第24話 「オールスター感謝祭」

(by みなみさん)

ナレーション「我らがVレンジャーと宿敵鉄板DISHは来る日も来る日も戦いつづけた。火と水のように、昼と夜のように、空を飛ぶ鳥と地を這う虫のように、光と闇のように、与党と野党のように、マクガイアとソーサのように、武蔵と小次郎のように・・・」

坂本「おい、もういい。いいかげんにしろ。」
ナレーション「吉良上野之介と赤穂浪士のように、エリザベスとメアリのように、オヤジとコギャルのように、駐車違反ドライバーと婦人警官のように、某有名監督夫人と某大物女優のように・・・」

坂本「だから、もうやめろって言ってるだろ。」
ナレーション「広がりゆくハゲと増毛のように、ゴキブリと殺虫剤のように、ギャンブル狂の夫と倹約家の妻のように、負ければ引退のがけっぷち・・」

(効果音:どかっ!ばきっ!ぼこぼこぼこっ!・・・・・・・・・・しばらくの静寂の後、救急車のサイレン音)


坂本「やっと落ち着いて話せるな。君たちに集まってもらったのはほかでもない。俺にはこの時期、どうしてもやりたいことがある。」

坂本の地下工場。鉄板DISHのメンバーが顔をそろえている。
ジョー「なんやねん、やりたいことって。歳末助け合い募金とか言わんとってや。出血やなくて、俺らは鉄板DISHやから、出皿大サービスなーんちって。」

坂本「・・・・・」
トモヤ「ぎゃはははは・・・リーダー、いまのいい線ついてると思いますよ。あ、チャリティーコンサート、じゃなくてチャリンココンサートじゃねーの?世界中の恵まれない子供達のためにってやつ。」

坂本「・・・・・・・・・・」
マボ「ばっかだなあ、お前ら。わかってんのか?俺たち悪役なんだぜ。」
タツヤ「そうそう。そんなことあるわけないだろ。」
坂本「うるさい。」
タイチ「え?なに?なに?なに?まさか本気だってこと?」
坂本「そんなもんじゃねー。だが、メンバーが足りない。」
ジョー「気ぃわるいなあ。うちらだけじゃ不足ってことでっか?」
坂本「あいつらの協力が必要だ。」
マボ「マッチさんに頼むのはまずいんじゃねーの?これだけ集まっといて、まだたいした成果はあがってねーしな。」

坂本「だから、あいつらに頼む。」
タツヤ「あいつらって誰だ?」
トモヤ「まさか・・・ね?」
タイチ「うっそ。ばっかじゃねー?そんなんありかよ?」

Vレンジャー本部。
坂本からの手紙を前に考えこんでいる大袈裟とVレンジャー。
大袈裟「君たち、坂本くんはこう言ってるけどどうする?」
井ノ原「しかし、きったねー字だなあ。それになんだって手紙なんだよ。テレビ電話とかモニターとかあるだろうに。だいたいあいつ、機械関係得意なんだろ?」

岡田「まあ、そんなんええやんか。それよりどないすんねんな。」
あい「あたし、べつにいいけど。」
大袈裟「えっ?いいの?」
あい「うん。だってあたしそういうの得意分野だし、慣れてるし。」
三宅「そういう感じだよね。じゃ、俺もべつにいいや。」
森田「かったるい。」
井ノ原「なんだよ、お前。みんなやる気になってきたってのに。」
森田「俺、そういうめんどくさいことイヤ。」
岡田「そんなん言わんときーや。俺もべつにええで。」
井ノ原「じゃ、俺もOK。ほら、お前もやろうぜ。」
森田「・・・しゃーねーな。」
大袈裟「そう。じゃあみんなでやろう。」

坂本の地下工場。坂本、鉄板DISHに加え、大袈裟、Vレンジャーが集合している。

森田「やっぱりひきうけるんじゃなかった・・・」
大袈裟「なに言ってんだ。このごにおよんで。」
タツヤ「いや、むしろ俺たちのほうが後悔してますよ、ここだけの話。」
三宅「で、いったい何をするの?」
トモヤ「スノー・ホワイトって言ってたけど。雪印のなんか?」
マボ「ばーか。白雪姫のことだよ。」
井ノ原「白雪姫?学芸会かよ。で、誰がやんの?」
岡田「そりゃあ、あいちゃんやろ。」
ジョー「げっ、あの女や。まあ、紅一点やからそやろなあ。あと王子と魔女の王妃と7人のこびとや。」

タイチ「全部で10人だよ。坂本くんが演出やるらしいから、ひとりあまるよね。」

森田「あ、俺。俺、役なし。」
井ノ原「なに言ってんだ。どう見てもこびと役だろ。」
あい「じゃあ裏方さんやってもらえばいいじゃない。小道具運んだり、食べ物とか飲み物買ってきてもらったり。」

森田「・・・じゃあこびとでいい。」
岡田「つくづく勝手なやつやなあ。で、ほかの配役はどうなってんねん。」
坂本「ここに書いてある。いまから台本を配るから、みんなせりふを暗記しろ。」

三宅「えっらそうに・・・」

演目『白雪姫と7人のこびと』
演出:坂本昌行
小道具・音楽・照明・・・etc. :長野博
キャスト
白雪姫:加藤あい
王子:ロング・トモヤ
こびと1:アイランド・ジョー
こびと2:アン・タツヤ・ブルー
こびと3:カントリー・タイチ
こびと4:井ノ原快彦
こびと5:森田剛
こびと6:三宅健
こびと7:岡田准一
魔女(王妃):マボ・ラオウ

坂本「いいか。よし、はじめよう。」
あい「ちょっと待って。」
坂本「なんだ?」
あい「なんだか台本見ると、白雪姫って寝てばっかじゃない。そんなのやだ。」

ジョー「あ〜、またはじまったで。すべてを破壊するわがままパワーや。」
大袈裟「あのねえ、あいちゃん。こういうストーリーなんだからね。」
あい「だって歌ったり踊ったり、どう見てもこびとのほうが楽しそうなんだもん。」

坂本「・・・・・。じゃあ誰かこびとのやつ、代われ。一番ちっちゃいやつ。」

全員が森田の顔を見る。
森田「な、なんだよ。やだよ、俺。そんな女の役なんて。」
井ノ原「だいじょうぶ、だいじょうぶ。お前だってやれるさ。ちょっと出て、リンゴ食って、あとはほとんど寝てたらいいんだから。」

森田「ラクじゃねーかよ。いいよ、俺、やるよ。」

キャスト変更
白雪姫:森田剛
こびと5:加藤あい

坂本「これでいいな?よし、はじめるぞ。ほら、白雪姫とこびとが歌いながら出てくるシーンからだ。」


森のセットの中から、白雪姫を先頭に7人のこびとがハイホー、ハイホーと歌いながら出てくる。

坂本「ちょっと待った。」
出演者全員「なんだよー。」
坂本「おい、お前(と森田を指す)。」
森田「え?俺?」
坂本「お前、なんだ?その脚。なんでそんなにがに股なの。」
見ると森田は(説明するまでもないが)膝の間に片手が入りそうながに股である。

森田「だってしゃーねーじゃん。」
坂本「もっと脚を閉じろ。膝をくっつけろ。」
森田「そんなのできねーよ。なんだよ、俺じゃ不満なのかよ?」
坂本「お前の脚がいかん。白雪姫だぞ?がに股じゃまずいだろ。」
森田「じゃあお前やれよ。俺、やーめた!」
タツヤ「まあ、待てよ。そんなこと言うなって。せっかくなんだから仲良くやろうよ。」

森田「仲良く・・・ねえ。じゃ、ちょうどいいじゃん。お前、白雪姫やれよ。」

坂本「それはだめだ。」
森田「なんでだよ?誰だっていいじゃん。」
坂本「ばか。身体が衣装に入らないだろうが。」
森田「じゃさ、こいつは?」
と指さしたのは、ジョーである。
森田「こいつだったら、小柄だし、ちょうどいいじゃん。」
坂本「お前、あほか!」
ジョー「なんでやねん。ええやないか、俺で。」
森田「な、な、そうだよな?」
トモヤ「リーダー、悪いけど、俺、いやっすよ。リーダーとキスするなんて。」

ジョー「なんでや!俺のことが嫌いなんか?!」
トモヤ「い、いや、そういうことではなくて。」
ジョー「俺よりこのちっこいやつ(と森田をさす)のほうがええいうことやろ?」

トモヤ「そ、そんなこと言ってないっすよー。」
マボ「もういいかげんにやめろって。おとなげないぜ、ふたりとも。」
トモヤ「あー、マボ。じゃあお前、俺と替わってよ。いいだろ?王子役、マボ・ラオウジ、ね。」

凍りつくマボと坂本。ふたりお互いに顔を見合わす。
マボ「気が合いますね。」
坂本「ひとりでもあんたのようなのがいてくれてよかったよ。」
マボ「うちはリーダーがあの調子ですからね。苦労が絶えねーったら。」
坂本「お前もまだ若いのに大変だなあ・・・」

しみじみとする坂本とマボだが、その間にもばかばかしくも醜い話し合いは進んでいた。

ジョー「じゃあ、俺が白雪姫で、マボが王子、と。それでええな?」
トモヤ「じゃあ、俺が魔女の役やったらいいんだよな?」
ジョー「そうそう。で、こっちの人がこびとに戻るわけや。」
森田「俺さ、それちょっと気にいらねーな。もとにもどるってのがどうも。」

トモヤ「こびと5からこびと1だろ?出世、出世。」
森田「じゃあよけいにめんどくせーじゃん。な、このさいだから、あれ、使おうぜ。」

ジョー「あれってなんや?え?坂本さん?でもあの人演出ちゃうんか?」
森田「だからさ、俺、演出やる。あの人魔女でいいじゃん。」
トモヤ「あっ、それいい。なんか似合ってねえ?」
ジョー「まさかさかもとさんが魔女なんて、ってか?」
森田「うひゃひゃひゃ・・。おもしれー。」
トモヤ「ぎゃははは・・。リーダー、今日さえてっすよー。」
なぜか低レベルで気の合う3人であった。

というわけで、何度も申し訳ございません。またまたキャスト変更。
白雪姫:アイランド・ジョー
王子:マボ・ラオウ
こびと1:ロング・トモヤ
魔女(王妃):坂本昌行
演出:森田剛

ジョー「じゃ、これでええな?」
森田「やったね。これでグジャグジャ言われねーですむね。」
トモヤ「あのひと、けっこううるさいからなあ。台本も自分で書いたらしいっすよ。」

ジョー「作家、もともとうるさい、ってか。」
森田「うひゃひゃひゃひゃ・・・。」
トモヤ「リーダー、いいっ。ぎゃはははは・・・。」

作者注:ナレーターが入院中のため、勝手ながら終わりのナレーションを省略させていただきます。悪しからずご了承ください。かわりといってはなんですが、ナレーターからメッセージが届いておりますので、それを掲載させていただきます。

ナレーターよりのメッセージ「こらっ!坂本っ、この野郎っ!終わりのナレーションできなかったじゃねーかよっ。いいかっ、絶対てめーの思うようにはさせねえっ!しゃーかれんどー、われー。」

どうやらナレーターは河内出身のようです。まことに失礼いたしました。ぺこ。

TO BE CONTINUED!


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