第21話 肉弾戦

ナレーション「少しずつ明らかになっていく坂本と大袈裟の関係。これからVレンジャーは迫り来る敵に向かってどう立ち向かっていくのか? これは、正義と友情に命をかけた若者たちの物語である」

 Vレンジャー本部。
 森田が手にしたVセーバーを振り回してみると、ブワンブワンと音がする。
岡田「かっこええやん」
三宅「何か、どっかで見たような気がするな」
大袈裟「な、何を言う。パクリじゃないぞ。私のオリジナルだ」
井ノ原「こないだの、前世の話も怪しかったしな」
大袈裟「き、君たちは私を信じられないのか」
あい「せめて、その格好だけでも、もうちょっとましにしたら」
 大袈裟は顔を紅潮させ、何か言おうとするが、言葉が出ない。
 森田は、Vセーバーを眺めていたが、手元のスイッチを押すと、光の棒は消える。
森田「エネルギーはどうなってるの」
 大袈裟は救われたように、
「基本的には精神エネルギーだ。君の気持ちがそのままVセーバーになる。ただ、それを形にするのに電気エネルギーを使っている」
三宅「電気?」
大袈裟「そうだ。なんと、Vセーバーに使っているのは、単三電池二本。これで十分間戦える」
森田「十分か……」
岡田「ちゅうことは、長い間戦うときは、電池を交換しながら戦うんか」
大袈裟「そういうことになる。もっとも、電池交換をしないですむ方法もある」
森田「なんだ。最初からそうすればいいじゃない。どうするんだよ」
大袈裟「これを使う」
と、大袈裟はポケットをさぐり、コードを取り出す。
大袈裟「これでコンセントにつないで戦えば、電池交換の必要はない」
森田「……」
大袈裟「大丈夫。ACアダプター内蔵だから、コンセントに差し込むだけだ」
森田「そういう問題じゃなくて……」
岡田「コードつけたままで戦うっちゅんは、ちょっと……」
 Vレンジャーは困惑した顔で大袈裟を見るが、大袈裟はみんながあきれている理由が理解できない。
井ノ原「ま、いいや。十分間でも。で、俺たち全員に同じものを作ってくれるのかい」
大袈裟「作るのは簡単だ。もし、デザインを変えて欲しいなら要望には応えるよ。それに、こういう武器が欲しいっていうアイディアも出してくれれば参考にする」
井ノ原「だったら、俺は、そういう形じゃなくて、日本刀みたいにしてくれよ。侍っぽくきめたい」
大袈裟「わかった。やってみよう」
岡田「俺もちょっと考えみるわ」
三宅「僕もデザインを考える」
あい「あたしは……」
 みんながあいを見る。
あい「そういうので戦うのはちょっと……」
三宅「そうだよね。これだったら、直接相手と斬り合うことになっちゃうもの」
井ノ原「女の子だもんな」
岡田「(小声で)恐いけど」
 森田が岡田を見て少し笑う。
大袈裟「分かった。あいちゃんにはもっと違うのを考えよう。みんな同じようなのじゃ芸がないし」

 坂本の秘密工場。
 作戦会議をしているジョー、タツヤ、マボ、坂本。
坂本「お互い、クビにならなくてよかったな」
タツヤ「何の話だ」
坂本「まあ、いろいろあってな」
ジョー「ええか、とにかく一人ずつ始末するんや。手始めはあの女や」
マボ「女からやるのかよ」
ジョー「何いうとんのや、あの女がいっちゃん手強いんや。な、坂本さん」
 頷く坂本。
タツヤ「で、どうやるんだ」
ジョー「おれとタツヤで行って、こうするのはどうやろ」
 何事か話し合う四人。

 Vレンジャー本部。
 何か作っている大袈裟。
「よし、できた」
 手にしているのは銀の十字架のペンダント。長野はそれを握りしめ、何事か思う。

 茅ヶ崎の海岸。
 くつろいでいる森田、井ノ原、岡田、三宅。森田と井ノ原はそれぞれ筒を持っている。
岡田「何や、日本刀みたいちゅうても、同じ形やん」
井ノ原「ところが違うんだな。本当に日本刀の形になる。電池がもったいないから今は出せないけど。敵が来たら見せてやるよ」
三宅「いいなあ。僕も何か考えなくちゃ。どういうのがいいかなあ」
井ノ原「しかし、どうせこんな海岸に来るんなら、女の子と二人で来たいよなあ」
岡田「あいちゃんと一緒に来たらええやん」
井ノ原「それはちょっと……」
 そこへあいが来る。慌てる井ノ原と岡田。
森田「どうだった」
あい「うん。新しい武器を貰ってきた」
 しかし、手には何も持っていない。
三宅「どんなの。今は持ってないの」
あい「これなの」
と、首にかけたクロス・ペンダントを見せる。
岡田「どこが武器やねん」
あい「すごいんだって。博士が大切にしてるのと同じ形に作ったって言ってた」
井ノ原「どうもあの博士の考えることはわからねえな」
三宅「でも、すごいよね。いろんな武器を作って」
 そこに松林から声がする。
「その武器のすごさを見せて貰おうじゃないか」
 見ると、そこにはタツヤが立っている。
 驚いて立ち上がる五人。タツヤを見て、すぐに玉を出しVレンジャーに変身する。
タツヤ「Vレンジャー。今度は直接勝負だ。俺一人でお前ら全員倒してやる」
森田「ちょうどいい。こっちの武器のすごさを見せてやるよ」
タツヤ「ほう、見せて貰おうじゃないか」
 一歩踏み出す森田。するとタツヤは一歩下がる。井ノ原が森田の前に出ると、タツヤはまた一歩下がる。
井ノ原「何だよ、やる気あんのかよ」
タツヤ「へっ。つかまえてみな」
森田「何だ、こいつ」
 森田が駆け寄ろうとすると、タツヤは森田が近づいた分だけ離れる。
 井ノ原も走り出す。
岡田「あいちゃんはここで待ってな」
と言うと、これも走り出す。三宅も後を追う。
 Vレンジャーの四人は必死にタツヤを追うが、タツヤは後ろを振り向きながら、距離を一定に保って逃げていく。
森田「どういうつもりなんだよ」
タツヤ「俺のすごさを教えてやろうと思ってるんだよ」
井ノ原「ただ逃げてるだけじゃねえか」
タツヤ「そう思うんなら、俺に追いついてみな」
 軽く汗をかき、走り続けるタツヤ。四人は必死に後を追う。

 砂浜に一人残ったあい。不安そうに走っていくタツヤたちの方をみている。
 そこに背後から、
「動くな。動いたらあかんで」
と声がする。あいの顔に緊張が走る。その後ろにはジョーが立っている。ジョーはニヤリと笑う。

 砂浜を走るタツヤ。息を切らせてそれを追う四人。

 立ちすくむあい。その背中に武器を突きつけているジョー。
ジョー「よくも俺たちをコケにしてくれたな。今度という今度はゆるさへんで」
 あいは、震えながら、胸のクロス・ペンダントを握る。

 砂浜の行き止まりに立っているタツヤ。それを取り囲む四人。
三宅「海に追い込むんだ。僕は、水の中なら自信がある」
タツヤ「水の中はちょっと……」
井ノ原「ほう、苦手なものがあるらしいな。これをくらえ! サムライ・ソード!」
 井ノ原が手にした筒から、日本刀の形に光が伸びる。
井ノ原「これで切られるのと、海に入るのと、どっちがいい」
タツヤ「くそう……」
 タツヤが唇をかんだ瞬間、離れたところから閃光が走り、爆音が聞こえる。あいとジョーがいたあたり。
 驚いて振り向くVレンジャー四人。タツヤはニヤッと笑い、次の瞬間、姿が消える。

 坂本の秘密工場。
 坂本とマボがベッドをのぞき込んでいるところに、スッとタツヤが現れる。
タツヤ「便利なもんだな、瞬間移動装置っていうのは」
 しかし、坂本の顔に笑顔はない。
マボ「リーダーがやられた」
タツヤ「ええっ? さっきの爆発は……」
 タツヤがベッドに駆け寄ると、ジョーが横たわっている。服は黒こげ、髪はボサボサ、顔はススで汚れている。顔を見合わせるマボとタツヤ。
 タツヤはすぐに、気を失っているジョーの体を揺する。
ヤツヤ「どうしたんだ。リーダー」
 ジョーはうっすらと眼を開け、
「あいちゃん……」
とだけ言うと、また気を失う。

 タツヤが消えた砂浜。
森田「あいつ」
井ノ原「消えやがった」
岡田「今の爆発はなんやろ」
三宅「とにかく戻ろう」
 フラフラヨタヨタと走り出す四人。

ナレーション「ついにVレンジャーと鉄板DISHは直接対決の日を迎えることになった強力な武器を手に、鉄板DISHを迎え撃つVレンジャー。行け、Vレンジャー。底抜けにステキな戦士たち」

TO BE CONTINUED!


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