第26話 「新メカ登場」



ナレーション「すっかりおちゃらけモードに復帰したVレンジャー。今日もまた、Vレンジャーの苦闘は続く。しかし、大袈裟博士は敵を迎え撃つための新メカを完成させつつあった。これは正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 坂本の秘密工場。
 マボ、タイチ、トモヤ、坂本で作戦会議中。
マボ「リーダーとタツヤは疲れてるから、今度は俺たちでやろう」
 頷くタイチとトモヤ。
坂本「何かいい手があるのか」
タイチ「まず、やっぱり直接対決だけじゃだめだ。ロボットも使おう」
マボ「そうだな。じゃあ、タイチはロボットのアイディアを考えてくれ」
トモヤ「俺は?」
マボ「とにかくあいつらを疲れさせよう」
トモヤ「分かった。やってみる」
坂本「また走るのか」
トモヤ「俺が得意な乗り物があるんだ。ちょっと取りに行ってくる」
と言ってトモヤが出ていく。タイチも、
「俺もアイディア練ってくるよ」
と出ていく。
 一人残ったマボが、坂本に向かい、
「あの話だけどさ」
坂本「何の話だ」
マボ「若返りの秘法だ」
坂本「欲しいのか」
マボ「俺はまだいらない。でも……」
坂本「でも、なんだ」
マボ「手に入ったら、リーダーにだけは使わせてやってくれないか」
坂本「ほう」
マボ「リーダー、自分じゃ永遠のティーン・エイジャーなんて言ってるけど、誰が見たって中年にしか見えない。せめて実年齢くらいの体にはしてやりたいんだ」
坂本「なるほど。人ごとじゃないな。分かった、そうしよう」
マボ「頼む」
坂本「しかし、なぜそこまであいつのことを心配するんだ。言っちゃあ悪いが、あまり頼りになるようなやつには見えないけど」
マボ「そりゃあ……。まあ、足を引っ張られることもあるし、腹が立つこともある。ケンカだってずいぶんした。でも、リーダーがいたから俺たちがここまで来られたんだ。これは嘘じゃない。大切な仲間なんだ」
坂本「仲間、か……」

 坂本の回想。
 大学の研究室。談笑しながら器具を操作している坂本と長野。

 おもいっきり御殿の居間。
みの「いいねえ、それ。五人でやるんだね」
大袈裟「はい。バラバラになっているときも宣伝できます」
みの「よし。やってもらおう。資金を出そう」
大袈裟「ありがとうございます」

 坂本の秘密工場。
 タイチが怪獣図鑑を見ている。
「うーん、どれにしようかなあ」
 坂本はあきれたような顔で見ている。
マボ「あの女がとにかくやっかいだ」
坂本「女か……」

 おもいっきり御殿のとてつもなく広い庭。
 みのさん、大袈裟、Vレンジャーが、スクーターを取り囲んでいる。
大袈裟「これが君たち用に作ったメカだ」
森田「スクーター?」
大袈裟「そうだ。これで移動すれば楽だろう」
井ノ原「一人一台ずつ?」
大袈裟「もちろん」
三宅「ラッキー!」
岡田「気前いいやん」
大袈裟「お礼はみのさんに言ってくれ。気持ちよく資金を出してくださった」
五人「ありがとうございます」
 それってみのさんに頭を下げる五人。みのさんはニコニコしながら、
「いやあ、いいってことよ。これに乗ってどんどん走り回ってくれ」
 それを聞いたあいが、スクーターを細かく調べる。
大袈裟「どうしたの」
あい「だって、どっかにおもいっきり商事って書いてあるんじゃないかと思って」
みの「文字は君たちの背中だけで充分。これにはそんなことは書いてないよ」
大袈裟「とにかく乗ってみてくれ」
森田「よし」
 森田がスクーターにまたがり、エンジンをかけ、広い庭を走ってみる。音も静かで軽快な走り。
井ノ原「いいじゃん、いいじゃん」
 庭を一周してみんなの所に戻り、ブレーキをかけるとバックミラーがくるくる回り、「チャンカチャンカチャン」と音楽が流れ、「おもいっきり商事」という声がする。
森田「なんだよこれ」
大袈裟「そういう仕様になっている」
三宅「仕様って……」
大袈裟「停止するとそうなるんだ。停止している間は、十秒に一回今のようになる」
 そのとたん、またミラーが回り、音楽と「おもいっきり商事」という声。
 顔を見合わせるVレンジャー。
みの「いいねえ、この音楽、このせりふ。これでどんどん宣伝してくれ」
大袈裟「そういうことなんだ」
あい「やっぱり……。変だと思った」
岡田「名前ついとんのかいな」
井ノ原「また変な名前なんだろう」
大袈裟「君たちは僕のセンスを信じてないな」
 深く頷く五人。
大袈裟「これにはちゃんとかっこいい名前がついてる」
三宅「何て言うの」
大袈裟「ミラーがくるくる回るだろう。ミラーがくるくるでミラクル。ミラクル・スクーターだ」
五人「ミラクル・スクーター」
大袈裟「いい名前だろう」
井ノ原「まあ、悪くないね。どうせなら二人乗りにしてくれれば、女の子と乗れるのに」
大袈裟「贅沢言うなよ。もう五人分作ってある。好きなだけ乗り回してくれ。ただし、ガソリン代は自分持ちだ」
 顔を見合わせる五人。みのさんはただにこにこしている。

 坂本の秘密工場。
「どれにしようなかなあ」
 怪獣図鑑を手に、まだ迷っているタイチ。
 坂本はまったく気にせず、なにか器具を作っている。
マボ「どれでもいいから、早く決めなよ」
タイチ「そういうなよ。これならやっつけられるっていうのじゃないとダメだよ」
 そばにすわっていたトモヤは、
「じゃあさ、とにかく俺一人で行ってくるよ」
マボ「大丈夫か」
トモヤ「大丈夫、大丈夫。疲れさせるだけなんだから」
 坂本は相変わらず机に向かって何か作っている。

 Vレンジャー本部。
 大袈裟と五人がくつろいでいると、突然モニターに、ヘルメットをかぶりサングラスをかけたトモヤの顔が映る。
トモヤ「Vレンジャー、出てこい! 俺と勝負だ」
 驚いて立ち上がる六人。
トモヤ「どうした、何とか言え」
森田「どうやって勝負するんだよ」
トモヤ「おいかけっこだ」
井ノ原「またかよ。お前ら何考えてんだよ」
トモヤ「へーん、俺を捕まえられないんだろ」
岡田「アホやなあ。こっちはすごいメカがあるんやで。いくら走るんが得意でも逃げられん」
トモヤ「だったら勝負しろよ」
 大袈裟は五人を見回し、
「やるしかないだろう。ミラクル・スクーターの威力を見せてやれ」
森田「よしっ、やろう!」
 五人は玉を出して変身する。

 広い道路。
 自転車にまたがったトモヤが待っているところへ走ってくる五台のスクーター。Vレンジャーが乗っている。
トモヤ「何だよ、自転車じゃないのかよ」
あい「あたしはそんな約束してないもん」
岡田「どうや、これには勝てんやろ」
 トモヤは一瞬迷うが、
「ふざけるな。俺の実力を見ろ。さあ、捕まえてみろ」
と言うと走り出す。それをスクーターで追う五人。

 坂本の秘密工場。
 モニターを見ている坂本、マボ、タイチ。
坂本「これは無理だろう」
タイチ「いや、トモヤはあんなもんには負けないよ」

 自転車で走るトモヤとスクーターに乗ったVレンジャーの映像。
 Vレンジャーを後ろから映すと、背中にはしっかり「おもいっきり商事」の文字。


ナレーション「鉄板DISHには鉄板DISHの厚い友情があった。しかし、Vレンジャーも負けるわけには行かない。新しいメカの威力を見せつけろ。行け、Vレンジャー。底抜けにステキな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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