第23話 「瞬間移動装置」



ナレーション「なぞの武器でジョーを撃退したVレンジャー。しかし、直接対決は始まったばかりだ。はたして彼らはこの局面を乗り切ることができるのか。これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 坂本の秘密工場。
 坂本と鉄板DISHが揃っている。ジョーは壁際のベッドに寝かされている。
マボ「とんでもないことになったな」
坂本「敵の武器は予想以上だ」
タツヤ「これまでは、ロボット同士だったから、こっちも不慣れでやられちゃったと思ってたんだけど、直接対決も難しい」
タイチ「でも、やるしかないだろう」
坂本「大丈夫か」
マボ「バカにするなよ。俺たちはリーダー以外は底なしの体力がある」
タイチ「リーダーも入れて平均すると人並みになっちゃうけどね」
坂本「……ま、とにかくやってみてくれ。とにかくあのVレンジャーってやつを倒さないことには前へ進めない」

 Vレンジャー本部。
 六人が入ってくる。あいも無事。それを迎えた大袈裟、
「あいちゃんの武器が役に立ったようだね」
 笑顔で頷くあい。
岡田「けど、どうなってんのや。すごい爆発やったで」
大袈裟「それはだね、あいちゃんの精神エネルギーの爆発なんだ。精神エネルギーが強ければ強いほど威力がある」
森田「(小さな声で)あいちゃんにぴったりだ」
三宅「自分にはダメージはないんだね」
大袈裟「ない。全くない。自分自身のエネルギーだからね」
あい「でも……」
大袈裟「どうしたの」
あい「使う時には必ずこの武器の名前を言わなくちゃいけないっていうのがちょっと……」
井ノ原「なんていうの。サムライ・ソードみたいなの?」
あい「あいちゃんボンバー……」
大袈裟「どうだ。かっこいい名前だろう」
井ノ原「どうも博士のセンスにはついていけねえ」
森田「話は違うけど、また、敵が消えちゃったよ」
大袈裟「瞬間移動装置だね」
森田「で、注文ばっかりで悪いんだけどさ」
大袈裟「なんだい」
森田「走るのは嫌いじゃないけど、今日みたいな相手だと疲れちゃうし、戻ってくるのも大変だ」
 頷くVレンジャーのメンバー。
大袈裟「なるほど」
森田「で、何か乗り物を作ってくれないかなあ」
井ノ原「あ、それいい。スーパー戦隊って、みんな自分の乗り物持ってるじゃん」
岡田「そうやそうや」
大袈裟「分かった。作ってみる」
五人「やったぁー!」

 夜のVレンジャー本部。暗い中で1人コンピューターに向かう長野(ヅラなし)。
 長野は無言でコンピューターを操作している。
三宅「博士、少し休憩しましょう」
 三宅がマグカップを2つ持って入ってくる。長野は椅子を180度回転させるとマグカップを一つ受け取る。
長野「お、ホットミルクだ。ありがとう」
 三宅は椅子を持ってくると、長野の横に座る。
三宅「ねえ、博士」
長野「ん?何だ?」
三宅「あのさ、この間言ってた『瞬間移動装置』って何?」
長野「ああ、あれか。その名の通り一瞬にして場所を移動できる装置のこと。例えるなら『どこでもドア』に近いかな?」
三宅「・・・それを坂本が作っちゃったの?」
長野「そうみたいだね」

 長野の回想
 机をはさんで立ち上がった坂本と長野が口論をしている。
長野「どっちも大きな研究だから、どっちかに焦点を絞ってやらないと」
坂本「じゃあ、俺の『瞬間移動装置』で決定じゃないか」
長野「イヤ、僕の『意念具現化装置』をやるべきだ!」
坂本「俺の研究だ」
長野「僕のだ!」
坂本「ようし、ジャンケンで決めよう。勝った方の研究に2人で取り組むんだ。いいな?」
長野「望むところだ」
坂本「せーの」
2人「最初はグー、ジャンケンポン!」
 坂本の手はパー、そして長野はチョキ。次の瞬間長野は満面の笑みを浮かべ、坂本はそっぽを向く。
長野「僕の勝ちだね」
坂本、観念したように、
「わかったよ、おまえの研究を2人でやろうぜ」

 回想終了。長野が我に返ると三宅が心配そうに自分の顔を覗き込んでいる。
三宅「大丈夫ですか?顔色悪いですよ」
長野「うん、大丈夫。それより三宅くんは寝なくていいの?明日もあることだし寝た方がいいと思うけど」
三宅「そうですね。じゃあ、僕もう寝ます。博士もあんまり無理しないで」
そう言って三宅は立ち上がり、椅子を元あった場所に戻す。
長野「わかった。おやすみ」
三宅「おやすみなさい」

長野は三宅が出ていったのを確認してもう1度コンピューターに向かう。キーを叩こうと手をキーボードにのばすが途中でその手を止め、自分のポケットに突っ込む。「チャラ」という軽い金属音がする。
長野「・・・何であんなに早く出来たんだろう?」

 ドアを出た三宅。廊下には他の4人の姿が。
井ノ原「どうだった?」
 心配そうに聞く井ノ原に対し、三宅は首を横に振る。
三宅「博士、相当無理してるよ。さっきもボーッとしてて。また坂本のこと思い出してたんじゃないかな?」
森田「だけどあの人、『シオマネキを見た日から、覚悟してた』って言ってたんだぜ? なのに何で引きずんなきゃいけねーんだよ!?」
あい「だってその時は、敵が坂本だっていう確証がなかったじゃない!でも森田くんに斬りかかってきて、博士は自らの手で坂本の剣を止めたのよ?考えてみて?自分のパートナーが今の自分の仲間に襲いかかってきて平気で居られると思う?!」
 あいに強い口調で言われ、森田は黙り込んでしまう。
 井ノ原は場を取りなすように、
「まあまあとにかく、これ以上博士の事を傷つけないようにしながら・・・」
三宅「戦うっきゃないね」

 坂本の秘密工場。
 坂本と鉄板DISH。ジョーはベッドで寝ている。
タイチ「前にも聞いたけどさ、あんた一体何がやりたいんだ」
マボ「世界征服か」
坂本「まあ、最初はそんなもんだ。しかし、世界を手に入れたら、それと引き替えにある物を手に入れる」
タツヤ「何だよ、それ」
坂本「それはだな」
 一同、身を乗り出す。
坂本「それは、若返りの秘法だ」
タイチ「若返りの……」
マボ「秘法……」
 そのとたん、ベッドから声がする。
「ほんまか、ほんまにそんなもんがあるんか」
 見ると、ジョーがベッドで体を起こしている。
坂本「ある。それを使っている人を知っている。その人はいつも若々しい」
ジョー「ほんまか。ほんまに若返るんやな」
坂本「嘘じゃない。俺がこの目で見ている」
ジョー「あ、あんなあ、坂本さん。もしそれが手に入ったら、俺にも……、俺にも……」
坂本「ま、それは、それまでのお前たちの活躍次第だ」
マボ「やるぜ」
タツヤ「おお」
タイチ「俺たちでやってやる。な、トモヤ」
 みんなが目を向けると、トモヤはソファーに座ったまま熟睡している。

 Vレンジャー本部。
 サングラスをかけ、溶接の機械を操作している大袈裟博士。
 手を休め、
「もう少し資金が必要だ」

 坂本の秘密工場。夜。
 一人酒を飲んでいる坂本。手にしたクロス・ペンダントをじっと見る。

 おもいっきり御殿。
 ココアを飲みながらブロッコリーを食べているみのさん。
「もっといい宣伝方法はないもんかなあ」
 そこへ大袈裟が入ってくる。
大袈裟「みのさん」
みの「おや、ちょうど君のことを考えていたんだ」
大袈裟「宣伝のことですか」
みの「その通り。よく分かるね」
大袈裟「新しい宣伝方法を考えたんですよ。今度のは地味ですけど、町中でできます」
みの「おっ、いいねえ。聞かせて貰おう」

ナレーション「次々に明らかになる大袈裟博士と坂本の過去。かつての友を敵として戦う二人の心に去来するものは何か。そして、だんだんギャグが少なくなっていくVレンジャー。ついにおちゃらけモードにおさらばか。行け、Vレンジャー。心優しい戦士たち」

TO BE CONTINUED!

今回は一部分をdahliaさんからいただいたメールから使わせていただいています。

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