第4話 「秘められた力」


(映像)土埃を上げながら走り回る巨大トラクター。ブロッコ・ロボを見上げるVレンジャーの五人。
ナレーション「ついに五人そろったVレンジャー。彼らは、それぞれの思いを胸に、戦いの場へと足を進めるのだった。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 空を飛んでいるブロッコ・ロボ。操縦席から五人が地上を見下ろしている。
あい「すごーい。ほんとに飛ぶんだ。かっこいー」
井ノ原「すごいだろ。俺たちの思い通りになるんだぜ」
岡田「Vレンジャーになってよかったやろ」
あい「うん。よかった。おもしろーい」
 地上に、走り回るトラクターが見える。
森田「あれらしい」
三宅「あれっ、生き物の格好じゃないんだ」
 ゴゴゴゴゴゴと音を立てながら着陸するブロッコ・ロボ。着地するとズシーンという音と共に土埃が舞い上がる。背中の「おもいっきり商事」の文字のアップ。

 おもいっきり御殿の居間でテレビを見ているみの。
「いいよ、いいよ。その調子」

 Vレンジャー本部。必死の形相で、コンピューターを操作している大袈裟。
「わからない。彼女の能力は何なんだ……」

 巨大トラクターはブロッコ・ロボの方を向いて停止する。トラクターからジョーの声。
「来よったな。何やしらんけど、痛い目にあいとうなかったら手出しせんほうがええで」
 操縦席では、岡田がビックリしている。
「何や、関西の人間らしいな」
森田「関西人同志で戦ってみろよ。イエロー、お前にまかせる」
岡田「よっしゃ。ラーメン大好きツル!」
あい「何よ、今の」
井ノ原「パスワードなんだ。今の言葉を言った人間の思い通りに動くんだ」
あい「かっこ悪い……」

 坂本の地下工場。モニターを見つめる坂本とジョー。

 巨大トラクターからジョーの声。
「さあ、かかってこんかい」
 それへ、ブロッコ・ロボから岡田の声。
「あんさん、関西の人らしいな」
ジョー「おや。そういうあんさんも」
岡田「俺は大阪や」
ジョー「俺は奈良やねん」
岡田「なんでそんなかっこうになっとんの」
ジョー「そっちこそ、ブロッコリーっちゅうのはいただけんな」
岡田「これには深い訳があるんや。とにかく、俺らはVレンジャーとして、あんさんをやっつけなあかん」
ジョー「ほう、Vレンジャーちゅうんかい。ま、とにかく勝負しよ」
岡田「どないして勝負決めるねん」
ジョー「ロデオでどうやろ」
岡田「ロデオ?」
ジョー「そうや。俺の上にそっちのロボットが乗るんや。五分間落ちないで乗っていられたらそっちの勝ち、五分たたんうちに振り落とせたら俺の勝ち。これでどうや」
岡田「おもしろそうやん。けど、こっちは五人おるから、五回勝負やで」
ジョー「おお、五回だろうがおせっかいだろうが、受けて立っちゃるわい」
岡田「……」
ジョー「どないした」
岡田「ま、ええわ。ほな乗らしてもらうで」
ジョー「おお、しっかりつかまっとれよ」
 ズシンズシンと音を立てながらトラクターに乗るブロッコ・ロボ。
 牧場の人たちが不安そうに見守る。
ジョー「ええか」
岡田「おお」
 途端に暴れ始める巨大トラクター。ブロッコ・ロボは必死にハンドルにしがみつくが、ほどなく放り出されてしまう。
岡田「あいたたた。やられてもうた」
ジョー「どうや。まいったか」

 地下工場。モニターを見ていた坂本の表情が少しゆるむ。

 コンピューターを操作している大袈裟。

 ブロッコ・ロボの操縦席。
井ノ原「今度は俺にやらせろ。ラーメン大好きツル!」
 再びトラクターに乗るブロッコ・ロボ。
ジョー「ええか」
井ノ原「さあ来い!」
 暴れ回る巨大トラクター。ブロッコ・ロボは必死にハンドルにしがみつく。
 ブロッコ・ロボの操縦席。ガクンガクンと大揺れに揺れている。
あい「きゃー。やめてー」
森田「しっかりつかまってろ」
三宅「何か、気持ち悪くなってきた……」

 コンピューターの画面を見つめる大袈裟。愕然とした表情。
「まさか……そんな……」

 地面に倒れているブロッコ・ロボ。
ジョー「何や、口ほどにもないやつらやな」

 坂本の秘密工場。
 モニターを見てにっこりしている坂本。
 ヘルメットをかぶったジョーもにやり。

 ブロッコ・ロボ操縦席。
森田「今度は俺だ。ラーメン大好きツル!」
 すっくと立ち上がるブロッコ・ロボ。巨大トラクターがその足元に近づく。
あい「ちょっと待ってよ。もう、いい加減にしてよ」
井ノ原「そんなに怒んなくたっていいじゃん」
あい「だいたい何なのよ、その、ラーメン大好きツルって」
 途端に動きが止まるブロッコ・ロボ。
三宅「だから、このロボットを動かすためのパスワードなんだよ」
森田「あれっ、動かないぞ」
岡田「ピンクがパスワード言うたからやろ」
森田「そうか。ラーメン大好きツル!」
 再びトラクターに乗ろうとするブロッコ・ロボ。
あい「もうやめなさいよ、そのラーメン大好きツルっていうの」
 またもや動きが止まるブロッコ・ロボ。
三宅「それを言っちゃうと、その人が操縦することになっちゃうんだよ」
森田「また止まっちゃったじゃないか」
あい「そんな変なこと言わないとやっつけられないの」
井ノ原「そういうふうにできてるんだよ」
あい「もう、超むかつく」
 ブロッコ・ロボが突然トラクターを踏みつける。
ジョー「うわっ、何やねん」
あい「ほんとにもう、頭にきた」
 ドンドンドンドンと巨大トラクターを踏みつけるブロッコ・ロボ。
ジョー「何やこれ。約束が違うで」
あい「あたしは何にも約束してないもん」
ジョー「そんな、かんにんや」
 情け容赦なくトラクターを踏みつけるブロッコ・ロボ。

 坂本の工場。
 ヘルメットをつけたままのたうち回るジョー。

 ブロッコ・ロボの操縦席。きつい表情でトラクターをにらみつけているあい。ほかの四人は完全に引いている。
 そこに大袈裟の声。
「レッド、ブラック、ブルー、イエロー、聞こえるか」
四人「聞こえる」
大袈裟「今は、ピンクには聞こえないように通信している。彼女の特殊能力がわかった」
 画面が四分割され、それぞれ、森田、井ノ原、三宅、岡田のアップになる。
大袈裟「彼女はアイドル歌手をめざしていると言っていたよね」
井ノ原「ああ、言ってたね」
大袈裟「それが重要だったんだ」
森田「どういうことだ」
大袈裟「アイドルと言えば」
岡田「かわいい」
大袈裟「それは外見だ。彼女の能力は内面的なことなんだ」
三宅「何だよ、アイドルの内面って」
大袈裟「最近はそうでもないが、昔はアイドルの性格はこうと決まっていた」
四人「性格?」
大袈裟「そう。彼女の性格は人一倍ある面が強いんだ」
 あいの方をちらっとみる四人。

 ほとんどぺしゃんこになりかけている巨大トラクターを休むことなく踏みつけているブロッコ・ロボ。

 再び四分割の画面。
大袈裟「彼女の特殊能力は」
四人「……」
大袈裟「わがまま、だ」
四人「わがまま?」

 ブロッコ・ロボがなおも踏みつけようとした時、突然巨大トラクターが消え、空を踏んだブロッコ・ロボはつんのめる。

 Vレンジャー本部。モニターには操縦席の五人が映っている。それに向かって話す大袈裟。
「これで君たちの能力ははっきりした。もう何も恐れることはない。世界の運命は君たちにかかっている。頼むぞ、Vレンジャー」
 不安そうにあいを見る四人。
あい「あー、さっぱりした」

 坂本の工場。
 気絶しているジョーからヘルメットをはずす坂本。暗い表情。

 夕日を顔に受け、丘の上に立っているVレンジャー。
 一人ずつアップになる。
(森田のアップ)Vレッド。サッカー戦士。
(井ノ原)Vブラック。ボウリング戦士。
(三宅)Vブルー。スイミング戦士。
(岡田)Vイエロー。ラグビー戦士。
(あい)Vピンク。アイドル戦士。

 丘のふもとには牧場があり、のんびり歩いている牛たちが見える。
 どこからか「ゴーン」と鐘の音。お寺で若い坊さん(オド峰千)が鐘を撞いている。
ナレーション「戦い済んで日が暮れて、今日もお寺の鐘が鳴る。しかし、本当の戦いは始まったばかりだ。行け、Vレンジャー! サイコーにナイスな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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