第27話 「運命の出逢い」

ナレーション「肉弾戦も辞さない鉄板DISHは、無謀にも自転車でのおいかけっこを仕掛けてきた。それをミラクル・スクーターで迎え撃つVレンジャー。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 必死に自転車をこぐトモヤと、ミラクル・スクーターでそれを追うVレンジャー。

 挿入歌「ミラクル・スクーター」

普通に人が住む町に 手強い敵が来る
僕らの戦いはまだ いつまでも続く
最高なメカに乗って 戦う五人
宣伝も欠かさない 資金を集めたい
Let's go! Now, ride on a motor scooter.
MIRACLE SCOOTER
決戦に出かけよう
倒せ 坂本 鉄板 DISH
そんな敵さえも 苦しめる Dr.大袈裟♪

 歌の間にトモヤはどんどん追いつめられる。
トモヤ「きたねえぞ、お前ら」
森田「何言ってんだよ。そっちが勝手に勝負しろって言ったんだろ」
トモヤ「そんなこと言ったって」
井ノ原「言ったって何だよ」
 トモヤは必死に自転車をこぐが、回りを囲まれてしまう。
 トモヤを囲んで止まるスクーター。とたんにミラーがくるくる回り、音楽が流れ、「おもいっきり商事」の声。
 ちょっと恥ずかしそうなVレンジャーの五人。
トモヤ「何だ、今の」
井ノ原「何でもいい。俺のサムライ・ソードを食らえ」
と、井ノ原が武器を手にし、トモヤに向かって踏み出す。身構えるトモヤ。
 井ノ原がサムライ・ソードを振りかぶり、一気に振り落とした瞬間、トモヤの姿が消える。
岡田「またや」
三宅「これじゃとどめがさせないよ」
 その時また、音楽と「おもいっきり商事」の声。
 力が抜ける五人。

 坂本の秘密工場。
 肩で息をしているトモヤ。
坂本「自分が疲れただけじゃないか」
トモヤ「だって、あいつら卑怯なんだもん」
マボ「どうしてこう、うまく行かないんだ」
タイチ「俺が迷ってたのがいけないんだ」
坂本「とにかく、理屈はなしで、結果を残してくれ」
タイチ「今度はしっかりやるよ」
マボ「ところで、あんた何か作ってたみたいだけど」
坂本「ああ。君らだけに任せて俺だけ楽してるわけにはいかないからな。俺も俺でやってみる」
タイチ「何か武器を作ったのか」
坂本「俺は体力はちょっと自信がないから、頭を使うよ。あいつらを内部分裂させてやる」
マボ「どうやって」
坂本「これさ」
と、手にした携帯電話を見せる。

 五人並んでスクーターで走るVレンジャー。
 風を受け、皆笑顔。

 坂本の秘密工場。
 坂本、タイチ、マボ、トモヤがいる。
坂本「ロボットを出す前に、俺にちょっとやらせてくれ」
マボ「戦うのか」
坂本「そうじゃない。ま、お楽しみ、というところだ。君らに出て貰うのはもう少し後にしよう」
 坂本は意念具現化装置のヘルメットをかぶり、何か思い浮かべる。目の前にぼんやりと人の形が現れる。
 坂本はニヤリと笑う。
 首を傾げるタイチたち。

 町の人混みの中を歩く井ノ原。
 すれ違いざま、肩がぶつかる。カランと何か落ちた音。ムッとして相手をにらむが、相手が女の子(中山エミリ)なのですぐにニッコリ。
エミリ「あ、ごめんなさい」
と頭を下げ、井ノ原の足元を見る。携帯電話が落ちている。
 エミリがそれを拾おうと手を伸ばすと、先に井ノ原が手に取り、
「はい」
と渡す。エミリは顔を赤らめ、
「ありがとう」
と礼を言い、井ノ原の顔をじっと見る。
井ノ原「ん? どうしたの」
エミリ「どこかで……」
井ノ原「え? 会ったことあるかな」
エミリ「いえ、勘違いです。ごめんなさい」
と小走りに去っていく。それを見送る井ノ原。

 坂本の秘密工場。
坂本「いいか、言った通りにやってくれ」
タイチ「わざとっていうのがなあ。じゃあこうしよう。今回俺が考えたのは次に回すよ。で、今回はリーダーになったつもりでやってみる」
坂本「仇討ちか」
タイチ「っていうか、リーダーになったつもりにでもならないと、できないよ」

 Vレンジャー本部。
 三宅が入ってきて、緊張した顔つきで、大袈裟に話しかける。
「ねえ、博士」
大袈裟「ん?」
三宅「武器のことなんだけどさ」
大袈裟「君用の武器か」
三宅「うん。こないだから、間近なところで敵を見るようになって……」
大袈裟「そうだね。敵も必死になってるんだろうね」
三宅「で……やっぱり、僕、Vセーバーやサムライ・ソードみたいのは……」
大袈裟「大丈夫だよ。君には、離れて相手を攻撃できるようなのを作ってあるんだ」
三宅「ありがとう。ごめんね、臆病で。俺ってダメなやつなんだ」
大袈裟「何を言ってるんだ。君は充分勇敢に戦ってくれてるよ」
 そう言ってとびきりの笑顔を見せる大袈裟。それを見てホッとしてほほえむ三宅。

 町を行く人々。
 その上を巨大な影が音もなく通り過ぎる。人々が見上げると、巨大な鳥が飛んでいる。
「何だあれは」
「怪獣だ」

 坂本の秘密工場。
 意念具現化装置のヘルメットをかぶっているタイチ。そばにはマボと坂本。
タイチ「くどいようだけど、これは俺じゃないんだからね。リーダーのつもりなんだから」

 空を飛ぶ巨大な鳥。体は鳥だが、顔が映ると、それはアイランド・ジョー。
 テレビのリポーターがそれを指さし、
「ご覧下さい、世にも不気味な巨大な鳥が飛んでいます」

 Vレンジャー本部。
 モニターを見ている大袈裟と三宅。
大袈裟「何だこりゃ」
三宅「あの顔、鉄板DISHの一人ですよね」
大袈裟「よし、出動だ。さっきの武器を試せるかもしれない。あそこまで君がカロチン・ロボを操縦していってくれ。あとのメンバーは現地に集合させる」
三宅「はい」

 空を飛ぶ人面鳥。
 不安な顔でそれを見上げる人々。その中に中山エミリもいる。その首には、携帯電話をぶら下げるストラップがかけてある。

 カロチン・ロボ操縦席。
三宅「ラーメン大好きツル! カロチン・ロボ発進!」
 ゴゴゴゴと上昇し始めるカロチン・ロボ。
三宅「それにしても、このパスワード、どうにかならないのかな」

 人面鳥のいるところを目指してスクーターで走る残りのVレンジャー四人。

 人面鳥は、ジョーの声で、
「はよ来い、Vレンジャー。はよ来んとこっちが疲れてしまうで」

 カロチン・ロボ操縦席。
 首にかけた銀のアクセサリーに手をやる三宅。
 ちょっとずらして口に当ててみる。

 スクーターを走らせる井ノ原。人面鳥を見上げる人々の中にエミリを見つける。エミリも井ノ原に気づき、笑顔を見せる。
 笑顔で頷いて走り去る井ノ原。その背中には「おもいっきり商事」の文字。
 エミリはじっとそれを見送る。

 地響きを立て、地面に降り立つカロチン・ロボ。その背中の「おもいっきり商事」の文字のアップ。
 運転席にバラバラと残りの四人が乗り込んでくる。
井ノ原「何だろう、あいつ」
岡田「顔は鉄板DISHやな」
あい「なんか、気持ち悪い」

ナレーション「あらゆる手を使ってVレンジャーを倒そうとする鉄板DISH。坂本の作戦とは何か。Vレンジャーの危機は続く。行け、Vレンジャー、底抜けにステキな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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