにハエが、蚊が地面に落ちてゆく。小鳥も墜ちてゆく。

 大袈裟とVレンジャー4人のところへ、あいが帰ってくる。
井ノ原「あ、あいちゃ〜ん。帰ってきてくれたんだ。」
あい「それが、なんか変なの。帰ろうとしたら、鳥や虫が道に落ちて死んでるの。」

三宅「羽根のあるもんばっかじゃん?天使も、なんてことないよな。エンジェル三宅。」
岡田「何やねん、それ。」
三宅「俺、そう言われてたことがあるんだ。」
森田「ばっかじゃねーの。でも何があったんだろ?」
大袈裟「どうも気になるな。モニターで調べてみようか。」

TO BE CONTINUED!


Vレンジャー第5話は、みなみさんが書いてくださいました!
前編後編に分けてお送りします。たっぷりお楽しみください!


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